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「愛しているから……」制御不能の激情に呑み込まれる。
明日を求める者と明日がいらない者
クラークとアンソニー、二人の物語の第3弾も、複雑に絡み合う人間がテーマ。
事件の陰に切なく哀しく愚かしい程の思いが隠れてる、そんなストーリーでした。
そしてお馴染みの主役の二人、暮らし始めて1年が経過している恋人同士だけど
やっぱり互いに過去を未だに忘れていない事が、忘れると言うよりこだわりとして
残っているが、今回はそんな思いが表層に現れるような展開で切なかったです。
アンソニーはクラークとの出会いがいかに幸運でクラークを愛しているかが今回も
切ない程伝わるのですが、それと同時に過去の自分を身近に感じる出来事が・・・
そしてその気持ちがアンソニーからクラークに向けてとんでもない形で出される事に。
アンソニーから頼まれた内容はクラークを絶句させ、とても願いを聞ける事では無く、
クラークにとっては、理不尽的な擦れ違いになるのです。
今回はある男の自殺と投資会社の倒産とが複雑に絡み合って殺人事件になるのですが
その事件の為にアンソニーが誘拐されてしまうのです。
全ての事件が明らかになった時に、心の擦れ違いが生み出してしまった悲しい結末や
子供を想う母の気持ち、自分の生い立ちに歪んでしまった身勝手な事件。
そして明日を求める人と明日を諦め、または明日などいらないと切り捨てた人間の
姿が印象に残る作品になっていました。
洋画を見ているよう
31歳元刑事の探偵デス×24歳元男娼の美貌助手トニーのシリーズです。架空の街とはいえニューヨークっぽい都市の近くのスラム街みたいなガラのよろしくない地区に愛の巣を構えて暮らしている2人。洋画を見ているような感覚でどんどんストーリーに入っていけます。
シリーズものなので近所のゲイバーに勤める女装男子（心は女性）のリタやマンディ、ダンディーで素敵すぎるデスの義父の弁護士ジェロームも活躍します。二段刷りなので本の厚さよりたっぷり内容があります。相変わらずBLより事件の推理部分の分量が多いですが、このシリーズは事件が悲惨で救いようがなく子供が巻き込まれる内容ばかりなのがちょっと鬱になります。それが神評価にしなかった理由。
とはいえトニーとデスの恋愛模様もきちんと描かれています。トニーはデスを愛してるけど自分の生立ちや育ちを卑下してデスには釣り合わない、と思っている。危険な仕事ばかりのデスを助手として側で支えたい。でも自分が足手まといなことも理解している、というのが切ないです。
デスの方もトニーの男娼時代の客には殺したくなるほど嫉妬するけど、トニーが思う以上に本気で彼を愛している。それゆえに愛する人を危険なことに巻き込みたくないので、助手としてトニーをあまり仕事に同行させたくない。お互いに思い合ってるのにこの部分はどうしても平行線なのです。この先も長く続くシリーズなのでその辺は話し合ってお互い妥協点を見出だしてるかもしれないけど。
書き下ろしの「BEAUTIFUL」はトニーがデスのカッコいい仕事ぶりと容姿にただただ萌え萌えしていて可愛いです。実際デスは超仕事できる男でコナン君もびっくりの名探偵、しかもひねくれてるけど情は厚いといういわばスパダリ？なので誰もが惚れちゃいます。その点でもトニーは不安だろうな。
続編とても読みたいけどずいぶん前に書かれたのにまだ完結してないようだし順番もよくわからないしで迷っています。でも皆様のレビューによると今回登場した金髪碧眼の天使ちゃんみたいなダニエル（←挿絵が可愛い）も今後もたびたび登場するようだし（性格はあまりよろしくない人ですが）気になってはいるのです。ああー！挿絵も綺麗だしこの新装版で続き出してほしいけどこのレーベルすら今はないようなので難しそうですね。どうしよう…旧版とりよせるか。積本読んでから考えよう。
