羅
sugar sweet
ほんの出来心だったんです・・・・・・では済まされない事態になってしまいましたね。
決して雄心だけが悪いわけじゃないんだけども、騒動の火種を撒いてしまったのは間違いなく彼ですね。
何が一番悪かったって、冗談を言う相手が悪かった!!
そこが彼の今回の騒動における最大の過ちでしょう。
何故、冗談のいっさい通じない朔にあんなことを言ってしまったのか・・・彼も疲れてたんでしょうね・・・。
そして今回、いちばん気の毒なのは珠玲だったと思います。
『堕つればもろとも』番外編。
天姫・珠玲は夫である朔将軍のために、近頃慣れぬ針仕事を習っているが、
上手くなるまで内緒にしておきたいと思っている。
珠玲のことならば異様に鼻の効く朔は、
なにやら隠し事のある様子の妻が心配でならならない。
朔の腹心・雄心は、バカップルの犬夫である朔に年中振り回されているが、
そんな朔に出来心から「姫君ご懐妊か?」と冗談を言ったところ、
勿論朔はそれを真に受け……
丁度邸では、女房の1人が朔の子を身ごもったと女房の一人が言い出し
てんやわんやの大騒ぎになる。
これって……
あははは!と笑ってアホ話と読むべきものですね?
いや、もう、信じて喜びのあまり暴走する朔もいつもながらどうかしているし、
(注:姫とは申せど、勿論ここはBL界、珠玲は男でございますー。)
女房を妊娠させた疑惑に対して、身の証を立てさせる方法もどうかしている(笑)
そして、一途というには過ぎた相変わらずの犬ぶりで、珠玲しか見えない朔。
ご馳走さま〜〜
もとはといえば、そんな冗談を言った雄心が悪い訳なのだが、
あまりのトンでもなさに、なんとなく雄心に共感しちゃうところがなんとも。
彼の幸せな恋愛は、どんどん遠のきそうだ……
ことの始まりは雄心のほんの冗談からである。
それを朔は本気にして、心底喜び、涙ながらに市場を駆け巡り嵐のように買い物をしていくのである。
それぞれの章ごとに「雄心」「珠玲」「新月」と名前がつき、それぞれの心の内に光が当てられて話が進んでいく。
珠玲は朔のために水葉に針仕事を習っている。
朔には秘密で。
しかし珠玲の犬を自認している朔に隠しきれるものではなく、なんとなく気づいている。
根を詰めて頑張っているため顔色が良くなく、そんな珠玲を心配した朔は雄心に相談するのである。
そして冒頭の雄心のほんの冗談につながるのである。
朔が買い物に走り回っている同時期に、珠玲にある騒動が持ち上がる。
その騒動での珠玲の心の内がなんとも純粋で切ない。
朔をまったく信じて疑わないところとか、自分にはどうしても出来ないことに嫉妬してしまうところとか。
そして買い物を終えた朔が珠玲のもとを訪れての大山場を迎える。
今回も朔の犬っぷりが読んでいて微笑ましい。
そんな二人に振り回される雄心に「誰かいい人を~」と思ってしまう。
だけど朔よ、普通に考えれば相当に科学が発展しても不可能なことを何故に本気にしてしまうのか。
愛は本当に盲目である。
朔の腹心で基本的に度量の大きいはずの雄心が、毎回おのろけなのか痴話喧嘩なのかわからない騒動に巻き込まれるため、ほんの出来心で意趣返しに軽い冗談を言ったためにとんでもない騒動が起こってしまいます。
すぐに冗談だったと訂正しようとした瞬間には朔はその場を離れ、嬉し泣きしながら市に買い物に出て行った後…。
そして雄心が冗談を言ってる間に屋敷では別口の騒動が起こってるのです。
屋敷では珠玲や水葉の他にも女房達や下男達を目の前に、朔は窮地に陥ります…。
朔の犬っぷりは健在で、珠玲に対しての過保護っぷりもグレードアップ⁈
半端でなくとことん犬の朔は読んでてお腹いっぱいに満たされる気持ちになります。