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amayaka na kuchibiru
語れるほど高峰あいす先生の作品を読んでいないのですが、ちるちるの検索結果からはお嫁さんネタが多いのかなという印象で。この作品も、不憫な過去をもつ健気な受けが、優しく包容力のある大人な攻めのところに嫁にいくような話です。
望(受)が健気な良い子なので好感が持てる分、虐待を受けていた過去は辛いのですし、義父には腹が立ちますが、松倉(攻)や大河屋の方々が強く優しくて素敵です。大旦那格好良いな!
そこに至るまでの過程は切ないものの、読後は甘いという印象でした。「くちびる」というタイトルがなんかもう…望の味覚障害が治り、幸せになってくれて嬉しいです。
竹美家らら先生のイラストが「切なくて甘い」作品の雰囲気にピッタリだと感じたので、竹美家先生のイラストがお好きで小説を買われる方には、お勧めだと思います!
このお話の受け様はとっても可愛そうな背景があるんですよね。
虐待なんてBLの中ではかなり王道ですが、この受け様の虐待はお腹を空かせた子供に
わざと腐らせたものを与えて、苦しんでる姿を見て笑ってるような手合いと
過ごさなければならなかった受け様はほんとに哀れなんです。
それまでも貧しいながら親子で暮らしていたのに実父を病で亡くし、
母親と二人で上京し、やっぱり貧しい生活をしていたが、母親が再婚した途端、
その相手に虐待され、母親は暴力を恐れ義父の言いなりに働き、母が仕事でいない時は
受け様を苛めて憂さ晴らしするような義父との生活だったんです。
そして、母親が限界に来た時に受け様をつれて逃げるのですが、受け様は母親に
大店の大河屋に丁稚奉公と言う名目で捨て置かれる事になります。
でもそこでは、店の旦那や奥方、一人息子の芳秀に大事にされながら暮らす事になるが
受け様は幼い時の栄養不良と義父に受けた虐待で味覚障害になり食べ物の味が解らなく
なってしまっているのです。
精神的なトラウマと言う感じで後半に全ての虐待が分かる時に義父への怒りが湧きます。
攻め様との出会いは、受け様を実の弟のように可愛がっている芳秀兄さんが味が分からない
受け様のために悪友でもある洋食シェフの攻め様の店に連れて行った事から出会い、
始めは受け様の事を誤解し冷淡な言動をした攻め様が受け様の障害を知り、
自分の料理で味覚を取り戻させようと考えるのですが、それは攻め様が思っていたより
大変なものだと知り、心の治療が先だと気が付く攻め様は、受け様がリラックスして
食べる事が出来るように、店が終わったら試食を兼ねての食事に誘う。
始めは遠慮していた受け様ですが、攻め様のお手伝いだからという事で通う事になる。
過去のトラウマが原因で人に甘える事が一切出来ない感じで、更に義父に植え付けられた
心無い言葉で、自分は汚いと思い込んでる受け様。
そしてそんな時に攻め様の元彼が攻め様を手に入れる為に、受け様に嫌がらせを・・・
しかし、それを頼んだ相手が受け様の義父だった事から受け様はショックで更に
体調を壊してしまう、その後も受け様に対する嫌がらせが大店の方にまでおよび、
受け様は全てが自分のせいだと追い詰められていくのです。
結果的には幸せになるお話ですが、幸せを素直に信じられない受け様がホントに不憫。
自分に自信が無くて、必要以上に相手を思いやる健気で無垢で臆病な受け様。
思わず早くもっと幸せにしてあげてと願ってしまうお話でした。