塩茶
goshujinsama no iutoori
同人誌番号Op.31。18冊目の《犬》シリーズ。
同人誌オリジナルの「黒革の手袋」の主と《犬》の番外。SSペーパー再録と書き下ろし。「ご主人様の言うとおり」2~5とタイトルがつく。
1は、「黒革の手袋」に巻末ショートで収録されている。
恋仲となった、攻めわんこ・青砥と彼の主・薫の日常とお仕事。
強烈な個性を持つ登場人物揃いの《犬》シリーズの中で一番の常識人かも知れない青砥と、氷の美貌に天然を隠していた薫のコミカルな会話に思わず笑いが出てしまう。
以下、ネタバレを含む。
2~4は、バカっプルと化したふたりの日常。
より良い夜の営みについて、恋人として・伴侶として・主従として・公安捜査員として、妥協は許されず。
甘々、噛み合わない会話の面白さ、いつまでも読んでいたい。BL読みには堪らないSSだろう。
いつもの疑問だが、玄上さんはこの手のSSがとても上手い。なぜ商業の巻末にこういったものを付けないのだろう。本編のシリアスと相まって非常に良いのだ。
本編を懸命に生きてくれたキャラクターの新たな一面を見ることができて、これぞBL読み至福の時。と感じる。
コミカルな中にサラッと示される未来への思いに切なさと哀しみと愛しさと。
そして、5。
30ページ足らずで展開される事件は、商業誌における「事件」との関連はなさそうな気がするのだがどうだろう。
公安の上司や商業誌において謎の人物がちらりと登場し、全く関係ないとは言い切れないかもしれない。
この事件で、前作から変化した主と《犬》の関係が見せられる。
少ないページ数と思えないほどの密度の展開。
かけがえのない相手と認めあってさえ、薫の中にはなお青砥を踏み込ませない傷が残る。拒絶ではない。「事件」はまだ解決していない、ということなのだ。
《犬》ならではの無垢で受け入れる青砥の成長速度には驚かされるばかりである。
「黒革の手袋」レビューで書きそびったのだが、
青砥は今のところ唯一の、お料理上手わんこ、のようだ。
薫のために味も解らずに整えられる食卓の彩りは、このカップルならでは。
巻末の「青砥のお料理教室」は、もしも、のわんこ集合が楽しい。
信乃、犬姫、青砥。わんこたちと主たちの個性の違い。
ここには登場しないクラウディアもいつか!!と願って!!
あとがきにある、
青砥達はもう一本長いお話
もう一人(わんこ)をそろそろ出そうかなあ
の言葉は果たされておらず(2018年時点)ファンは待っています。
再びのわんこワールドを!!
所謂『わんこシリーズ』の、同人誌オリジナルストーリー『黒革の手袋』の番外編集です。
強盗紛いの強引な捜索をする美貌の公安捜査官・薫(受)と、薫の《犬》・青砥(攻)。
青砥は(少なくとも現時点では)唯一の攻ポジションの《犬》です。
こちらには『ご主人様の言うとおり』2~5と『青砥のお料理教室』が収録されています。
ちなみに『ご主人様の言うとおり』1は、同人誌『黒革の手袋』に。
この『ご主人様~』シリーズのペーパー類再録の2~4(各5~10数ページ程度)は、2人の充実したHのためにあくまでも真面目に考えては青砥に相談して来る(だけならまだしも鑑識課へも真顔で相談に行く)薫と、それに振り回されて困りつつも幸せな青砥のあまあまというかアホアホというかの楽しい日々です。
ちなみに、読んでる私もとても楽しいです。
モチーフは、基本的に(1から引っ張る)『48手ハンカチ』のようです。
『眼鏡に顔射』もあります。
もう一度言います。薫は大真面目です。
書き下ろしの5は30ページ弱の中編です。
他より長い分、一応事件ものっぽくなっていて『ご主人様の言うとおり』がキーワードです。
ただ、私はこのシリーズはもう(48手ハンカチには拘らないけど)『ネタのみ』でいいんだよね。
というわけで、5は個人的好みにおいてはいまひとつ。
ラスト、見開き2ページで『青砥のお料理教室』
青砥が、商業誌『しもべと犬』『茨姫は犬の夢を見るか』の《犬》である信乃と犬姫に料理を教える・・・というネタです。
これだけで、3人の《犬》のキャラクターの違いがハッキリと伝わります。
トータルでは、ものすごく面白かった!
評価はともかく、極めて個人的に『神』級お気に入りです。
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