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主役はリーマン。で、天使と人間のハーフ。嘘を見抜く能力を持ち、背中に羽根が生えている。
設定は特殊ですが、ストーリー展開にファンタジー的な要素は薄いです。
どちらかというとオヤジものリーマンもので、ごくごく普通のお話になっている。
相手役は、無愛想で気が利かなくて口の悪い部下。
こいつがもう、ほんと、不器用です。仕事はできるのに、人間関係においてはとことん不器用。幼稚園児が成長したらこうなるのかな。好きな人の前で意地を張って、言ってはいけないキツイことを言ってしまったり。
周囲の人間はそんな彼を恐れるんですが、主人公はそんな彼の内側にある『本音』を知るんです。
見どころは、この不器用な部下の可愛さです。
見た目や言動には現れない、内面の可愛さ。
主人公が彼のことを知り、好きになるのと同じ速度で、読者も彼のことを知り好きになってゆく。ありがちな展開ですが、ストーリー展開がうまくて、自然なんだよね。さすが木原音瀬さん。
あと、天使の羽根がバレる瞬間や、羽根つきのエッチも見どころです。
主人公が、ずっと隠し続け、誰にも見せたことのなかった背中なのだ。
『無様な羽ごと、強く抱きしめられる。守られるような、守ろうとするような、必死の抱擁。横山は目を閉じて、加賀の細い背中をそうっと抱きしめた。』
横山の背中には羽が生えている。
まさにファンタジーな設定ですが、内容は結構現実的。
横山と加賀が出会ったのは職場だし、仕事をするシーンも多いです。
それに普段横山は羽を隠してますからね。
でも横山には羽の他にもうひとつ特別な力があります。
それが嘘を見抜く力。相手が言ったことが嘘か本当かわかってしまうことです。
どちらかというと羽より嘘を見抜く力の方が話に関わってきます。
そんな横山を好きになったのが後輩の加賀。
加賀はゲイで今まで何度も恋をしてきましたが相手に自分の想いを伝えられないまま失恋することばかり。
理由は加賀は好きになった人に対して冷たい態度をとってしまうから。
ツンデレというわけではなくて、好きな人に自分の気持ちを知られたくないあまり突っかかってしまうんですね~
最初は加賀が横山を好きで好きで。でも酔った加賀が横山に告白してしまってから、横山も加賀を意識し始めます。
でも横山は特別な力のせいで加賀の嘘がわかってしまいます。
加賀の気持ちがわかってしまう横山と、横山の気持ちがわからない加賀。
そんな2人を見ていると切なかったです。
加賀の友達のさおりもよく登場してたんですが、最初は加賀のいいアドバイザーだと思ってたのに最後の方はちょっと厄介な存在になってました;
全体的に両視点で2人の気持ちがちゃんと伝わってきました!
『スロウ』は加賀視点だったかな。
最初は加賀→横山だったのに最終的に横山→加賀になってましたw
「一緒に、恋愛をしていこう」
最後はハッピーエンドでめでたしめでたし*
背中に天使の羽を持つという横山〔攻〕、空だって飛べちゃいます。
ファンタジー設定なのに、普通に会社員していて、あまりファンタジー色は感じなくて話自体の基本はリーマンモノに近いと思う。
でも横山には羽だけでなく、人の心の真実が分かるという能力も持っている。
そんな横山が営業でコンビを組んでいるのが仕事は出来るけれど何かとキツイ事ばかりを言って協調性にかける加賀〔受〕
横山は最初は加賀との仕事がやりにくいなーと思っているんだけど、一緒に仕事をしていく内に彼が嫌な奴ではなく、彼なりのやり方なんだと分かってくる。
そして加賀はというと、彼はゲイで横山を好きなんですがどうしても素直になれずむしろ憎まれ口をたたいてしまう。
こんな2人の恋愛をゆっくりじっくり書いてます。
ただやたら面倒な女だなーと感じたのは加賀の友人のさおり。
大体、ゲイとはいえ自分が好きな男の名前を子供に付ける段階でどうかと思ったんですよねー、自宅で電話しあう仲でもあるんだし旦那さんが知ったら嫌でしょうに無神経で身勝手な部分があるなーと。
そうしたら案の定のやっぱりな離婚話。
そして加賀の家へと泊めてくれとやってくる。
第三者から見たらどう見えるのかとか全く考えないで行動する、やっぱ無神経なんですよ、このさおりって。
書かれてはいないけど、そういう無神経な自分にの部分にも浮気される原因があったとか考えないんだろうか。
読んでてイラッときました。
さおりがどうにも鼻に付いたんですが、横山と加賀との話は良かったです。
普通の会社員なのに、横山には背中から羽が生えている。
そしてその横山に恋する不器用な後輩、加賀。
天使の羽のようにふわふわとして優しい横山と
ナイフの刃のように頑なできついことばかりクチにしてしまう加賀が対照的。
性格が極端に対照的なので、お互いのキャラが引き立つ構成になっています。
今まで天使モノというのはBLの中でも特別、めずらしくはないんですが、
天使の羽を持った会社員というのが斬新ではある。
しかも、天使とのハーフ、横山はごくふつうの真面目な会社員、しかもどちらかというと事なかれ主義的な面すらあります。
性格はさほど天使ではないんです。
さらに、自分の持つ羽をコンプレックスにすら思い、恋愛に臆病になっている。
そういう横山の人間くささが面白い。
一方の加賀ははっきりものを言い過ぎる性格が災いして、対人関係が非常によろしくない。
後半などは、あまりに一人でうじうじうじうじと考える加賀にこちらがうっとおしくなるほどですが、
ゆえに最後、二人が結ばれるシーンでは体の力が一気に抜ける。
天使の羽に抱かれた意地っ張りで不器用な男、この図がとても美しく癒される。