君に降る光、注ぐ花

君に降る光、注ぐ花
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神0
  • 萌×22
  • 萌3
  • 中立2
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
4
得点
19
評価数
9
平均
2.6 / 5
神率
0%
著者
神奈木智 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
テクノサマタ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
発売日
価格
¥552(税抜)  
ISBN
9784344827226

あらすじ

人懐こく女子にも人気の東弥の華奢な体と危なげで放っておけない容姿――和貴は初めての出会いから東弥が気にかかり…! ?

表題作君に降る光、注ぐ花

同時収録作品悲しい気持ち

その他の収録作品

  • 君を見つけた日
  • あとがき

レビュー投稿数4

10代のキラキラ感と切なさ

10年前、一昔前の作品なのですが古さを感じさせない10代の恋する煌めきと
恋する故の切なさが同居しているようなストーリー。
旧版は、「恋の棲む場所」と題して2編の作品が収録されていたのですが、
今作は、その2編のうちの表題作をタイトルにしての再販版でイラストも円陣闇丸さんから
テクノサマタさんに変わっているのですが、作品素敵な程マッチしている気がします。

表題の君に降る光、注ぐ花は、ちょっと無口な普通の高校生高岡と、
元気で明るくとても人なっこい、同じく別の高校の時田の高校時代の煌めくような
時間のなかで見つけた恋と、切なさが同居している感じで、お互いに惹かれ合っている
二人が、互いに相手を気になる存在として見るようになり、いつしか相手を探している、
それでも、普通の男女の恋愛みたいに思いを告げあってハッピーなんて展開ではなく、
ラストは、明日への希望みたいな高岡の時田を絶対見つけるなんて気持ちで終わっている。
相手を好きになった時、病に侵されたものと、好きになった相手が病に倒れ自分の前から
何も言わずにいなくなってしまう。
ひと夏前の梅雨の時期、光が雨に反射してキラキラと、二人の始まったばかりの恋を
濡らしながらも照らしているような、この先の未来をどんな形で二人がつぐむのか
とても素敵な余韻が残る作品だと思いましたね。

同時収録の残り一篇は、同じく高校の同級生同士の話で、高野と沢渡が主役。
高野が付き合う女の子が、必ず最後は沢渡と出来ちゃうみたいな奪略愛なんて雰囲気。
始まりは中学2年生、男同士で海に行く事になったが、男だけだと寂しいと意中の
女の子を誘うことになり、沢渡は何となくだけでクラス委員長の女の子を誘い、
しかし、その女の子は高野に誘われたのに、沢渡に誘われて嬉しいと・・・
沢渡は無口だけれど、同性として高野に一目置いて憧れていた事もあり、
その件から気まずく、友人関係が疎遠になってしまう。

更にその出来事から、高野との居た堪れなさに、逆に高野を傷つけ初めてしまう沢渡。
物言いたげな高野の視線に返って意地になって横取りめいた事をしてしまう。
それが何度か続き、周りにも二人は仲が悪いとか、高野の彼女を毎回奪うなんて言う、
噂話が起こり、その最中に、今度は高野が男と付き合う事になる。

しかし、高野の相手は沢渡のクラスの転校生で、沢渡が今まで高野にしてきた悪行を
知って、更に今度の相手は自分だと名乗りを上げて、沢渡を挑発したりする。
被害者で、いつも傷つけられる側の高野、しかし、実は意外な真実が隠されていたりする。
子供でも大人でも無い思春期の気持ちの絡まりってホントにタチが悪い感じですね。
そして、このお話は、表題の作品の数年後と言う設定で、表題の二人の思い出の場所の
市民プールがこの作品でもこだわりの元になっていたりするのですよ。
そして、再販で1番読みたかったのが、書下ろし部分だったりします。
表題の二人のその後が気になりますものね(笑)


1

レモンスカッシュの甘酸っぱさとほろ苦さ

03年発売の『恋の棲む場所』の新装版です。
旧版には、表題の二人のその後の詳しい描写がなかったということで、書き下ろしで【君を見つけた日】という短編がついています。

BLにおける高校二年生=17歳って、すごく大事な年齢な気がするんです。
これから待ってる色々な現実に大人にならなければならない面と、まだ子供でいたい面のせめぎ合う時。
そんなときに出会う恋、つきつけられた現実。
それに選択を迫られる主人公たち。
だからこそ色々な物語が生まれるのだと思うのですが、この本もまた高校二年生を主人公にして、彼等が現実を見つめる話となっていたのではないでしょうか?

