rhodorite
fresh&blood
原作第15巻が1枚にまとまっています。
海斗は21世紀へ、ジェフリーは監獄へと、双方一旦場を去ってしまったため、この巻からはナイジェルやキットのターンと言えるかな。ナイジェルのモノローグがぐっと増えたように感じます。ジェフリーの冤罪を晴らし、救い出すにはどうしたらいいのか、その目的に向かってこれからどう動いていくべきなのか、ナイジェルは自分たちの置かれた状況をおさえ、困難に立ち向かっていきます。それを助けるキットは相変わらずなかなか切ない立ち位置で。ナイジェルに「陸者にはわからない」と言われ、「俺を排斥するな!」と激昂するシーン、三木さん迫力の怒鳴り声は一聴の価値ありです。好きな人の属する集団の抱く強固な連帯感を「お前にはわからない」と当人に言われたら、本当に辛いと言うか、疎外感が募りますよね。私は、キットとナイジェルがどうこうなるというのは、ナイジェルの性格やこれまでの言動からはちょっと違和感があるように感じられるので、二人はこのままの状態でも構わないのでは派なのですが、それでもこのシーンはキットの心情が思い遣られる心持ちになります。それはさておき、原作では16巻以降もかなりナイジェルが頑張っているので、小西さんが大好きな私としても聴くのが楽しみです。
一方、21世紀へ辿り着いた海斗を迎える和哉。この人も本当にもう何と言うか、とにかく一途で、海斗が好きで好きで仕方ないのが本当によく伝わってきます(恋愛感情なのか単に強い執着なのか、判断がまだ難しいところなのですが…)。岸尾さんにより、その昏い情念がたいへん素晴らしく表現されていると思いました。「もうどこにも行かせないよ…」って気持ちがじわじわと迫ってきます。
ジェフリーへの拷問シーンは、物語とわかっていても聴いているのが辛く、水責めによる身体へのダメージは言うまでもないですが、「もう海斗には会えないだろう…」と、心までも辛く苦しそうな様子(むしろこちらの方がダメージなのかな…)が聴き手まで胸苦しくさせ、とても切ないです。原作よりは拷問への言及が少ないような気がするので、それはありがたかったかな。情けないですが、文で読むのはまぁ許容出来ても、音としてはなるべくそれを聴きたくはないので…。愛する人のためにその愛を手離した辛さや、海斗が彼にとってどんなに大切だったか、苦しみの中で海斗を想う諏訪部さんの声音は本当に見事で、名演が光っています。レイブンから収監されていた時の海斗の様子を聴き、ボロボロに弱った身体にいっとき輝きを取り戻す姿はとても切なくて、この先当分これが続くのかと思うと暗澹たる気持ちになってしまいました。こんな時ばかりは、(完結してから聴けば良かったかな…orz)とつい思ってしまいます(苦笑)。BLCD斜陽の昨今ですが、ぜひとも第6シーズンが発売されて欲しいですし、完結までCD化が叶えばなと心から思う作品です。
ジェフリーファンの皆さま、こんにちは。
や、ナイジェルファンもビセンテファンも、もしかしたらもしかしてのラウルファンの皆さまもこんにちは!
もちろん前作の続き、FLESH&BLOODドラマCD15巻です。
重度の結核にさいなまれた為に21世紀のイングランドへ戻り、はやく治療を終わらせジェフリー(諏訪部順一さん)の元へ帰ることを改めて決意する海斗(福山潤さん)。
『心臓の鼓動が止まる最期の瞬間までジェフリーと一緒にいるために』と、ビヨヨーンと現代へのトンネルを潜り抜けて参ります。
ジェフリーは海斗が21世紀へのトンネルを探す時間を稼ぐため、ウォルシンガム(エリザベス女王の秘書長官)の手先と闘い囚われてしまいましたが。
無事に海斗が21世紀へと戻りますと、すぐさま入院。
海斗は面会など厳重に管理されたリハビリ施設へと、収容されてしまうのです。
海斗は親友の和哉(岸尾だいすけさん)を信じていますが、実は彼は海斗へ並々ならぬ執着を抱いておりまして。
『取り戻す』とか『海斗がいない世界で生きる意味はない』とか、ただの親友の表現としては怖いよ…もう病的過ぎてお前が施設に入れ(暴言・汗)と早送りしたくて仕方なかったです。
医師から処方された睡眠導入剤などをクラブで横流しして現金を稼ぐわ、タバコは吸うわ、海斗のやることなすことすべて把握しておきたい和哉は、一巻の可愛らしかったところはもう存在しないのです。
ヤサグレ真っしぐらですよ。
もうとにかく岸尾さんのモノローグがきょわい!海斗に拒否されるのは怖い…とかなんとか言うのですが、お前が怖いんじゃ!和哉!
