そのとき…男の愛は牙を剥く──

ラ・テンペスタ

ラ・テンペスタ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神4
  • 萌×27
  • 萌9
  • 中立0
  • しゅみじゃない4

--

レビュー数
7
得点
75
評価数
24
平均
3.3 / 5
神率
16.7%
著者
水原とほる 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
葛西リカコ 
媒体
小説
出版社
ムービック
レーベル
LUNA NOVELS
発売日
価格
¥857(税抜)  
ISBN
9784896018493

あらすじ

父親がヤクザの組長である孝義は、東京を離れ地方で平凡な大学生活を送っていた。ある日、抗争が勃発、孝義の身辺警護にと組員・宮城がやってくる。寡黙で忠実なその姿に孝義が心を許した途端、男は凶暴な本性を現すと彼を凌辱し……!?

痛いほど不条理な愛の嵐
水原とほるが描く究極の執着愛です!
(出版社より)

表題作ラ・テンペスタ

元刑事の構成員、30半ば
組長の息子で内気な大学3年生、20歳

その他の収録作品

  • リビラチオーネ
  • あとがき

レビュー投稿数7

題名でほぼネタバレ・・美への執着愛

水原先生のややソフトな狂気溢れる執着愛。
題名と内容を象徴する美術品が二つ登場。

一つは、タイトルのラ・テンペスタ 原題 “La Tempesta” 「嵐」
母乳を与える座る女性の右の地面に、乳児が座る
背後の雷雲、周囲の大地、水、大気、火
・・謎の多い「聖なる会話」と言われる作品。

もう一つは、作品中に登場する美術品、”Vergine delle Rocce” 「岸壁の生母」
聖母マリアと幼児キリストを礼拝する洗礼者ヨハネという主題、
受難の予兆を表す象徴的植物トリカブト、シュロの葉、アヤメ。

暗示するのは、親の庇護から離れる子供が味わう動乱。
でも内容は、攻の一目惚れで起こる受の嵐。

1

嵐の後に残った物は

とても良かったです。
執着攻めは大好物だがDVは大の地雷(あと受けが酷い目に遭いすぎるのも苦手)の自分にとって、水原さんは合わない作家さんだと思っていて今まで避けていましたが、
この話のあらすじやレビューを読んだらものすごく惹かれるものがあった為、思い切って購入しました。
この話に限って言えば自分にものすごく合っていました。
DV要素は全くありません。

受けの孝義は一部の女子に「王子」と呼ばれ割とモテますが、おとなしい性格の上に自分の性癖と家庭環境(ヤクザの家の息子、だが離れて暮らしているし継ぐ予定も全く無い)等で深い付き合いを好まず、20歳になる今まで誰とも付き合っていません。
そんな孝義の前に警護という目的で組員の攻め・宮城が現れます。
この宮城の孝義に対する執着が本当に半端ありません。
孝義と出会ったせいで宮城の人生が変わってしまった、というレベルです。
このあたり(宮城の孝義への執着具合や宮城と孝義との出会い等)は是非実際に読んで確かめて頂きたいです。
宮城には孝義しかいません(というか孝義以外本当にどうでも良いと思っている)し、孝義も宮城が相手なら性癖も家庭環境も考えなくても良いので、結局の所とても良いカップルだと思います。

後日談「リビラチオーネ」は宮城視点で、本編の一年ちょっと後の孝義がイタリア留学から帰って来た時の話。
後日談にエロが無かったのが残念です。
後日談でラブエロ見たかったです…

主要キャラはみんな好感持てました。
孝義はおとなしめの性格の美形で自分の好みの受けですし、宮城の執着具合は半端無いです。
あと孝義の親しい先輩の矢部も良いキャラしていますが、善意の行動のはずが、それがきっかけで孝義の危機(攻めの宮城に性的に襲われるのも含む(笑))を何度も招いているのが何とも言えません(笑)
というか本編のトラブルのほとんどが矢部の悪意の全く無い行動がきっかけになっています。
終盤に孝義が矢部に正体を明かした後の矢部の台詞は男前だと思いました。
しかし矢部は孝義が憧れていた事はありますが、女の子大好きな普通の男子大学生なので、孝義の恋愛には全く関わらないんですけどね。


買って大正解でした。
執着攻め好きな方にはお勧め出来ます!