高校二年生の高岡が親友の由利沢の中学の同級生だという時田とぶつかったのが出会いの始まり。
その後、バイト先のファミレスで彼がバンドメンバーと揉めているのに出会ったのが二度目。
印象に残った彼を見かけたけど声がかけられなかった帰り道。
そんな二人は、市営プールの清掃バイトで一緒になります。
1週間、たった二人で過ごすバイトの日の中で、それは淡い恋心にも似たものを高岡に芽生えさせ、そしてキスして抱き合って、
しかし別れは突然やってきます。
時田の抱える切実な現実は病でした。
だから彼は一生懸命生きたかったんだ。それがわかるととても切ないです。
本当は由利沢と一緒の時が始めての出会いじゃなかったんです。
それ以前に人の家の花を手折る高岡を見て彼の強さに惹かれていたのか?
人と同じようにできなくなるから、だから迷惑をかける前に自分から辞めていたあれこれを、人は調子のいいやつというけど、彼なりの事情があったからだったのですね。
彼は、たった一度の青春を目を惹いた高岡と一緒に過ごしたかったんだと。
このラストの別れは切なく、時田の手紙は涙を誘ってしまいます。

【悲しい気持ち】
中学2年まで仲が良かったはずの高野と沢渡。
海へ行く計画が流れたときから二人には距離ができて、そして高校二年の今、高野は付き合う彼女を皆軒並み沢渡に取られています。
気にしてないというけれど、本当は意識しているのです。
そんなとき編入してきた同じ剣道部の桐谷が、高野を好きだといい、沢渡が高野の付き合っている人を奪うとするなら男である自分なら奪わないし、というと高野は付き合う事を了承します。
そこに隠された真実の気持ちが暴露されるとき。
とても不器用なスレ違いでした。
高野がたちが悪いですね。一番何でもない一見被害者のような顔をして。
高野と別れた沢渡に奪われたという彼女たちは、決して沢渡を憎んではいなかったのです。むしろ沢渡に慰められていた。
一番辛かったのは桐谷でした。
そんな、気持ちの認識が遅かったためにいままでスレ違い、何人かの人たちを傷つけてしまったという青春の甘酸っぱさがありました。

この話では松岡の歳の離れた従弟が由利沢で、その話の中に表題の時田がちょっと顔を出します。
ここで時田が行っていたこと、
それが果たされるのが書き下ろしの短編【君を見つけた日】でした。
あれから8年後になるのでしょうか?
頑張ったね、そして情熱が続いていたんだというちょっと感動的な後日談でした。


2

なんともいえない甘酸っぱい余韻

「純愛」という言葉がぴったりの2編でした。なんとも甘酸っぱいお話です。
この本の構成は『君に降る光、注ぐ花』、そのスピンオフのような存在の『悲しい気持ち』そして君に降る~の後日談で悲しい気持ちの後日談でもある『君を見つけた日』の3編が収録されています。2編に出てくるカップルは別カップルですが、君を見つけた日で時間軸がピタッとあい、市営プールという場所がキープレイスになっていて上手く仕上げたなという印象を受けました。

君に降る~は非常にせつないお話でした。特に雨が止んでも高岡が傘をさして時田から顔を隠すエピソードが良かったです。そしてそれを見た時田が嫌われているのかと思い市営プールのバイトを思いつくところも自然で良かったです。あとはやっぱり別れの時の時田の手紙が切なかったです。

悲しい気持ちの方はちょっと焦れったい感じの話でお互い気になっているのに恋愛という気持ちにたどり着くのに何年もかかったような話です。当て馬役を自ら買って出た桐谷に助演男優賞をあげたい作品でしたw

そして最後の君を見つけた日です。これがなければこの2編は締まりません。
純愛で甘酸っぱい余韻を残してくれたステキな作品でした。

1

10代は遙か遠くになりにけり

本格的な寒さに向かう季節に、プールを舞台にした作品……
というのがよろしくなかったのだろうか?

神奈木さんは、熱烈ファンではないが
エンターテイメントとして一定の満足を得られる作家さんと,
好みのものそうでないものはあれど、いつも楽しく読んでいるのだが、
これは最初から文章を読み進めるのに盛大に躓いてしまった。

よくみたら、10年前の作品の新装版ということで
思春期の自意識過剰みたいな美しい言葉が連なる文章は
さもありなん……と思ったり。


内容は、甘酸っぱい高校生の恋。

表題作は、キス止まりな上結末も
気持ちは通じ合っているとはいえ別れが待っており
ハッピーエンドなのかどうか、はっきりしない。

次の「悲しい気持ち」は
同じ市民プールがモチーフになったやはり高校生同士の恋。
ちょっと面白い三角関係が描かれていて、
最後のオチは結構洒落ていて好きだったのだけれど、
そこまでの展開が些か頭でっかちで読んでいて面倒くさくなった。
ただし文章は表題作より読み易い感じを受けた。

最後の「君を見つけた日」は書き下ろし。
表題作の短い後日談。
これでやっとハッピーエンドということなのだろうけれど、
高校時代から二十歳を挟んで大人になって、同じように気持ちが続く……
美しいけれど、ちょっとそれにはそこまでの経緯が弱いかなぁ〜


そういう純粋な恋や、叙情的な描写が頭に入って来ないのは
その美しい年代が遥か遠くになってしまった、読み手の問題なのかもしれない。
こういう世界は、自分にとって神になるかダメダメか……
ほんの些細な細部で決まってしまう気がします。


1

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