エブリデイ・マジック -あまいみず-

everyday magic

エブリデイ・マジック -あまいみず-
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神8
  • 萌×222
  • 萌25
  • 中立4
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
17
得点
207
評価数
61
平均
3.5 / 5
神率
13.1%
著者
崎谷はるひ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
鰍ヨウ 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
幻冬舎ルチル文庫
シリーズ
エブリデイ・マジック -あまいみず-
発売日
価格
¥648(税抜)  
ISBN
9784344824997

あらすじ

辛い体験から恋に臆病になった三矢は、穏やかな雰囲気を纏うアンティーク店店員・上狛に仮初めに付き合ってもらっているのだが…!?
(出版社より)

表題作エブリデイ・マジック -あまいみず-

上狛零士,28歳,アンティーク店併設カフェの店員
赤野井三矢,20歳,演劇サークルに所属する大学二生

その他の収録作品

  • めんどくさがりの恋
  • あとがき

レビュー投稿数17

舞台が活かしきれてない気がする・・・

こういう『等身大キャラクターの地味な日常』はすごく好きなんですよ。それだけでもよかったです。確かに、この上なくじれったいんですが、ゆっくり心情を追っているので、分厚さのわりに飽きることもなく読めました。結構好きですね。

私は、特に受が恋に悩んで、いろいろぐるぐるしてストーリーが進まない(結果長くなる)のは一向に構わないんです。ただ、問題はその中身。
大学(演劇部)関係の描写が多過ぎて、ちょっと焦点がぼけたようで残念でした。もちろん、演劇部の中ですべてが展開していくのなら別ですが、そうではないですから。なんのための『アンティークショップ&カフェ』なのか、と思うくらい、本来のラブの舞台のはずのカフェの存在感が薄いと感じました。

演劇部関係の描写が不要だと言っているわけではありません。特に、最初の三矢が騙されて、それによって『自分のセクシャリティを自覚してしまう』というのは、ストーリーの根幹ですし、その後のフォロー的に、演劇部やそこでの同期、また相談相手としての一坂(演劇部のサークル長)が絡むのはいいんです。でもそちらの描写にページを割き過ぎて、肝心のラブや、上狛のキャラクターが薄くなったら本末転倒でしょう。
正直、あとがきで言われたように『恋』がメインなら、そもそもページ配分が違うよ・・・と思ったんです。

そう思ってしまうくらいに、上狛の掘り下げが足りなかった気がしたんです。単に私が読みとれなかっただけなのかもしれませんが(あるいは『ふしぎくん』だから掴みどころがないままにわざとした、というわけでもないでしょうし。いや、もしかしてそうなの?)。

私はメインのキャラクターは結構好きです。本来、『S気質攻』はキライなんですが、この上狛は確かに『S気質』には違いないんですが、そこへの持って行き方が上手いので、まったく気になりませんでした。『ま~、これもアリかもね』と思えたんです。最初から本性剥き出しだったらまず無理でしたが、相手を思ってきちんと隠せる理性があるならセーフです。
三矢はよかったですね。こういうタイプは好きです。以前の崎谷さんらしいキャラクターのような気がしました。

ただ、上狛が『ふしぎくん』というわりには、特にその『ふしぎさ』を強調してるんだな、というシーン以外は、それほど感じませんでした。だからどうというわけではなく、単にそう感じたというだけですが。

あと、他の方も言われているスピンオフについてですが、私はスピンオフそのものは別に求めていません。作品・キャラクターが好きなほど、スピンオフより続編が欲しい(すべての作品に続編を求めるわけではありません)と思うし、本編のキャラクターが好きになれなくて、スピンオフの方がいい、というのは作家さん問わず実際ありますが、それはあくまでも結果ですから。

この作品に限って言うなら、演劇部関係(一坂と夏木?)のスピンオフは、正直カケラも興味ないです。ハッキリといらない。アンティークショップの銀上も別にいい。もし書くなら、せめてメインCPにしてください、という気持ちです。