6

狂犬に愛された天使

思わずタイトルの絵画をググってしまいました。
確かに美しい。
こういったことを話に盛り込めるのがすごいと思います。

攻め様が登場したときから少し様子がおかしいです。
坊ちゃんに対して、偉そうな態度、そしてちらちら見え隠れする執着w

受けの孝義はいい子ですね。やはり生まれが組長の息子なのでいろいろと苦労することもあったのでしょう。ゲイですし。これからも苦労することが多々あると思いますが、是非攻め様が邪魔者を排除し続け、孝義の生き方を守り続けてほしいです。

らぶ・エロだけじゃなく、ストーリーとして楽しめました!

3

狂犬には天からの啓示なのか?(w)

実家のヤクザの影響の少ない離れた地の京都で大学生活を送る主人公のもとへ、抗争の影響があるかもしれないと、護衛にやってきた元刑事のヤクザ。
「お前は俺のものだ」と強引に体を奪われ・・・
なんて、あらすじなんかを見てしまうとあ~あ、、いつのもよくあるパターンね。。。
なんて思ってしまうかもしれない。
確かにそういう部分はあるんですが、今作に実はちょっと魅力を感じたのです。
それは攻めとなる男、彼が主人公に対して激しい執着を持った犬であること。
たしかに発情して押し倒しちゃったりもしますし、ご主人である主人公に傲慢で不遜な態度もあるのですが、根本はご主人様大事!大事!好き!好き!好き!
そしてご主人様に害をなすものには、牙を向いて威嚇するはかみつくは凶暴だったりの狂犬ぶりを発揮して。
でも、それだけだとままあるかもね、なんですよね。
もう一つこの狂犬にとても興味がわいたのは、その主人公への執着が始まった理由です。
それは具体的には本編後の『リビラチオーネ』で明かされるのですが、なぜだかそれがストンと腑に落ちて、そしてそういうのもあるかもしれないと思いながら、ひょっとしてこいつはショタ趣味も持ち合わせていたのかとか、まま、色々とこの狂犬の思いに微笑ましさを感じてしまったからかもしれません。
なので、萌え萌えに近い萌えなんです♪

孝義は関東の穏健派ながら中堅どころの規模の組織生野組の組長の息子。
母親を早くになくしまし、争いごとを好まないデリケートな精神面を心配して父親が全寮制の高校で学ばせ、美術が好きなことから京都の美大に通っているという、組とはあまり関与しない生活を送っている大学生。
そして、彼は周囲に実家が暴力団だという事実は全く隠しているのですがもう一つ、ゲイであることも隠し、一生好きな美術に携わってひとりで生きていこうと考えている。
あるとき、関東で抗争が起きて組長の自宅に鉄砲玉が乱入して父親が怪我をするという事件が起きたために、孝義の元に火の粉が降ってくるかもしれないからと、自ら志願してきたという宮城という構成員がやってくる。
組に関わりたくないという気持ちと、京都には影響がないという気持ちから宮城を鬱陶しく思う孝義だが、とうとう暴漢に襲われて宮城が怪我をしたことで、事実を認めざるをえなくなり、宮城を自宅へ泊めることになる。
「お前は俺のものだ」と言って彼に襲われるのだが、孝義は抵抗するものの自らの中の葛藤は宮城への嫌悪を抱くわけではなく、恐怖ではあるが、自分の生まれた環境と性癖など現実の直視の問題であるようでした。
そして、密かに好意を抱いていて仲良ししている先輩に誘われて雑誌のインタビューに連れて行かれた孝義は、拉致されてしまい・・・

