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seiyaku no kizu
兄弟のように育ち、いつの間にか恋になり10代の若さと情熱で
愛し合う二人が、ヤクザの企みに落とされ引き離されてからの再会ラブ。
受け様は対立する組織に両親を殺され、同じ系列の藤堂組に引き取られ
藤堂組の妾腹の攻め様と親しくなり、次第に互いに恋心を抱き恋人に。
いつか親の仇を打つと決めていた受け様ですが攻め様といる事で互いに
ヤクザにはならないと話ていて、受け様も次第に復讐する事を忘れるように・・・
しかし、高校卒業をして、藤堂の家から出ようとしていた時に、攻め様の義兄で
組長代行の隆吾に彫師になれと言われ、断れない受け様は従う事になります。
そして、自身も彫り物を入れられる事に、それは隆吾の唐獅子と対になるような
意味合いの牡丹の花の刺青だったのです。
攻め様にそんな姿を見せたくなくて避けるようにしていた受け様なのですが
刺青が出来上がった時に、隆吾に無理やり犯されて、自分のモノだと言われる。
絶望に苛まれ、そんな姿を愛する攻め様に見られた受け様。
そして攻め様は受け様を連れて逃げ出そうとするのですが、あっさり見つかり
捕まってしまう、受け様は攻め様を助ける為に嘘の愛想尽かしを演じる。
高校生の攻め様にとっては、そんな受け様の切なく悲しい気持ちなんてわからなくて
裏切られたと思いながら放逐されるように家を出される事になります。
そして、受け様にとっては地獄が始まるのですよ、親の仇が実は隆吾の企みだと知り
受け様はいつか必ず仇を打つと・・・でも、下手な動きをして攻め様に害が及ぶ
危険もあって受け様は慎重に時を待つような感じなのです。
そして6年後に攻め様と再会する事になります。
今でも昔と変わらぬ思いで一途に攻め様を思う受け様は健気ですね。
前半の「知身雨」は受け様視点でのお話で、後半の標題タイトルが再会後の
攻め様視点でのお話になるのです。
お互いが変わらぬ思いを抱きながらも、子供だった攻め様は裏切られたと今でも
思っていて、それでも受け様が欲しい。
義兄の死後、組を継ぐ立場になって戻って来た攻め様と攻め様を愛する故に
すれ違ってしまう事を受け入れ、嫌われても恨まれても傍にいたいなんて思う
受け様を哀れに感じてしまいます。
それでも、なんとかハッピーな展開になる、甘いお話でもあります。
ヤクザの息子だった漣は、敵対組織の襲撃によって両親を亡くした後、
同系列の藤堂組に引き取られる。
そこで藤堂組長の庶子である二歳年下の耿輔と出会い、互いに惹かれていく。
高校卒業後漣は、邸内の離れに住む彫り師の弟子となるが、
実質的に組みを率いる耿輔の腹違いの兄・隆吾が漣に感心を示し……。
前半の「知身雨」は、10代の二人が惹かれ合い別れざるを得なくなるまで。
後半のは、数年後隆吾が何者かに殺され、20代になった二人が葬儀で再会して……
比較的あっさり展開は読めるストーリー。
漣の復讐への思いというのが根底にあり、
ヤクザの世界が舞台で、刺青とか、陰惨な世界を舞台にしているが
その割には情念みたいなところではアッサリというか
乙女チックな甘い話だったと思う。
互いの一途さは健気で、細部ではキュンとするんだけれど、
高揚感や読み応えということでは、今一歩だったかな。