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onaidoshi no otouto
この本を本屋で見かけたときにときめきました。
装丁が穂波ゆきねさんでとても素敵なイラストだったからです。
著者の方を存じ上げなくて穂波さんのイラストで購入という、申し訳ない買い方でしたが・・・
素晴らしい物語でした!
神認定させていただきました!
かなりボリュームのある本だったですが、あっというまにひきこまれました。
義兄弟という設定はすごくありがちなのですが、それでも二人の恋を応援したい!と思わせる内容。
暗くもなくねちっこくもなく。
しかし攻めの弟くんの我慢強さには圧倒させられます。
受けの兄も気づくのは遅いですが、昔から好きだったのは同じ。
途中に出てくる回想シーンは甘酸っぱくてキュンときました。
本番のために練習という名目で、おふざけのようなキスから始まり、徐々にその行為がエスカレートしていくところは、弟の理性の限界を感じて微笑ましく思え、なおかつ兄を好きだという気持ちが切なく。
若干兄の、キスは許してるくせにその先は拒むという不可解さはあったけれども、そこは兄としての葛藤があったことはわかるのでよしw
しかし弟の嫉妬深さはすごいw
これじゃお兄さんに友達できないんじゃないですか?w
でもそこまで愛されてるんだなーって思うとニヤニヤしちゃいましたがw
終盤出てくるストーカー女は必要だったのか・・・
まあでも男同士ということに対する葛藤も必要だったのでしょう。
絡みのシーンの弟くんの攻めはドキドキします♪
優しさの中に男らしくリードするとこがかっこいいし。
兄の、弟への気持ちを自覚したあと、絡みのところでかわいいセリフいっちゃうとこがときめきました!
口でしたいって言った時は、あの兄が!なんて思っちゃいましたしww
弟くんもすっごく興奮してて、もう私顔がにやけぱなしでどうしようかと思いました(*ノ∀`照)
とても素敵な物語をありがとうございます。
兄弟ものが大好きで沢山読みましたが、この読みごたえは今まで読んだ兄弟ものの作品の中でベスト3に入るくらい。
それくらい丁寧で隅々まで「兄弟での恋愛」という設定を堪能できます。
禁忌の恋という背徳感を味わいたい方も、そういう後ろ暗さは嫌で明るいほうがいいという方も、どちらにもオススメできる作品だと思います。
しかしこの書籍タイプの本、BLでは珍しいサイズです。ちょっと読み辛いんだけど、穂波さんのイラストをこのサイズで堪能できるのはおいしいかもしれません。
お話がすごく面白い!というわけでありません。劇的で涙のラスト、というわけでもありません。ただ、ひたすら丁寧です。それに尽きると思います。
雪宏と景樹は小学生の時に親の再婚で義理の兄弟になりますが、実際は歳の差は3ヶ月。学年も同じです。
ですが、ちゃんと兄と弟という役割が成り立っていると感じました。
景樹は男前だけど甘えたがりで弟キャラだし、人前でベタベタすることを嫌い、世間体を弟に説く雪宏は「お兄ちゃん」という感じ。
2人とももう20歳なんだけど、いまだに景樹は兄である雪宏にべったり。周りも呆れる程です。
昔から景樹は身体の弱い雪宏には甘く、異常なほどの執着心を持っています。
景樹は今でも雪宏に「行って来ますのちゅー」などをねだり、子供の頃ならまだしもちょっと普通の兄弟ではないのはわかるのですが・・・。
2人は一度だけ好奇心から身体の関係をもち(ただし途中で雪宏が拒んで未遂)それは今ではなかったことになっています。
景樹のヤキモチは度を越していて、雪宏に勝手に出歩くなとか誰かと二人きりになるななど独占欲むき出しです。その根底にあるものは兄弟愛を越している、雪宏を「愛してる」んだと本当は雪宏もわかっていながら気付いていないふりをしています。
景樹も、雪宏がそれを望むなら、一線は越えないようにしています。
「雪宏だけいればいい」それをはっきり口に出さないことで保たれているぎりぎりのラインがあるのはわかるんだけど、もう大人になって、この先このままじゃだめなんじゃと思うんですよね。
小さいころから写真に興味があり、高校の部活では景樹を撮り続けた雪宏。大学になっても弟をとり続けたいと思ったときに、写真を教えてくれた先輩から「弟がほんとに好きなんだね」と言われ、ベッタリなのは実は弟ではなく自分だったと気がつきます。
写真を撮り続けたのは一瞬も離したくなかったから。拒んだのも気持ちに気がつきたくなかったから。自分の気持ちを訴えれば景樹はきっと受け入れようとするから。そうしたら親に顔向けできないから。
様々な葛藤を、ほんとに雪宏という個人通して自然に丁寧に書かれている。
