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usotsuki na mangetsu
「今宵の月のように」の続編でシリーズの2作目になる今回は前作が小泉家の
3番目の弟とカメラマンのラブストーリーで、今作はお待ちかねの小泉家の
長男と次男のラブストーリーです。
小泉家は、長男以外は全て養子の4人兄弟なのですが、実子の長男が家出して
両親の死を知り、12年ぶりに帰ってきたことから二人の関係が始まります。
この長男の攻め様は、実はかなり臆病な上に、合理的な人物で叶わないと思う事には
始めから立ち向かわないようなタイプで、誰に対してもつかみどころがないように
感じさせる天才的な人みたいなんですよね。
前作で、何となく家を出たのは次男の事が原因だろうなぁ~って予測が付いていたので
流れ的には単純な感じで、王道的なストーリーだと思います。
ただ、攻め様は受け様の思いを正確に把握してるし、初めから相愛だけれど
生真面目で責任感の強い受け様との恋は、本人同士の思いだけでは叶わないと
早い段階で悟り、受け様の思いから逃げてしまう。
でも、受け様だって攻め様に思いを告げようとしていた事はなくて、
でも、目は口ほどにものを言うを実践してるよな意外な素直さがあったりします。
家族の中でお母さん的な役割をしてきた受け様は、無自覚の我慢をしてる気がします。
それを唯一理解していたのが攻め様なんですよね。
始めから相愛で、1番簡単にくっ付いてしまってもいいカップルなんですが
実は1番厄介なカップルでもありますね。
この受け様の場合は、家族の誰か一人でも反対したら絶対ダメなタイプだし、
攻め様も全て理解してるけれど、ポーカーフェイスの陰でホントはかなりヘタレ的に
苦悩しているかも知れないと感じさせる雰囲気もあります。
書下ろしでも、恋人同士になった二人ですが互いに同じように距離を感じてる。
でも、その距離って片思いが長くて、相手に憧れの気持ちが強かった故の
弊害みたいな後遺症みたいな気がしましたね。
これからゆっくりその距離も自然にうまっていくようなお話でした。
客室5室の小さなホテルを両親を亡くした後、兄弟で切盛りしている「小泉館」の三男・裕編「今宵の月のように」に続いての、血の繋がらない長兄・潤&次兄・抄編。
91年のラキアノベルスの新装版になり、書下ろしに6Pのショート番外編が付いています。
10歳で小泉の家に引き取られて息子になった抄が、家族に遠慮してそして義兄への気持ちを押し込めて、家業を一生懸命やっている姿に、ああー!もっと自分を出せばいいのに、もっともっと色々あるだろうに~と、
兄弟に対して丁寧語で話しているのに、高校の友達にはちゃんと普通の口調で話しているところ、彼の奥ゆかしさだけでない、例えそれが彼の素であったとしても何だか不憫に思えてしまって。
一方、長兄の潤は思わせぶりな態度を散々とっているのに、キスまでしかけるのに、何だか抄を生殺しにしている風で、全く掴みどころのない男で
ラストに至っても、ほんとうに最後の最後まで、抄に「好き」と言わせるのに自分は言わないところ、もっと抄の事をかんがえてやれよー!ってちょっと切なくなっちゃった。
例え、彼が義理である為に兄弟に認めてもらうために手回しを必要としていたとしても、抄の性格を慮ったとしても、それにしても・・・!!
ラストは当人達が愛し合ってるいるから、抄はホテルの仕事を好きでしているからいいんですが。。。でもやっぱり。。。
抄が13歳の時、まだ高校を卒業していない長兄の潤は突然好きになった女を追っかけると書き置きして家を出てしまう。
それから両親が亡くなり、10年後潤はイタリアンシェフとして小泉館に戻ってきて、兄弟でホテルとレストランを切盛りしています。
三男の裕が恋人でカメラマンの松浦とイタリアへ撮影旅行に出かけた時、丁度松浦の写真展の影響もありホテルに満室の日が続くという繁忙期が来てしまう。
そんな時に、しばしば外出していた潤が連れて来たのが莉大という青年で、抄は少し心が乱されるのです。
傍若無人なモノ言いに、四男の茗を怒らせたりもするのですが、彼が文無しであると言うことが解った時、バイトで手伝ってもらうことにしたところ、大変に良い働きをし、茗も認めることに。
そのさなか、抄の高校時代の友人・榊から同窓会の誘いがあり、兄弟の勧めもあり参加すると、榊から恋人の事について相談を受けるのだが、何とその相手が莉大であることがわかり・・・
とまあ、そんな具合にこの潤が連れてきた莉大がきっかけになって、潤と心を通わすことができるのです。
それにしても、潤は本当に人が悪い!
抄を悩ませてはいけない、抄の性格を知るが故だとはおもうのだけど、肝心なところがヘタレのくせに、キスをしかけたりと、冥な所で無神経だったり、ほんとうにつかみどころがない!
そこが彼のいいところなのかもしれないが、やっぱり抄が不憫だったよ(涙)
新しい書下ろしは、恋人になったはずなのに、どうしても感じてしまう抄との距離。
だけど抄はちゃんと潤を愛していると言ってくれる。
この溝を埋めるぞという潤の決意の話しでもありました。