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oshiro de bl
収録作品データは順不同にてご容赦ください。
城の側からすれば落城というのは不覚であり恥であること。
ではそれをBLとして読み解けばどういう展開ができるか、
という実験を一冊まるまる使って行なっているのが当書です。
実験作と評者は説明しましたが、データはデータとして
押さえられており、そのデータに基づいて擬人化が構築されて
いると考えればそうそう粗末に出来ない力作です。
一辺倒な味わいではなく各挿話毎に細かな仕掛けが施されており、
その点でも飽きない一冊に仕上がっています。
安易な模倣はまず出来ないでしょうね。
同じ作家陣での続編・スピンアウト作なら楽しみですが。
城を見ると登城するけど、城の専門誌は読まない程度のライトな城好きなので
買うかどうかボーダーラインでしたが、葡萄瓜さんのレビュー見て
「同じ腐男子なのでツボは似てるんではないのか?」
とある意味安心感を持ちましたので・・・。
城を攻める→城を責めるに読み替えた城総受け、しかも落城する→攻めに落ちるというのをテーマに読み替えてるのがうまい!のです。
しかも、実際にその城の弱点がそこなのかはともかく、単に勝手に擬人化してるというより城の構造を考えながら慎重に言葉を選んで攻めのテクニックに生かしてたりする所が巧みだと思います。
(もっとも、ヘビーな城オタクからみりゃ隙だらけなのかもしれませんが・・・)
落とす時代も落としにかかる人も鎌倉から明治、大名から泥棒までとバラエティに富んでいて、その中でムキムキな大男城さんを犯すものからショタな空気味わわされるもの、まさに耽美!からツンデレと飽きさせません。
結構史実通り落ちてない城の話もあったりします(忍城とか、千早城とか)が、そこはちゃんと落ちてないというのがミソ。いや、むしろ落としそこなった攻めさんこそ魅力的だったり。
石田三成×忍城とか、どーみてもルックスに攻めのテイストがない(武将としてのセンスより政治家のセンスの強い人です)のに攻めろと言われたから攻めて、あと一歩でやられてしまうようなお話にはクスリときます。
アンソロジーですが、兄弟扱いの城には同じ絵師さんと文字描きさんでツインストーリーにしたり、城の特徴を容姿、さらにそういう容姿に描くのが得意な絵師さんをアサインしていたりととにかくつくりの丁寧さを感じさせる本でした。
でも、この本の2巻は無理でしょう。
落城や攻城戦を経験した著名な城はそんなに多くありませんから・・・。
萌え心というより雄々しさ系の男心をそそられる良作でした。
今後は城を歩くとき、攻めになった気でオラオラと登城する気がします。