日常の中にあって、文章でゆっくり進む気持ちの変化を書き表した素敵な小説だな~と思います。
弟としてでなく、男としてお前が好きという景樹に、黙れという雪宏がすごくせつない。
兄弟であることの背徳感もほの暗さもきちんと描かれているけど、決して重くはなく、テイストはほのぼのです。
お互いずっと長い間、相手が自分を好きだと知っていてそれを認めてこなかった。
長い間キスをして抱きしめあって生きてきたことが兄弟として普通でないのに普通のふりをしてきた。こうしてみると異様さの際立つ感じもすごくします。
でもせつないとかよりも萌えてしまうのは互いがすごくすごく好きて誰にも取られたくないというのが伝わってくるからです。
ようやく「恋人」という関係になった後、「ちゃんとできるか」と怖がりながらも初めて最後までするシーンがせつないです。萌えるというより、ここで失敗したら終わりだという雪宏の恐怖が伝わってきて緊張します。
散々悩んだ「家族に言うか」というところまでは書かれていませんが、友人にカミングアウトするところまでは書かれています。それでも読み応えは十分。
雪宏の先輩でお邪魔虫でもある飯島に言われた「雪宏が好きなら他人を巻き込むな」という言葉がいい意味でも悪い意味でもこの作品をあらわしていると思いました。
雪宏のことになると視野が狭くなる景樹は「そんなことで他人にあたるな」と言われるのは当然だと思えるし、同じ大学の女子に関係がばれ「兄弟で気持ち悪い」と言われてしまうのだけど、それも「他人には関係ない」という結論で2人は毅然と立ち向かいます。
結局「出会って好きになってしまったのだから仕方ない」というありていの結論に至って終わるので、よくあるお話だといえばそうなのですが、その結末以上に素敵だと思えるのがここに至るまでの思いの長さだと思うので、読んでよかったと思えるお話でした。
義理兄弟ものとしてストーリーはスタンダードですが、神作品だと思います。
『年下の彼氏』が大好きだったので、
書店で見かけて1も2も無く手にとりました♪
新書よりお高い書籍の為、違うコンビ(?)だったら躊躇っていたかもしれない。
表紙で胸を打ち抜かれ、口絵カラーでぶっ倒れるかと思った程、
穂波さーーん!!ていう感想です(伝わりづらい;)
勿論、菱沢さんの繊細な文章で、ぐいぐい物語に入れました。
冒頭の、大学講義中、居眠りをしている義弟の
シャンプーの香りに戸惑う義兄のシーンから、
ぐわしっ!!と胸を掴まれるんです。
『年下の彼氏』もそうでしたが、
攻めが人当たりもよく明るく優しくて、
いつでも人の中心にいて
後ろめたいことの一つも似合わないような見栄えもする男。
片や、中性的な見た目で優しいけれども消極的な面があり、
決して我を通そうとはしない男。
両親の再婚により兄弟となった景輝(ケーキ)と雪宏(ユキ)。
雪宏が小児喘息持ちで、背も低く、可愛らしい見た目だったため、
幼いながらも守りたいと強く思い続けた景輝。
それが度を越して、ブラコンじゃ済ませられない程
ユキを欲して執着して束縛したがるように…。
中学二年の頃、仲が良いというキスでは納まらず
“無かった事”にせざるを得ない(未遂の)出来事が…。
二人とも同じ大学に通うと同時に実家を出てアパートで同居を始めます。
友人からも極度のブラコンと周知の事実で、おやすみのキスはする仲。
しかし、ケーキのユキに対する気持ちはずっと変わらず、
友人に「女子の集まりがいいから」と無理矢理参加させられる飲み会へ行く当日の朝も
「何時間も会えないと寂しいだろ。俺のキスも連れてって」と言う程ベタ惚れ♪
自分の実父がカメラマンで幼い頃亡くした存在でも
高校時代、その影響か写真部に入部し、撮るならケーキしかいないと
一生懸命になります。
その時の先輩・飯島と、彼がファンだった写真家の個展で偶然再会し
また遠ざかっていたカメラの世界へ足を踏み入れる事に。
しかし、高校時代、飯島先輩と親密にしているとケーキから逆上され、
また会うようになった事を言えなくなってしまいます。
自分だけが見られるケーキの姿を写真に残したくてモデルを頼む時、
「いつもと少し違って親切でキラキラした目をしてる」と指摘したケーキが、
さすが誰より好きな様子が伝わりました。
飯島先輩と会っていた事をひたすら隠していたのですが
ふと油断してケーキに知られる羽目に。
問いただされ本当の事を説明してもケーキが面白くない事は変わらない。
失いたくない存在で、自分も会った時から好きだったのを自覚しながら、
自分も好きだと告げたら家族でいられなくなるのを恐れるユキ。
でも、それ以上にケーキが誰かのものになるなんて耐えられないと
ようやく心と体を繋げます。
それからというもの、昼夜を問わず愛し合う二人!