16世紀の方はというと、ジェフリーと海斗の行動を知らないナイジェル(小西克幸さん)が睡眠薬をジェフリーの策で盛られ、ウォルシンガムの手から逃れさせられます。
この辺りはジェフリーについてのナイジェルのモノローグなのですが、愛に溢れて(腐った意味ではなく…や、そうとることも可能ですが…苦笑)おりまして、ファンの方には垂涎でしょう。
そして相変わらずナイジェルに恋慕するキット(三木眞一郎さん)も、チャランポランな雰囲気を漂わせながらも真摯で悶えますわ。
ナイジェルとの言い合いに声を荒げる三木さんが聴けて、大満足です。
一緒にジェフリーを助けようとロンドンへ行くので、この二人のシーンは今までのCDで一番多いのでは?ないかな?
今巻でのメインはナイジェル、キット、協力者のロバート・セシル(代永翼さん)でした。
いやあ、セシルがキットと内緒話しようと「もっと近くにきて…」とかいう台詞が妄想を拡大させられて…鼻血もの。
そしてジェフリー本人は国家反逆罪に問われ、出る時は処刑の日と噂される最悪の監獄ニューゲートへ。
爪を剥がすシーンは無かったけれど、水責めの拷問シーンなどは出てきまして、それを繰り返されながらもジェフリーの弱った声での強気発言に涙…
そして相変わらず諏訪部さんのモノローグは神。
フレブラのレビューで、こればかり賛辞している気がしなくもないのですが(汗
海斗の居場所をジェフリーから聞き出すための拷問で、ウォルシンガムの拷問係は海斗の時と同じレイヴン(喜山茂雄さん)です。
この人は拷問係ですしウォルシンガムの命に背くことは出来ないのですが、血は通っている人間なのですよね。
確か拷問係の一族だったうっすらとした記憶があるのですが(違ったかなあ…ジェフリー自身のことしか覚えない鳥頭だから)、自分で選んだ仕事というよりも降りることの出来ないレールに乗っているという印象。
ただそのレールにも死守する規則を持っているという、そんな印象です。
スペイン組は海斗の行動に憤る従者のレオ(宮田幸季さん)へビセンテ(大川透さん)が、海斗に悪気はなかったこと、自分が本当に海斗を愛していたことを優しく諭します。
や、うん、愛してたことは言わなくて良かったかもしれないけどね…でもビセンテさん、真っ正直だからね。
レオ自身はまだまだそんな話に納得出来ないのですが、その辺りの宮田さんの演技が最高に可愛い(?)です。僕傷ついちゃってるんだからね!プンプン!みたいで。
スペインサイドのファンの方には残念ですが、今回はこのくらいしか登場しておりません。
でもプンプンレオであっても、ちょっと癒されちゃった自分。
とにかくCD後半から次巻は現代でのドロドロ嫉妬和哉&エゲツないラウル話ばかりとなるはずなので、か、覚悟して聴きます(大汗
やっとの思いで21世紀へと戻ってきたカイト(福山さん)は、瀕死の状態でトンネルの向こうで待っていた和哉(岸尾さん)と再会します。
感動の再会をするも、すぐに和哉の手配で病院へと運ばれたカイトは、闘病生活中に16世紀について調べることに……。
1巻から登場している和哉ですが、順調にカイトへの執着を深めてました(笑)
和哉の危うさが、岸尾さんの美声で際立ってます。
1にカイト、2にカイト、3,4もカイトで5もカイト状態の、ビセンテ顔負けの執着っぷりですが、この時点ではカイトへの気持ちが友情からなのかどうかは分からないようになってます。
でも既に岸尾さんの声が怖い! なにかありそうで怖い!
いや、何かあるんだけど、それを示唆するような声が、薄気味悪くてやたら怖いです。
そして、結核の治療も滞りなく進み、元気を取戻してゆくカイトですが、福山さんの声にも生気が戻り、生来の聡明で快活なカイトが戻ってきているのが嬉しい限り。
弱々しい演技も良かったですが、やっぱり元気なのが一番ですね。
体力が戻ってくると、今度は16世紀について調べ出すカイトですが、そこにジェフリーの名前はなく……というところで終わってます。
一方、イングランドではジェフリー(諏訪部さん)拷問のターンへ。
懐かしのレイブンも登場ですが、これは本当に聴くのが辛くてやりきれません。
諏訪部さんの弱々しいお声、非常に色っぽいのですが、そんな気分にも浸ることができないくらい痛めつけられ、可哀想で可哀想で仕方がない。
ナイジェルの苦悩も、小西さんの少し硬質な感じのお声で悶々と表現されていて、これまた聴いていて辛いです。
そしてキット(三木さん)も切ない。
普段が普段なので、ナイジェルへの気持ちも軽いものかと思いきや、ナイジェルがカイトを想うのに負けないくらい、キットもナイジェルのことが大事なんですよね。
「陸ものには分からない」と言われた時の三木さんの「俺を排斥するなっ!」の怒鳴り声には、鳥肌が立ちました。
原作では特になにも感じなかったのですが、音声になるとビリビリとキットの気持ちが伝わってきて、ナイジェルの失言に眉を寄せたほど。
展開知ってるのに、これからのジェフリーを思うと暗い気持ちになります。
更に酷くなってく拷問シーン、諏訪部さんの演技が巧みなので、まともに聴くことが出来るのかな、と不安ではありますが、無事の再会を祈りつつ次回へ……。