ちぃみな
kimi sumu sora ni hanabira no mau
「千流のねがい」の番外編同人誌。
脇役だった、先代きつねの鞘と征士郎の物語。
本編では凛と入れ替わる立場だった鞘。
征士郎とは相思相愛の、儚げで綺麗な先代きつねでしたが、
物語開始早々、さらっと死んでしまったので
あまりはっきりとしたイメージは湧かず・・・。
なるほど、こんな過去があったんですね。
思ったより凛と似てるところがありました。
そして、すごく一生懸命生きていました。。(/_<。)
【君棲む空に花びらの舞う】130P
神道系の中学校を卒業したばかりの征士郎が、
社を継ぐために戻ってきて、人見知りの鞘に出会い、
二人の距離が縮まり、心を交わしていく様子が描かれています。
鞘は生まれた時から体が弱く、研究所からは、
『半年保てばいい、次のきつねまでの繋ぎ』
としか期待されていなかったのですが、
征士郎の祖父に大切にされ、予想よりずっと長く生きて、
次に征士郎と出会い、愛され、慈しまれ、
限りある日々を大切に、最後まで懸命に生きていました。
最後、危篤に陥った鞘は、
心筋の一部が動かない壮絶な苦しみに喘ぎながらも
征士郎のために最後まで頑張ろうとします。
征士郎の腕の中で、涙を一筋零しながら
『……どう……しましょう……』
『――――死にたくありません…………』
と、最後に征士郎に愛を伝えて逝った鞘の姿には、
思わず号泣してしまいました。
ずっと、自分の命の短さを覚悟して諦めながら生きてきた鞘が
最後に、命を手放したくないと思うようになったのは、
征士郎に愛されて幸せな日々を過ごした何よりの証ですが、
お互いに未練を残しながらの別れは、悲しすぎます。
【神主のお仕事】約9P
征士郎視点。
玄上さんお得意のSMプレイネタです。
滑車まで用意された本格派なのに、
お道具が蒔絵を施された漆塗りなど、和風なところ、
仕事が丁寧すぎます。。(-_-;)
【ご神体と神主です】約9P
一水視点+鞘視点少し。
『御神体ですから』『神主ですから』を言い訳に、
思い切り鞘を甘やかし世話を焼く征士郎と、
征士郎に甘え世話を焼かれる鞘の日々。
【月夜ノ社ニテ。】約12P
征士郎視点+鞘視点。
まだ二人が気持ちを交わしてない頃の話を回想する形。
拝殿と家の中しか知らない鞘を、征士郎が月夜の晩に境内に連れ出し、
一緒にどんぐりを拾います。
優しい気持ちが詰まった大切な思い出の一場面。
全体を通してすごくいい話でしたが、死にネタがメインだったので、
同人誌じゃないと出せなかったでしょうね。
本編での凛の明るいハピエンも好きだけど、
鞘の悲しいエンディングも好き。
手に入りづらかったけど、読めて良かったです。