9

甘いですが上狛のために萌×2

崎谷さんの作品は自分の好みのカップルならば「かなり好き!」となるのですが、最近なかなかドンピシャ作品に当たらずにいました。
が、この作品は好きです!
攻めが良い!
結局わたしの好きは、攻めが好きかにかなり左右されます。


受けの三矢(と書かれていたのを見てユ○ジと繋げてしまい、頭にチラつきました…)は大学生。

攻めはカフェ店員の上狛。
ハーフで素敵男子という王道攻めですね。


三矢はサークルの仲間から賭けの対象にされます。
それがきっかけで『自分がゲイなのでは?』と、今まで考えてもみなかったことを突きつけられ、深く傷つき悩み、涙します。
そこをなぐさめ、試しに自分とつきあおうと言ってきたのが上狛。
年の差カップルです。

一年間という長ーーい交際期間ながら、三矢はその間、上狛の本心がわからずグルグルスパイラルしています。(……乙女)
崎谷さんにはこういう受け、多いですね。

上狛はひたすら優しく、結局三矢が自分の気持ちを整理できるまで待ちます。
そんな優しい上狛ではありますが、見た目王子のわりに実はS属性のようで、そのギャップ萌えでした。
ただ上狛は、天然系で不思議王子キャラのわりに、その辺りを感じさせるエピソードが少ないというか弱いというか。
もう少し、その辺りにページ数を使って欲しかったなあと思います。
せっかく変な人(?)なんですから。

えっちはラストに一回。
崎谷さんですからページ数もあってなかなかですが、回数が一回ということもあり若干物足りなさも。
なんといってもかなりの厚さのある作品なので、よけいそう感じてしまうのかな。
その厚いページ数のほとんどが三矢のグルグルにあてられているので、途中から「わたしラストまで読めるかな?」と若干不安になりましたよ。

6

あまいだけじゃない!

 大学生の赤野井三矢は、サークル仲間から好意を持ってると思わされぶりな態度をとられ、実際に三矢が泊まりの旅行に来るかどうかという、悪質な賭けの対象にされてしまう。
 そのため、図らずも自分が男性に恋する性質であることを自覚してしまう。
 そんな時にふと入ったカフェ『エブリデイ・マジック』で店員である・上狛零士に話を聞いてもらううちに泣き出してしまう。
 そんな上狛から、唐突に「男が本当に大丈夫かどうか、お試しで付き合おう」と言われ、「恋人」として付き合うことになる。
 それから一年、恋人であるはずの上狛に三矢は片想いし続けて……。

 という話でした。
 気持ちを自覚する前に「お試し」とはいえ、付き合ってしまった三矢は、だんだんと自分の気持ちが上狛に向いていき始める。
 しかし、まだ10代のままの彼に対して手を伸ばすのはどうかと思い始めたこともあり、「ゆっくり待つよ」と言ったまま、上狛は三矢に手を出して来ない。
 最初にすぐに手を出された時に、思わず拒否してしまったのが後をひいてしまっているのか、まったく手を出してこない。
 自分が本当に上狛のことが好きなのか、そうでないのか……。
 一度目の恋だと思ったものを無惨な形で終わらせることになってしまった三矢は自分は本当に上狛のことが好きなのか、上狛は本当に自分のことが好きなのか……思い悩むけれど……

 という話でした。
 恋に失敗した男の子に新しい彼氏ができて、思い切り甘やかされてだんだんと癒されていくけれど、恋人同士になって始まってしまった恋は、どうやってこの形を変えればいいのかがんじがらめ。
 甘いだけの恋だと思ったら、時々酷く冷たいSな上狛に三矢は振り回されっぱなし……。

 実際に一歩進んだら、ものすごーくエロエロですごかったです。
 普段笑ってる人ほど、怒らせると怖いんだよね……という話でした。
 タイトル通り「あまい」んですけど、それだけじゃない話がとっても面白かったです。

