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akumasama no okiniiri
悪魔学(Demonology)と北欧神話をベースにしたBL小説『悪魔様』シリーズの第1巻です。コリン・ド・プランシー著『地獄の辞典』とフレッド・ゲディングス著『悪魔の事典』を参考文献にしたとあとがきにあるように、有名無名問わず様々な悪魔たちがこれでもかと登場するファンタジー作品となっています。主人公のシトリ(Sitri)とフェンリル(Fenrir)も神話や悪魔学に登場する存在ですね。
魔界の帝王サタンは天界に抵抗するため自身の血を基にして四人の公子を生み出しました。そのうちのひとり、魁偉公子のシトリは魔界の72魔王の一人に数えられ、70もの軍団を率いる悪魔様。美貌と才知溢れる魔界きってってのモテ悪魔です。愛と官能を司る彼にかかれば、男性も女性も裸にできるし、魅了の術を使えば誰でもシトリの虜にさせることができました。
大らかで寛容なシトリは自由奔放に恋愛をし、恋人の数は数えきれないほどでした。
そんなある日、北の大地を旅していたシトリは魔法のリボン(グレイプニール)で体をがんじがらめにされた狼と出会います。世界に破滅をもたらし、神オーディンと太陽を飲みこむと予言された魔物狼フェンリルでした。北方の神々はフェンリルを恐れ、魔法のリボンで封印したのでした。けれどシトリは予言を無視し、この狼を気に入ったから愛玩物として飼うことを決めます。シトリはリボンを断ち切り、魔力で狼を銀髪の少年の姿に変化させ、自分の領地へ連れて帰りました。
ここからシトリとフェンリルの華麗な魔界生活がスタートします。フェンリルの視点から見る魔界は不思議なことばかり。美形だったり変わった姿形の悪魔たちや一般常識からかけ離れた悪魔のルール。本作のファンタジー的世界観を読んでいるとワクワクします。
爵位を持つ悪魔を殺せば、位と領地が与えられるという弱肉強食な設定も魅力。この物騒なルールゆえに魔界は殺し合いが絶えず、新入りのフェンリルは戦いに巻き込まれがちです。けれど魔界では決闘は普通の出来事。作中ではわりと殺しの残酷な描写があるのですが、ねちねち描いたり深刻にはなりませんでした。この無慈悲さと軽やかさ。二つの要素のバランスが良かったです。
美しく、残酷な悪魔たち。氷堂れん先生の華やかなイラストも相まって、すっかり魔界の物語に夢中になってしまいました。
ラブ面も面白かったです。フェンリルは純情な童貞少年。絶望から救ってくれたシトリを一途に慕いますが、情欲と官能を支配するシトリにはたくさんの恋人がいてフェンリルは近づけません。シトリは遊び人で淫乱、複数の恋人を持つことを悪いとも何とも思っていない人。でも憎めないキャラクターです。坊っちゃん育ちでわがままだけど、情に深く自分の芯をきちんと持っている。みんなが夢中になるのも分かるような魅力ある青年です。
フェンリルはシトリに片思いし、彼に尽くしますが…。
はたしてフェンリルはシトリを振り向かせられるのでしょうか、そして彼をフェンリルだけのものにできるのでしょうか。
二人の恋愛模様も華やかで楽しめました。