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bishoku ouji to tabegoro chef
餌づけで目覚めたワガママ肉食王子。
北原真咲(受)が作る野菜メニューしか注文しない見目麗しい圧倒的存在感の客。
彼がふいに姿を見せなくなったことを訝しがっているとカランディエラという王国から真咲指名のケータリング依頼が入り、その依頼主こそが第3王子レスリー(攻)で例の客だった…という導入。
その日本から遥か遠い異国で成人の儀の準備で食事制限を余儀なくされたレスリーの為に、真咲は野菜料理を作ることになります。
日本から飛行機で7時間も飛ぶ異国では風土の違いから採れる野菜も味も違ってくるわけで、その上、日本での物腰柔らかな態度の欠片もないワガママ王子レスリーの要求を完璧に叶えることは難しい。
ここで真咲の料理人として、というよりは人しての食への矜持がすくい上げられています。
市場に出向いて普段、口にしている味を確認したり物理的にできないことは断るけれど出来る限りレスリーの意向に添うよう努力する姿は料理人としては当たり前のことなんでしょうがカッコイイ。
お寺の息子としての生い立ちも手伝った食への姿勢。
往復14時間のケータリングを繰り返すって…ワガママ王子との対比が鮮やかです(笑)
儀式までの1ヶ月間は大きな事件もなく、ひたすらレスリーと真咲の食を挟んだ日々が語られ、ふたりは互いの素顔を知るようになります。
その描写がコミカルでほのぼのしてます。
やがて儀式を無事に終えたレスリーに真咲は帰国の意志を伝ますが、既に真咲の料理だけでなく真咲自身に惹かれていたレスリーは激情のままに行動した挙げ句、命令することしかできない。
当然、感情はこじれたまま後味の悪く帰国した真咲をレスリーは…と結末もスタンダード。
真咲の職場の仲間もレスリーの周囲もいい人ばかりで、そもそもレスリーは王位継承者ではないので儀式を阻む陰謀もケータリング導入で傷つけられたであろう宮廷料理人のやっかみもなく平和そのものです。
レスリーだけが問題児(笑)
全体的に枠を外れない穏やかな流れなので安心して読めますが、それが物足りないと感じる人もいるかもしれません。
個人的にはせっかく料理をモチーフにしたのなら、もう少しツッコんで料理の細かい描写があると嬉しいな、という感じですが、食いたいのは料理だけでなくお前も、だ。ですからね(笑)
王子様とシェフの一筋縄ではいかない恋のゆくへで、日本のレストランでシェフを
している受け様の店にVIP客として現れるのが攻め様。
毎回来る度に、野菜料理しか頼まないし、口にしない攻め様を菜食王子様なんて
店では噂されるようになり、来る度に受け様の作った料理を美味しいと、
それにどこがどのように良かったかを付け加える程の美食ブリなのです。
そんな攻め様の為に受け様は喜んでもらえる料理を作っていたのですが、
ある日ぱったり来なくなってしまう。
VIPでどこか海外の人だから仕方ないよね、なんて軽い感じで思っていた受け様は、
その攻め様と思わぬ再会をすることになります。
それは、海外の王国へ店からケータリングサービスをする事になり、受け様のご指名。
向った先で出会ったのは、攻め様で、日本では我儘一つ言わない紳士的な様子だったが、
攻め様の自国での姿は王子様然としていて、かなり傲慢オレ様で、相手を従わせる事が
当たり前の人種で、常に上から目線で強気で押してくるタイプ。
二十歳の成人の儀式を前に、1か月野菜料理しか口に出来ない攻め様の為に受け様が
専属で料理を作るように命令されるが、食材は空輸で、受け様は王国に居続け、
攻め様の元で作ることを強制されそうになるが、受け様には料理を作る上でどうしても
妥協が出来ない事があり、攻め様からの命令を半分聞く形で、攻め様のプライベート
ジェットで、毎回日本からケータリングをする事態に陥る。
横暴で傲慢な攻め様の日本での姿と自国での姿のかけ離れた感じはまさに正反対。
それに、プライドが高いと言うより、自分の言う事を聞かない受け様にイラついたり
邪魔をするような雰囲気は何処かお子様みたいだし、かなりの意地っ張りみたい。
そんな攻め様に絆されてしまう受け様なのですが、成人の儀式が終わった時に
攻め様から料理も食べたいがお前も食べたいみたいな事を言われ、抱かれてしまう。
ここで愛の言葉でも囁けば簡単にハッピーエンドでしょうが、互いに頑固者みたいで、
気持ちがすれ違ったまま、受け様は日本に一人帰る。
余り甘々にはなっていない感じで、恋愛的な事が少な目でしたね。
これからも我儘王子に振り回されるのではないかと思える内容でした。