5

あまいみず

崎谷さんの書き下ろし作品は、実に甘く、あまーく、あまやかすお話。

19歳の誕生日に、同じ大学サークルの「男」にこっぴどく裏切られた三矢。
地元である鎌倉の町で、偶然たどり着いて初めて入った店「エブリデイ・マジック」は不思議な雰囲気の店で、そこにいたのは灰色の髪と甘い声の恐ろしく美しい男・上狛でした。

ざっくりぶっちゃけると、店で泣き出した三矢と上狛はお互い一目惚れでお付きあいが始まるわけですが、
「好きだと思った相手に騙された痛さと、セクシャリティに対しての不安と怖さと、人間不信になりかけているのが三つ巴になってる感じ」の三矢には、上狛の
「じゃあ、つきあおうか」がすぐに理解できるわけもなく、
お付き合いしながら、たっぷり甘やかされながらも片思いしている気分と状態のままの、恋に右往左往しつつ、ちゃんと大学生活やサークル活動からいろいろな経験をしていく1年間がたっぷり(たっぷり過ぎるほど)描かれます。
この、たっぷり1年間、不安やら葛藤やらでしっかり三矢君を醸した上で、二十歳の誕生日、三矢が未成年でなくなる日に、満を持して、上狛が喰う。
隅から隅まで舐め尽くしてしゃぶり尽くして、万遍なく満たして、ドロドロにする。
確かに上狛のしていることはわかりにくくて、ある意味意地悪ですが、「食べられる時期をしっかり待って、食べるとなったら余さず喰らい尽くす」こういうキャラクターの造形や、ストーリーの展開に到達したのはとても好ましいと感じたのでした。

3

分厚いですが

なんとか読みきった読後感は良かったです。挫折しそうになりながらも少しずつ読み進めていく方法で読みきった感じです。でもその分、二人が結ばれたときは達成感がありましたし、読んできて良かったと思えるものでした。たまにはこういう焦れじれしたのもいいかもしれません。上狛のS具合が垣間見える最後のほうのシーンも良かったし、三矢くんが拒否した行為?とかもいずれさせてもらえたらいいね、上狛。と思いました。
そのへんも含めて続編もアリかな?と思いますが次はもうちょっとコンパクトにまとまってると嬉しいかなと思います。

2

鎌倉にはこんなお店があるのですか

かなり分厚くページ数の多い本でしたが、読みやすくてサラサラ読めました。
おもしろかったです。

受けの三矢が可愛くて、良い子で、一所懸命で。
ついつい応援したくなったのですが、その反動?なのか、攻めの上狛がちょっと…笑。

上狛のビジュは完璧好みなんです。
ハーフの高身長イケメン。
そして、メガネ!!
メガネ攻めですよ、皆さん!!

ビジュだけでなく、料理上手なところも、変人なところも、えっちがねちっこいところも、全てが(私にとって)満点!な攻めです。

なのに、途中ところどころにあった、三矢に対しての意地悪な言動に、その度にイラッとさせられたので減点。
それさえなければなー。

Sっ気が強いゆえ、といえばそれまでなのかもしれませんが、三矢が素直で純粋な子だったから、かわいそうに思えて仕方がなかったです。
もう少しそこに甘さがあれば、三矢だってあんなにもぐるぐるしなかったのじゃないの?と。

でも、その意地悪に感じた部分以外は、三矢が所属する演劇サークルの活動の描写も丁寧に書かれ、登場するサブキャラの魅力も充分で、楽しく読めました。

最後にちょっとだけあった上狛目線のSSが、良かったです。
三矢に対する溺愛&執着に溢れていて、これで上狛の減点がなくなりましたから。



0

根気強さは愛の証?