最中の、自分しか知らない表情にシャッターをきりたくなるユキなのですが
ケーキに「それハメ撮りっていうんじゃないの?」とツッコまれますw
確かにHの最中でしか見られない、好きな人の色っぽくて優しい表情はある!w
二人の問題をクリアしたと思ったら、
今度はケーキを一方的に好きなバイト先の女子・呉川が
ちょっとストーカー気質で
以前アパートの鍵を拾ってくれたと思いきや、次は携帯を届けてくれ…。
その時、写メでケーキとユキがキスしているのを盗み見し、
ユキへ「別れて下さい」と脅迫めいた電話を入れる事態に発展。
それをケーキに直接言えず、飯島先輩と飲みに行き、
酔った勢いで暴露し、お持ち帰りされる事に!
二人の関係に気が付いていて、でもユキを気に入っていた飯島先輩、ナイス当て馬!
無理に襲うなんて事はせずに、
ケーキに連絡して迎えに来させるしキスだけで済ませるしw
キスマークを残したのですが、それの挿絵がもう少し前半の方にきていて残念でした;;
ケーキに呉川の事を白状し、それでも自分がケーキを好きだと言って繋がる甘さ。
今迄母親の負担にならないように、
喘息の為なんでも自分でセーブしてきたユキですが
ケーキだけは絶対誰にも譲れないと意思を固め、
ケーキはユキを傷付けた呉川を許せないと、話し合いに向かうのです。
…呉川という女子が表面上は普通だったのですが実は激しい恋愛体質で
過去に自分を捨てた男の家の前で手首を切ったとか!怖!!
ケーキはガツガツ皮肉を込めたり言葉をぶつけますが
同席したユキは見ていられず呉川を許します…。優しすぎる。
この、呉川を最後憎めないキャラにしてしまったのが
私的に納得がいかなかったというか…;
うまくいきすぎじゃないかな?と。
飯島先輩は、ユキが幸せなら良いからケーキとの仲は応援するけど
ケーキがユキを悲しませるなら奪うと宣言します!当て馬の鏡!!w
“小さく持ち上がった口の端と眠たいような気怠げなまなざし”という表現の通りの
穂波さんのイラスト!世界観まんまでした!
Chara17周年、キャラ文庫15周年という事でおめでとうございます!
それに相応しい、素敵な物語でした!(特に穂波さんの…しつこーい!)
写真自体にはそんなに興味はありませんが、
ユキが、高校時代陸上をやっていたケーキの瞬間を切り取りたくて
汗の一滴も逃したくない気持ちがよくわかる描写と穂波さんの絵。
とても読み応えがありました。
ケーキの友人・木元と高田の恋もスピンオフに出来そうな。楽しみです!
兄弟ものでイラストが穂波先生なんて、買わずにはいられない!と発売前から要チェック!な1冊で、発売後即購入したものだったのですが、読み応えありまっせ!な厚さから
なかなか手にとらず…本棚で眠っておりました!
今回やっとこさ読み終えたのですが、うわーうわー萌え!とかなりキュンキュンさせていただきました~!!
