箱根たんでむ 駕籠かきゼンワビ疾駆帖

hakone tandem

箱根たんでむ 駕籠かきゼンワビ疾駆帖
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神0
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立1
  • しゅみじゃない0

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レビュー数
1
得点
1
評価数
1
平均
2 / 5
神率
0%
著者
桑原水菜 

作家さんの新作発表
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媒体
小説
出版社
集英社
レーベル
集英社文庫
発売日
価格
ISBN
9784087468885

あらすじ

※非BL
箱根路を疾走する、最強の青春時代小説!
箱根の新米駕籠かきの漸吉と侘助は、性格も外見も正反対の凸凹コンビ。喧嘩ばかりの二人だが、様々な客と出会い、成長してゆく。『炎の蜃気楼』シリーズの桑原水菜が書き下ろす、青春時代小説!

表題作箱根たんでむ 駕籠かきゼンワビ疾駆帖

その他の収録作品

  • 箱根たんでむ
  • お玉の幽霊
  • 関所の女閻魔
  • 道中記詐欺にご用心

レビュー投稿数1

少年たちの痛快時代劇

赤半纏に黒い股引、頭には真紅の鉢巻をキリリと締めた駕籠かき。彼らの心意気と義理人情、そして爽やかな友情が眩しい。
箱根の美しい景色を背景に、少年たちの成長を描いた青春時代小説です。

時は天下泰平の世。東海道には江戸へ向かう大名行列、商人、伊勢参りする農民や物見客など様々な階層の人々が行きかっていました。電車のない昔のこと。徒歩しか通行手段のない庶民は不慣れな旅に苦労ばかり。特に旅人を困らせたのは、「天下の険」と謳われた難所・箱根峠でした。辛い山道を登りたくない旅人たちは峠のふもとで駕籠に乗り込みます。乗り心地が良く、目的地まで早く到着し、更には道中で観光案内までしてくれる。駕籠は箱根を往来する人々にとって重宝する存在でした。
寅組の新米駕籠かきコンビ、漸吉と侘助もお客を楽しませて快適な旅にするべく毎日奮闘中。漸吉は18歳。浅黒い肌にざんばら髪の猿のような少年です。相棒の侘助は涼しげな美貌の19歳で常に冷静沈着です。年が近いという理由だけでコンビを組まされた二人は息が合いません。客の前でも喧嘩してしまいます。駕籠かきは二人で一組。信頼と友情で結ばれたコンビでなければ速く走れないし、客を円滑に運ぶことができません。コンビ解消が許されない二人はしぶしぶ駕籠を担いでいましたが、ある事件を契機にお互いのそりが合わない原因が判明します。それ以降仲が良くなった、と言うとそれほどじゃないですが、喧嘩は減って一人前の駕籠かきとして成長します。

物語は漸吉と侘助が遭遇した珍事件を描いた全4編の連作短編集。
第1話「箱根たんでむ」は漸吉と侘助がライバルの駕籠屋・辰組と対決するお話。
第2話「お玉の幽霊」はちょっとミステリー。忽然を姿を消した女性客。2人は客を捜索しますが、手がかりすら見つかりません。侘助は漸吉が心酔する美形の先輩を疑いますが…。
第3話「関所の女閻魔」は関所の女改め・おタネばあさんを懲らしめるため一芝居うつお話。美青年、美中年を集めてばあさんをメロメロにします。ばあさんが若いです。
第4話「道中詐欺にご用心」は箱根を荒らす詐欺師を捕まえるお話。

決してつまらないとは言い切れないのですが、物足りない印象でした。短編ではなく長編だったらもっと面白くなっただろうと思います。推理小説のシリーズ物における番外短編集でこういったテイストなら、登場人物の別の側面が垣間見れる面白さがあるのですが…。これ1冊では箸にも棒にも掛からないネタに飽き飽きします。主人公たちの類型的な性格設定もありがちで新鮮味がありませんでした。
ただし悪人不在の時代小説で、感動するようなドラマもなくほのぼのとした気分にもならない物語というのは個人的には嬉しいです。捕り物帳以外の時代小説って感動的なヒューマンドラマやほのぼのしたお話が多くてあまり好きじゃないんです。このお話はそういった要素はありませんが、少年たちのおバカだけどまっすぐな行動にくすっとさせられます。

侘助には秘密があるようで……。続編が期待される伏線が張られています。続きに乞うご期待といったところでしょうか。

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