久々のシリーズ続編でない書下ろし新刊は、あとがき込みで何と!382Pの超ぶあつい本。
一体どんな大きなトラブルめいた事件があって、どんな出来事が二人の間にあるのかと思いましたら・・・・
それはそれは実に、日常の何でもない風景。
気持ちを上手く表現できなくて悶々とする主人公の演劇サークル活動が中心で、
彼の気持ちがはっきりするまで、一見天然とも思われる根気強さで彼を温かく見守り続ける恋人。
一番のヤマは、やっと主人公が自分に何がたりなかったのか気がついて(それが実に出会ってから1年!)結ばれるラストのシーン。
丁寧に、丁寧に、「日常」というものを綴りながら、恋愛と学校生活と、そこでの人間関係を通して、主人公が成長するというお話でした。

同じサークルの仲間に嵌められて、自分が本当にホモかもしれないと思うと同時に傷付いた三矢が、偶然入ったカフェで出会い、涙を流す三矢に「付き合おうか」と言ってきたとても素敵なカフェ店員の上狛。
何となく付き合いが始まるのですが、キスに驚いたり、初エッチへ、、という過程で驚いて逃げ出してしまった三矢に、上狛は優しく見守るように接してくる。
上狛を好きなのに、どうして二人は進展しないんだろう?
そんな悩みをサークルの先輩に相談しながら、そして上狛とのお付き合いも続きながら日常は過ぎて行く。

この三矢とても初心いです。
ひょっとしたらスれてない等身大の18歳かもしれません。
恋愛をしたことがなかったから、仲間に恋心を踏みにじられたから、トラウマになったとは考えがたいですが、男性を初めて好きなるということで、女性とは違う付き合い方を学んで行くという設定なのかもしれませんね。
名前から”サイダー”ってニックネームなんですが、上狛に言わせると彼はシュワシュワしてるってwww何となくイメージは伝わってきますが、この子すごくいい子だよね!とか萌える~とかそういうキャラではないです。
本当にちょっと鈍目の普通の子です。

1年という時間をかけてだからこの厚みなのかもしれないが、どうにも攻めとなる上狛が不思議な人です。
2年前からそこで働いていると言う、ノルウェー系アメリカ人の父と日本人の母との間に生まれたハーフで、金持ちの親戚が海外に行っていると言うことで、そこの留守管理を兼ねて豪華な部屋に住んでいる。
一体どうしてカフェで?彼についての謎はいっぱいありますよ。
そして、そのアンティーク&カフェの店主もイケメンなんだけど、不思議な人で。
主人公・三矢をかって助けてくれるサークルの代表とか、三矢にいつも突っかかるサークルの中間の俳優・夏目とか、何やらまたまたシリーズ化しそうな、フプンプンと匂う人達が沢山登場しております。
えっ!?ひょっとしてまたスピンオフとか続編とかなの~と、若干食傷気味なのは自分だけでしょうか?
丁寧に綴ってくれるのはありがたいのですが、これだけ厚みがあるから、もったいぶらないでもう少し上狛に踏み込んだり、こう1冊にビシっと上手くまとめられないものでしょうか(苦)と、密かに思わなくもないです。

8

なんでこんなに分厚くなったんだろう・・?

がっつりエロが読みたくて!
エロといえば崎谷先生でしょう!とこの本を読み始め・・・
おっおかしい!?いつもならもうイチャついてもいい頃では・・・と思っているうちに
終盤にさしかかりやっと!(T0T)病んでてすみません・・・
なんか攻様も1年位オアズケくらってやっとのイチャだったけどきっと私のような
心境だったのではないかと。
1年も受様の気持ちが固まるまで待つような攻様ってなんてこころが広いんだと
思っていましたが只のドSだった模様。
受様がぐるぐるしているのを途中から「ふふふ」とほくそ笑んでいたのでしょう。
攻様曰く、かなりイチャは大好きでしつこいらしいのできっと続編がでたら
2/3はイチャイチャで占めてくれることでしょう。
なんか他作品の人物のお名前がちらほら出ていてまた、再読したくなりました。
それにしても久保って受様のこと実はほんとに好きだったのかな~?