兄弟ものは大好きで、いつも「兄弟」「弟の兄(もしくは逆)への執着」とかそういうワードがつく商品を見つけるとものすごいスピードで購入してしまうわたくしなのですが、
今回の『同い年の弟』は個人的に当たり!でした~♪
なんでもできてイケメンで人気者な弟に、体があまり強くなく、控えめで、でも芯を持った中性的な兄。
【攻め】弟・〈景輝(ケーキ)〉の【受け】兄・〈雪宏(ユキ)〉への隠さない愛情というか、もうユキしか見えてない!ユキしかいらない!という様子には、どんだけ好きなんだ~!いいぞ、もっとやれ!とニヤニヤが止まらず!(笑)
ケーキにとっては合コン参加も、女の子と出かけるのにもユキが一緒、というのが大前提。『ユキがいないとつまんねーもん』と言う彼の一番はやっぱり何よりも兄なわけで。
そのオープンな愛情に、ユキはケーキの感情に気付きつつも気付かないふりをして、
「僕とケーキは兄弟」「お前は弟」という言葉でこれ以上踏み込んではダメだとストッパーをかけて。
そんな2人には実は誰にも言えない秘密があって、それは幼い頃に好奇心から始まった「遊び」。
最初は可愛いキスで終わりだったのが、それはだんだんとエスカレートしていって…
血は繋がってはいないものの、兄弟・男同士であって、お互いが大切、家族以上の好きを抱えている、自分たちのせいで家族の幸せを壊したくない、でも自分の想いは…と自分たちの関係に葛藤する様子は兄弟と一緒に切なくなります。
血が繋がっていない、という前提もあってか兄弟もののダークさはないものの、上手くいってほしい、幸せになってほしいと願いつつも、家族のこと、世間体を考えるとそんな簡単にうまくいかないよなぁと一緒に切なくなりました。
しかし若い彼らには、「自分がいまどうしたいか」という結論によって幸せへ…と
思いきや、彼らにまたもや災難が…!?
ちょっぴり当て馬的存在なユキの先輩・飯島の存在もまたいいんですよね~!
ユキを狙っているのか、そんな邪な気持ちはないのか…?本気なのか冗談なのか?
そんな心情が読めない彼もいいキャラしていました♪
魅力的なキャラクター達ですが、穂波先生の絵柄がまたキャラ達の魅力を大幅にアップしてくれています。
いつも本当に素敵なイラストを描いてくださって、大好きなんですー!穂波先生がイラストの小説等は、内容を見ずについほいほいと買ってしまいます…!(笑)
この「兄弟もの」というBLジャンル内では多く取り扱われる題材を、とっても上手く使ってくださった作品だな~と勝手ながらな感想です!
兄弟もの特有の禁断、背徳、ダーク、ドロドロ…そんなワードが当てはまる作品も大好物ですが、今回の作品のようなほっこりドキドキ兄弟もの(なんじゃそりゃ)もとっても萌えでした!
どこまでも仲の良い、2人で1つなケーキとユキがなんてったって可愛い!
兄弟ものがお好きな方にはぜひぜひ♪
タイトルが意味深ですよねぇ。双子か義兄弟か、妹の夫か…。読む前から妄想が広がりんぐで止まりませんでした。これは大学生の義兄弟、ケーキとユキのお話。すっきりと読めて甘めな展開。ダークさはありません。
小学校卒業と同時に親の再婚で兄弟となった白崎雪宏(ユキ)と景輝(ケーキ)。二人の出会いから思春期、そして大学生となった現在に至るまでの軌跡が描かれています。大学生になってもベッタリな白崎兄弟ですが、特に弟ケーキの、ユキに対する過保護過ぎる執着ぶりが尋常じゃない。実家を出て同じアパートに住み、同じ大学に通う二人。おかえりとおやすみのハグ以上のスキンシップは、ちとやり過ぎじゃなぁい?