題名の『ラ・テンペスタ』はジョルジョーネの絵画です。
宮城が印象を持ち、それに孝義を重ねてみた絵画として引用されていますが、自分にはちょっと・・・?
またその後ダ・ヴィンチの『岩窟の聖母』も引用されていましたが・・・?
ちょっと自分の持つイメージとは違うようです。

冒頭に述べた宮城の理由。
彼の刑事からヤクザになった理由。
彼が父親から教わって固執していてそれに満足感を得るために警官になったという過去があるのですが、その対象が孝義になったということでしょう♪
振りかざす正義の対象が個人になっただけで、彼の本質は何ら変わらないのですw

主人公の孝義についても、文章中で「これは愛ではないかもしれない」しかし宮城といると許されているような、、、といった表記がされています。
これはこれでありなのだと思います。
決して宮城にとって孝義が崇高で神聖な存在ではありませんしね。
珍しく、攻めの存在がいい味をだしていた作品だと思いました。

6

無茶ぶり加減が半端ない攻め様~

元刑事でヤクザの攻め様が、そのヤクザの組長の一人息子である受け様を
ビックリする程の自己中な執着愛で捕まえ逃がさないように愛するお話です。
だからと言って監禁ものではないのですが、それに近い雰囲気もあります。
訳も分からず狙われた受け様がお気の毒で、訳を知った後もその一方的な
理不尽な執着愛には脱帽してしまうような内容なのです。

受け様は関東でも大き目の組のヤクザの組長の息子なのですが、
亡くなった母親の希望もあり、受け様は実家からなるべく離れた場所で暮らしていて
綺麗な物や美しいものが好きな受け様はルネッサンス芸術を勉強していて
京都の大学で学んでいたのですが、ある日眼つきの鋭い男が現れ受け様の護衛だと・・・
いぶかしむ受け様ですが実家での抗争の詳細を知り、納得出来ないままに従う。

でも、この攻め様、護衛だと言う割には組のお坊ちゃん相手に尊大な口を聞くし、
交友関係も必要以上にチェックしたり、挙句コンパで女性を紹介されると聞き及び
受け様の下半身のお世話まで無理やりしてしまうような横暴さんなのです。
そんな事をする攻め様に反感や不信を抱きながらも初めて身の危険を本気で感じる
出来事があり、攻め様に助けられ、自分の為に怪我をした攻め様に罪悪感を抱く。
そしてちょっとしたプライベートの行き違いで攻め様に今度は無理やり抱かれ、
受け様を自分のものだと言い放つようになる攻め様に受け様は動揺する。

一応、再会ものでもあるのですが、一方的と言った方がいい過去の出来事が
受け様の一生を、そして攻め様の今まで生きてきた全てを覆してしまう事に・・・
下手なストーカーよりも怖い思い込みの攻め様なんですが、無理やりでも
受け様に受け入れてもらえたから良かったものの、下手したら受け様に害をなす
存在として抹消されても文句が言えないような攻め様でした。
過程環境から荒んでいた攻め様が受け様を天使だと、美しく守るべき存在だと
思った事から始まる執着愛、理不尽だけど、面白かったです。

4

ドラマチック展開が読みたい時に最適なお話

電子書籍で読了。挿絵なし(このイラスト、見たかったな~)。あとがきあり。

ヤクザの家に生まれた孝義は実家を出て大学で美術史を学んでいます。母は既に他界していますが、父によって孝義は慈しみ育てられました。家に出入りしている組員との交流はあるものの、組とは無関係な暮らしを続けてきました。しかし、父の組をめぐる抗争が勃発し、巻き込まれることを恐れた父が、孝義の身辺警護のため宮城という男を送ってきます。今まで接してきた組員とは異なる雰囲気を持ち、父親の安否など詳しいことは全く話さないままに過剰とも思えるほどの制限を強要する宮城に孝義は反発を覚えますが、宮城に「お前は俺のものだ」と触れられて恐怖を感じます。しかし、刺客に襲われた孝義を恐れる事なく身を挺して守る姿を見て、孝義は混乱していきます。抗争が長引くにつれ、孝義の身辺はさらに危険になっていくのですが……