4

攻めさんのなかなかけっこうな豹変が印象的でした。

ゆっくり穏やかな感じで進んでいく恋でした。大きなモチーフが演劇ってところがとことん崎谷さんらしいなぁ。他作品で見知った名前がばんばん出てきて、本当に崎谷作品全体がリンクしているんだなと感じました。バルザックの「人間喜劇」とか、ゾラの「ルーゴン・マッカール叢書」みたい。そういう「繋がっている」感じは結構好きです。
鎌倉を舞台にスローペースで進んでいくこのお話、お菓子や料理やアンティークや高価なテーブルウェア等々、視覚的・感覚的に想像しやすいアイテムがてんこ盛りなので、文章は色のついた感じで脳内再生され、なかなか楽しかったです。ちょこちょこ挟み込まれるマメ知識もお役立ち。
主人公の三矢は個人的イメージだと「あしたのきみはここにいない」のミオみたいな可愛い感じの素直な男の子で、挿絵ともよく合っていました(表紙の凝った感じのアングルも中のカットも、この作品の挿絵はどれも良かったです)。そんな彼の彼氏が上狛というちょっと高等遊民のような青年。彼はカフェで働いていますので正確には高等遊民とは違いますが、イメージがそんな感じなのです。キレイな眸を持つ素晴らしい容姿の彼は、心ないからかいに深く傷つきセクシャリティの問題にも悩む三矢を優しく慰め、じゃあつきあってみようか、と。そこから約一年かけてふたりが結ばれるまでを丁寧に辿っています。
ただ、三矢の所属する演劇サークルの活動や彼を取り巻くそこでの人間関係にかなりの重点が置かれているから仕方ないのかもしれませんが、上狛のキャラクターがいまいちよく見えませんでした。いや、丁寧に書いてくださってはいるので、人間性はもちろん把握は出来るのですが、三矢やサークルのメンバー・一坂や夏木に比べると実体性(キャラクターの生き生き感とか厚み)が少し乏しかった気がします。前3人が空気いっぱいの風船なら上狛はちょっと空気の抜けかけたゆるっとした感じのそれ、というイメージでした。いい意味でも悪い意味でも覇気がないというか。でも彼はかなりのふしぎさんの上、少々掴みどころのない感じの人だから、それはそれでいいのかもしれないのですが。
とはいえ、穏やか~に草を食む草食系とみせかけてのラストの獣化ターンはかなり意外でGJです。う~ん…二面性が凄いなぁと私的にはびっくりでした。この作品は最後の最後まで(途中、ごくライトな触れ合いは少しありますが)そういうシーンがなかっただけに、一気に畳みかけるかのように非常に濃く、エロティックな描写が続きます。何だかあれこれいろいろ具体的で、ねちっこくて、そこそこ執拗な描写なので、実際よりもページ数が多く感じました。先ほど三矢はミオに似た感じと書きましたが、それこそベッドシーンでの上狛は「北原先生だ、北原先生がいるよ…!」という感じのしつこさというかアブナさでした。ここまでじっくり読んできたご褒美を貰った気分です(笑)
本編終了後、ほんの数ページですが上狛目線のショートがあり、これはいいです。やっと彼が何を考えている(いた)のかが見えてきます。そして、三矢にやたらとつっかかってきた夏木の複雑な心情の断片も。かなり面白いので、もう少し長く書いて欲しかったなぁ。本当に短いのですが、上狛という人を理解するには欠かせないショートだと思います。
攻めがちょっと個性的なキャラでしたが、総合的には好きなお話でした。心底イラっとくるような人はいないので、ストレスフリーでお読みになれるかと思います。