ユキは実父がカメラマンだった影響もあって高校では写真部に、体格に恵まれスポーツ万能なケーキは陸上部に入部します。ユキは写真部の先輩、飯島に手ほどきを受けながら、ケーキを被写体にシャッターを切り続けるのですが…。
元々二人は他人だったのだから、たとえ同性であることに抵抗があったとしても、近しい相手に恋人に向けるような独占欲を抱くこと自体、それほど罪深く感じる必要はないんじゃないのかなと思ってしまうのは腐った見解かしら(笑)
ですが、ユキは頑なに家族としてケーキと一緒にいる方を取ろうとするんですね。大学卒業後のことには思い至りもせずに。悪意のない当て馬も登場したりして、二人の関係は次第に煮詰まっていくのですが、きゅんきゅんさせてくれるのみで無駄に気を揉む必要はありませんでした。ホッ。別の作品を読んだ時にも感じましたが、濡れ場の描写は地味にエロティック。
先生の文章はさらっと読みやすくて好みです。兄弟モノは描き方によっては重たくドロッとした味付けにもできるけど、どのキャラクターにも変なクセがなく、どこかしら清廉な印象。挿絵のイメージそのままの繊細で端正な作風のお陰で、とても心地の良い読後感でした。
評価は挿絵込みで。
BL書籍を単行本で読むと一味違う感じがするから不思議ですよね。
イラストもド~ンって大きめなのもファン心理としては嬉しいのかも知れない。
単行本のソフトカバー版は、気安く読むには大きめなので向きではないけど、
じっくり腰を据えて楽しむ感じで読んで欲しい作品でした。
キャラの記念企画と言う事ですが、この作品の攻め様視点の番外編が電子書籍で
(Char@VOL・2)に「祈る弟」と言うタイトルで掲載されているようなので、
お好きな方は合わせて読めば楽しさ倍増でしょう。
内容的には親の再婚で3か月違いの兄弟になった二人の出会いから、思春期の悩みを
引きずりながらも、結局は互いにこの人でなければダメだと結論が出るまでの
心の描写で、戸惑いや迷い、嫉妬に独占欲、様々な思いが交錯していく中で
二人なりの幸せを掴むまでのお話だと思います。
血の繋がらない兄弟だから、禁忌って雰囲気もあまり感じないけれど、
受け様の揺れる心の動きと、攻め様の激情が怖いくらい伝わる内容でした。
もちろん二人にとってはハッピーな展開ですし、全体的には甘い作品ですね。
義理の兄弟のお話です。
表紙の優しげな雰囲気や本の厚みなどから、切なめで読ませる系のお話なのかなと思いました。
切なさもありましたが、個人的にはあまあまなお話です。
そして弟・景輝の歪みのないワンコっぷりが最初から炸裂していたので、思いのほかキャラ萌えっぽく感じました。
ワンコ×ぐるぐると一言で言えてしまう感じ。
しかし、主人公の雪宏(受け)の背景がきちんと書かれているので説得力があり、納得しながら読むことができました。
景輝と雪宏は、太陽と月といった具合に正反対な人間性です。
なのでお互いが魅かれあうというのも凄く分かります。
特に雪宏は静かな性格なようでいて、写真に対する思い入れや景輝に対する羨望などといった情熱を隠し持っています。
亡くなった父親が雪宏の背景にちらついたり、自分の身体的なコンプレックスなども絡んでいるために雪宏のほうがより人間味を感じました。
景輝は、から回り気味な愛情や自信のなさ、過去の失敗などでいっぱいいっぱいなのは分かるのですが、あまりにも雪宏のことを理解していないような気がしました。
いたずらに嫉妬するばかりで、友達の少ない雪宏に「親しい人ができて良かったね」と言える思いやりもありません。
そりゃ雪宏も苦しくなっちゃうよと。
若さからくる未熟さなのかもしれませんが、景輝はそういう所にもっと気づいていってほしい。
執着攻めはとても好きなのですが、執着とは自分の気持ちばかりであり、相手を一人の人間として尊重していないのかもしれないと今更ながら考えさせられました。
ただでさえ閉じた世界に入ってしまった2人なのだから、それぞれの世界は少しでも開いてほしいです。
それはお互いを成長させるし、信頼関係のある恋人同士として長く続くと思うからです。
あて馬的な役割である飯島(雪宏の先輩)の方が何倍も安心感がありました。
素敵なお話でした。(ストーカーの子と大学の友人はアレだったけど)
好みの問題なのですが、それ以上でも以下でもありませんでした。
同い年の義兄弟モノです。幼い頃に出会い、攻が受に長い年月をかけて片想いしていて思春期と共に暴走する…という展開は大好きなはずなのですが、この作品はそこまでグッときませんでした。菱沢九月さんらしい、穏やかで丁寧な描写ゆえかしら。あらすじだけ読むともっとハラハラするかと思ったのですが、どちらかというとまったりした気分で読みました。
また、受のユキがウジウジ…までは行かないもののちょっと湿っぽいキャラクターで読んでいて焦れったく感じました。
それにしても、ユキの台詞中の「ケーキ」って呼び方には最後まで慣れなかったなぁ…。