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shinshi to kikoushi yuragu tenbin
無骨で口下手、朴念仁な攻め様と、生真面目で世間ずれしていない天然気味な受け様との
水面下で育っているような恋のお話です。
古びた商店街で両親亡き後祖父と二人で和菓子屋を細々と開いていた受け様。
いつもは常連しかこない受け様の店に現れたのはビッシっとスーツを着こなした寡黙そうな
攻め様、受け様の住んでる商店街の開発事業を計画している企業の身内だった。
でも受け様は何故か攻め様が無理やり地上げ行為をするように感じず、初対面でも
攻め様から感じたのは、祖父と同じように不器用で無骨な感じなんです。
そして、突然受け様の店が火事になり、数件巻き込んで焼け落ちて全てを失う。
更に追い打ちをかけるように祖父まで亡くし、天涯孤独になり住むところも無く
当方に暮れながらも自宅があった更地になった場所の早朝に新たな一歩を踏み出そうと
思っていたところに、攻め様が突然現れ、一歩間違えば慇懃無礼になりそうながらも
有無を言わせぬ態度で受け様を連れ去る。
そして受け様は、流れで攻め様がオーナーでもあるカフェで働く事になるのです。
そこには雇われ店長で攻め様の後輩であるヒロトさんがいて、慣れた頃に恋愛感情で
付き合って欲しいと言われ、全てが初めてな受け様は戸惑いながらもやっぱり成り行きで
遊びなれた振りをしたように、お試しの遊び感覚での付き合いをする事になるのです。
でもそれを聞きつけた攻め様もその付き合いに参戦して来て、お試しで受け様は
二人と付き合う事になります。
自分の気持ちも分からない受け様と大人な二人、でも攻め様は朴念仁だし、無骨もの
店長さんはちょっと軽薄そうだけど、優しくてスキンシップ過剰。
優しいお兄さんに導かれながら初めて恋を自覚して・・・なんてお話かも。
受け様も攻め様も恋愛に不器用な感じで似た者同士みたいで、何も言わなくても
ご主人の事が分かる奥さんと口下手寡黙ながらも奥さんを愛してるご主人みたいな
二人のラブストーリーでした。
結論から言えば悪くはないです。大好きとも言えませんが。
間違っても『素晴らしい』とか『感動する』というような作品ではありませんが(プリズム文庫の真崎さんという時点でそれはない)、一応私の好みの範疇です。
プリズム文庫の真崎さんを買う・読むのは、いつも『博打』の気分です。個人的にものすごく当たり外れがあるものの、極めて個人的な好みにおいて、ですが『当たり』が大きいんですよ。いわば『私(だけ)得』ってこういうの?って感じです。
つまり、作品の良し悪しではなく(実際、巷の評価は婉曲に言っても高くないものも多い)、わけもなく好き(=自分好み)な作品だってことなんですが。
真崎さんはかなり作風の幅が広い作家さんですが、中でもプリズム文庫は偏ってる気がします。両極端の片方に。
まず『せつない』『感動』系統はほぼあり得ないので(あ、『イロモノ』でもせつなさを含んでいるという作品はあるでしょうが)、最初から多大な期待はしていません。あとはただ、自分の好みに合うかどうかだけの問題です。
こちらは、タイトル・表紙イラストからして、三角関係がテーマなんでしょうが、そこまで行ってない、単にCP&当て馬じゃないのかなあ、と感じました。
千鶴が『2人を天秤にかけている』というよりも、『2人が乗った天秤を持たされた』と言った方がいい状態ですから。確かに、お試しにしろ『3人で付き合う』という形にはなっているものの、千鶴の気持ちがそもそも『揺れて』ないし。
あとがきで作家さんが、『わりとすぐに千鶴の選択はわかるだろう』と言われていますが、そう書くくらい自覚してるんなら、ここまで『三角』を押し出さなくても、と思ってしまいましたよ。普通に単なる当て馬でよかったんじゃないのか!?作中、喜多川も自ら『当て馬』って言ってるし。
そういうわけで、すごく好みというほどではないですし、オススメもしませんが、逆に『これは無理!』でもないんです。私にとっては、プリズムの真崎さんのハズレはまさしく『ハズレ』としか言えないんですが、これはそこまでは行ってないですね。
どちらかというなら好きですよ。
はい、読み終わって一言・・・失敗してしもた!
そうだった、プリズムの真崎作品は過去はずしてるんだった!(個人的趣味により)
ついつい水名瀬さんの美麗なイラストに題名に危険が潜んでいるのを忘れてつられてしまったのでしたorz。。。
えっと、ですね~すごくポジティブでシンプルな物語です。
色々な障害や何かはもう上手い具合にしか働きません。
主人公が素敵なイケメン二人から求愛されてモテモテで、どっちも決められないわ♪
な、シンデレラドリーム物語でしたので。
もう、擦れっ枯らしてるおっさんの自分には、そのイケメン二人に求愛される主人公に
自分を重ねてみたりとか、イケメンにドキドキしたりとかが襲ってこない、
ときめきを感じないので、あ、そうですか、よかったですね。
乙女向きシチュエーションはどうにも背中が痒くてしかたがないやいっ!(←急に江戸っ子w)
赤ちゃん向けおせんべいの感触でした(涙)
物語の始まりは、これでもか、な不幸が襲ってきます。
両親を早くに亡くし、和菓子職人の祖父に育てられ、中学卒業と同時に祖父の元で店をやってきた主人公・千鶴。
時代の流れで商店街に再開発の話が出ていた頃、店が謎の出火で隣接3件を巻き込む全焼、そしてあっという間に祖父が亡くなり、行くあてもなくなりホームレスになろうかというその時、
千鶴の前に現れた、再開発不動産会社の人間である西城が現れ、千鶴にご飯を食べさせて、働くところ、住むところを世話し、そして保険などの手続きも一切をやってくれる。
働き始めたカフェの店長に、お付き合いしてみない?と言われ、何げにデートをしだしてみれば、
西城もデートに誘ってくる。
心は西城に傾き始める千鶴だが・・・
千鶴がスれてない、いい子だというのはわかります。
厳しい祖父の教えを守り、堅実で真面目で。
しかし、何もかも与えられてそれでいいんでしょうか?
よくわからないとはいえ・・・?
千鶴が天然だよ、というだけで片付けていいのかどうか~
用紙描写に、千鶴がコンプレックスに思っているのにどうもかわいいというのがあるみたいです。
イラストが水名瀬さんだったので、きれいな青年どまりですんでいましたが、もし違う絵師さんだったら、かわいい子供みたいな少年に描かれてたら、多分手にも取らなかったと思うので、挿絵の影響は大です(汗)
色々なシガラミを考えてしまって、素直によかったね。とは言えない作品でした。