余談ですが、私も茶鬼さんに同意で、あまりにスピンオフが増えるのはなぁ…という気持ちになります。ことに崎谷さんはそのパターンが多いので、どうしてそんなに風呂敷を広げたがるのかな?と単純に不思議になります。なにも崎谷さんに限らず、BLにはどうしてこうもスピンオフが多いのでしょうか、去年BLにハマった時、最初に感じた違和感がそれでした。読んでいる時に向けた対象(=主人公CP)への感情や視点のズレる感覚があまり好きになれず、自分はスピンオフをそんなに読みたいとは思わないので、作家さんが書きたがる気持ちはよく解るのですが、いち読者としてはいまいちついていけない時があります。どうせなら白鷺シリーズや慈英・臣シリーズみたいに同じ人物たちと彼らに起こる出来事をとことん掘り下げていって欲しいかなぁ。脇CPはその中にちょっと入れてくれればいいや。脇の人たちにそこまで興味がわかない自分の読み方に問題があるのかもしれないのですが。スピンオフお好きな方はお気を悪くされたらすみません、でも全然それを否定するつもりはありませんし、むしろスピンオフも本編と同じように楽しめる人の柔軟性というか心のキャパの広さが私はすごく羨ましいです。残念ながら自分は多分許容範囲が狭いんだろうなと思います(´_`)

3

はーやっと読めました!分厚くて読み甲斐アリな作品です。

エブリディ・マジックという言葉をこの作品を読んで初めてしりました。
言葉と「ちょっとふしぎ」という意味、ちょっとふしぎ・・・教訓めいた意味もあるそうですが、日常に起こるちょっとふしぎ、気が付いていないけれど色々あるのかもしれない。
ひょっとしたら見落としているものがあるのでは?と考えました。

受けが恋愛に向かう気持ちが面白かったです。
事細かに書かれてはおりませんが、一年を通してのふたりの恋物語が綴られています。
物語の視点は受けの三矢側からで、読者は主に三矢のセクシャリティや付き合っているのに恋人に『片思い』している理由、自分の本当の気持ちって?好きって気持ちがどうやったら伝わるの?という部分に加え、恋人が自分をどう思ってくれてるのか?などぐるぐるした悩みを読み進んで行くことになります。
ゆっくりゆっくり穏やかで、でも漣のような心のざわめきもある。
じれったくもそわそわする、そんな感じです。

三矢は上狛にお試しで付き合おう、その間にゆっくり自分がどうなのか考えればいいよ、と言われる。傷ついた三矢を慰めるためにそんなことを言う上狛はなんて人だろう、と思った。
付き合うって?男相手にさらっとお試しでも言えることなのか?
一番初めに浮かんだ疑問なのですが、この辺りの上狛のセクシュアリティや恋愛観などは最後の最後に明かされます。
これが、なんともギャップのあるもので。そう来たか・・・穏やかそうな顔して、実はSよりだったか、でした。このギャップはここまで読み進めたご褒美と捉えました。
三矢の事を可愛い可愛いしています。それはもう、激しく可愛い可愛いです。

三矢ですが、何処にでもいそうなとても普通の大学生です。演劇サークルに所属しているが、素晴らしい演技が出来るわけでもない。小道具作りを任され作業しても、物凄く上手に作れるわけでもない。
けれど、真面目で一生懸命で悩み多き青年です。
同級生の前では言葉使い男の子だなぁと感じるけれど、好きな人の前では戸惑いや恋心がそうさせているのか、ちょっと可愛くなる。
年上でふしぎな存在で掴めているような掴めていないような上狛に戸惑ったり、そうかこういう事なのか、と納得したり。
でも、本当のところ、核心は掴めていなさそうな部分。
好きって気持ちをぐいっと押しだせない遠慮。
それは全て『お試し』と言われているからで、自分は好きだけどじゃぁ上狛さんはどう思ってるの?
頑張って考えるけれど、分らない気が付けない。

ここを乗り越えてやっとふたりは本当の意味で恋人になれる。
なので、晴れて両想いになった時の爆発っぷりが凄かった(主に上狛が)です。
短編では上狛視点、腹黒い、・・・いや策士、・・・いや独占欲の塊か・・・な彼氏が垣間見えます。

2

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