水原さんのお話をそれほど読んでいる訳ではないのですが、読んだもののほとんどが『運命』っていう言葉が頭に浮かんでくる様な話なんですね。
今回もそう。
孝義は知らずして宮城の運命を狂わせちゃっている訳で。
いやー、でも、本人が気づいてやっているのではないので、孝義としては怖かっただろうな~と思うのですよ。私は「話せば解る」派なので「もっとちゃんと話せばいいのに」とも、身も蓋もなく思うのですが、まあ、そうなっちゃったらドラマにはならんしな。
『昭和の男』とでも言うべき宮城あってこそのドラマチックな展開。

あ、参考までに、
水原作品の中では、痛くないです。安心してお手に取りください。

4

雷に打たれたかのような出会い

ラ・テンペスタ 
イタリア語で「嵐」という意味なのですが、ジョルジョーネというイタリアの画家によって描かれた「ラ・テンペスタ」というヴェネツィア派のルネッサンス絵画がモチーフとなっています。
この絵は「嵐」と名前が一応ついてますが、本当に嵐というタイトルでいいのか、そもそも描かれている内容は何を表しているのかがはっきりせず研究者によっても解釈が様々異なる絵画なのですが、まさかこの絵を元にBLが生まれるだなんて想像もしていませんでした。
この絵をググっていただければわかると思うのですが、野外で授乳する母親とそれをチラ見する男という絵なのでどこにも腐要素がないんですよ!
男同士ですらないのに、これを元にBL作品が生まれちゃうとは!という衝撃を受けました。

さて内容ですが…。
ヤクザの組長を父に持ちながらも組との関わりを持たず、京都で平穏にイタリア美術を学んでいる孝義の前に、宮城という男が「お前を守る」といきなり現れます。
父の組で抗争が勃発したため警護のために送り込まれてきたのですが、傲慢な命令口調で有無を言わせない雰囲気といい、あまりにも他の組員とは毛色が違う宮城。
おまけに「やっと会えた」だの「おまえは俺のもんだ」だの「ほしいのはおまえだけだ」だの言った挙句に、無理やり押し倒してきて……。

とにかく超〜執着男です。
組長に命令されたから警護にきたのは確かに事実であるけれど、あくまでそれは坊ちゃんに近づくための手段にすぎない。
なんでこんなに孝義に執着しちゃってるのかというのが後半に明かされていきます。

水原さんは初読み作家さんなのでちるちるのプロフィールを見たら
「受けが容赦なく痛めつけられる事が多い水原さんの作品。
痛めつけるにはそれなりの深い理由があり、ストーリーづくりが上手い。」
とあり、思わず納得。

後半は「それなりの」「深い」理由が描かれてまして、12歳のぷるぷる震えるいたいけな美少年に一目惚れしてしまった己はショタコン……などでは決してなく、あれは至高の美だったんだ!!神からの啓示だったんだ!!と力説しまくってる宮城…おつ……みたいな感じでした。
あれを深いと感じるかどうかは別として、とにかく受け様に出会う前、出会った後で人生がガラリと変わってしまった…ドッカーン!と雷に打たれちゃったんだなぁと思いました。

友人達と談笑しながら歩く中学時代の孝義の姿を影からこっそりと見つめていたという宮城の述懐に至っては笑うところでは全然ないのに、なんかもう笑ってしまいました。
ただの乙女じゃん……みたいな。

宮城に対していいなと思った点は、孝義がイタリアルネッサンスを学んでいるのでフィレンツェ留学の話が出るのですが、「戻ってくるというなら待っている」と送り出すんです。
もし「ダメだ!俺から離れるな!!」みたいなことを言ったら、私の宮城に対する評価は地に落ちていたはずなのですが、半年の話が延びて一年になってもそのつもりで送り出していたという宮城、なかなかやるじゃん!と思いました。
ただし「待ってる」の前に「もうずいぶん長くおまえを追いかけて、俺も少しつかれた」と言ってるので、宮城でも疲れることってあるんだなぁ…とついニマニマしてしまいました。

4

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