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flesh&blood
今回も切なさ満点のお話でした。
海斗の病気を治すために、黙ってフランスへ連れて行こうとしたナイジェルは、やらかしたこと自体は確かに浅はかだったかもしれないけれど、どうしても海斗を失いたくなかった。ただそれだけ。だから海斗もジェフリーも彼を許した。本気だとわかっているから。ナイジェルの気持ちは痛いほどわかります。
いよいよ切羽詰まった海斗は、現代に戻って治療する決意をします。そしてついにジェフリーへ自分の正体を明かします。
ラスト、海斗の正体を知ったジェフリーは、海斗をもう二度と会えない覚悟で現代に送り帰します。そのシーンの切なさには涙が滲みました。ようやく正ヒーローらしくなってきましたね。
ジェフリーの愛もナイジェルの愛もそしてビセンテの愛も、形は違いますがどれも本物。愛の形に正解なんてないのだと感じさせてくれる良作です。
刻一刻と病状が悪化してゆく中、なんとかカイト(福山さん)を助けたいとナイジェル(小西さん)が頑張る。そしてジェフリー(諏訪部さん)も形は違えど、カイトを助けたいと頑張ってます。
スペイン編からイングランド編に戻った時、スペインロスに陥りましたが、今回はイングランド組が男を見せてます。
命が尽きようとするカイトを前に、何かせずにはいられないナイジェルは、とんでもない強硬手段に……。
小西さんの声音が本当に追い詰められていて、焦りや不安が全て噴き出てしまったような声、そして震えるような涙声に胸が震えました。
あのナイジェルが泣いた、というそれだけで、もう痛々しく辛くて苦しい。
想いが叶わないと知りながら、それでも愛さずにはいられないナイジェルの一途さを、小西さんが思う存分溢れるような感情を剥き出しにしていて素晴らしかったです。
そして取り乱すナイジェルとは逆に、カイトの願いを静かに受け止めるジェフリーもまた、確かにカイトを愛しく想い、その気持ちに添おうとしているのが切なかったです。
ジェフリーの独白が多かったのですが、諏訪部さんの声が乗ることで、とにかく破壊力が凄いことになってる。
ひとりにしないでくれ、と零すジェフリーの脆さが、愛しくて仕方がなかった。
どんなに強がって見せても、ちょっとしたところで諏訪部さんが見せる、少し掠れた不安げな声が印象的で、カイトの存在の大きさを痛感します。
トンネルが開く日のうんぬんに関しては、原作を読んでてもよく理解できなかったのですが、結局21世紀に戻ってカイトの結核を治療するということになります。
ここにきてようやくジェフリーに真実を打ち明け、カイトをホーの丘に連れてくことになるのですが、この巻の見所はまさにこのシーン。
離ればなれになるのを前向きにとらえるカイトを演じる福山さんは、差し込んできた光に向かっていくような、生気に満ちた声音。
それに対し、カイトと今生の別れだと覚悟を決めたジェフリーを演じる諏訪部さんは、表向きはカイトを心配させまいと明るく振る舞い、心の中では絶望に打ちひしがれ、全てを覚えておこうとするような、諦観めいた声音。
この対照的な演技に、涙が次から次へとあふれ出て止まりませんでした。
追手を食い止めるため、ジェフリーがカイトに背を向けた瞬間、涙が嗚咽に……。
このシーンは原作の挿絵が素晴らしすぎるくらい嵌ってますので、未読の方はぜひとも14巻だけでも読みながらこのシーンを聴いて頂きたい!
ジェフリー、ナイジェル、ビセンテと、色んな男の愛の形を見ることが出来ますが、今回は間違いなくジェフリーのジェフリーによるジェフリーのためのお話でした。
それにしても、あの別れのシーンは切ない……。
FLESH&BLOODドラマCD、14巻です。
この巻がわたしは一番切なくて涙が出ちゃうんですよね。原作も。
とにかくジェフリー(諏訪部順一さん)視点が多いせいか、彼のモノローグが豊富な今巻。
これがまたうまいんですよ諏訪部さん!
わざとらしさ、0%。素晴らしいです。
一瞬誰だっけ?になりましたが(酷い)、スタートのモノローグはファン(三宅健太さん)でした。
ファンも昔はジェフリーと共に船に乗っていましたが、現在はラウル(近藤隆さん)の奴隷と化しています。
ただ彼の心は折れていません。
海斗(福山潤さん)の一件でスペインを捨てなければならなくなったラウルは、海斗やジェフリーたちに報いを受けさせようと病的な考えに取り憑かれています。
ラウルもエリザベス女王の秘書長官ウォルシンガムも、海斗とジェフリーを付け狙う輩には本当ウンザリ。
二人が一緒にいて幸せに暮らしています的な部分て、本当に少ししかなかったんですよ。
イングランドの宮殿、牢屋、スペインと、一緒にいられないことが多かったですし、今は共にいても海斗は命の危険がありますし。
しかしナイジェル(小西克幸さん)、この巻では困ったちゃんだ…
もちろん海斗のことが死ぬほど心配なのはわかっているのだけど、頭に血が上るともうナイジェルはダメですね。
海賊なのに純粋なんですよね。
いくら船の仲間は家族だと言っても海斗はジェフリーの恋人なのだし、ジェフリーも海斗も望んでいない行動をするのは間違いだよなあと個人的には思っちゃう。
ごめんよナイジェル、やっぱりわたしはジェフリーの方が好きだわ…(苦笑
どんなにそれを見ているのが辛くても、側に居られるのが幸せだと思えるジェフリーはやっぱり強いなあ。
そしてジェフリーは、彼らが戻ってくると信じてる。
ナイジェルのことも海斗のことも信じてるんですよね。
CDの二枚目は緊迫したシーン続出です。
海斗を隠し守ってきたジェフリーは、ウォルシンガムに今度尻尾を掴まれたなら投獄される、処刑される覚悟をずっと以前からしていました。
ナイジェルへ船や動産の委譲手続きを済ませており、せめて彼だけは生かしたいと考えています。
自分は海斗と運命を共にするつもりで…
今まで海斗の正体を知っていたのは、同じく別の時代から訪れたリリー(浅川悠さん)だけでした。
が、この時代の結核は不治の病で、死を覚悟した海斗はジェフリーへとうとう本当の自分のことを告白する決心をしました。
すっかり忘れてましたけど、ジェフリーも知らなかったんですよね。
海斗が別の時代からやってきた人間だってことを。
想像を絶する話しながらも、21世紀へ戻せば生きられるかもしれない。
そんなわずかな希望であってもジェフリーは海斗を手放し、二度と会えないことになったとしても彼が生き残るすべがあるならばと、未来へ戻す決意をします。
「必ず戻るから待っててくれる?」という海斗の問いに、自分はウォルシンガムに殺されることがわかっていながらそのことは黙し最高の笑みと愛の言葉で海斗を送り出すのです、俺の分まで生きろと。
弱った体の海斗を庇いホーの丘へと向かったジェフリーが命を賭して海斗を守り、その結果ジェフリーがウォルシンガムの手に落ちたことを知らぬまま海斗は現世へと戻ります。彼らだけの合図、三回胸を叩いて。『俺のすべては貴方(おまえ)のもの』。
そして次巻へ続く…
うおーん、ジェフリーーーー(涙
原作既読
いよいよ諏訪部さん演ずるジェフリーの大見せ場を迎え、かつてないくらい彼のモノローグが続く。
海斗への言葉にしない思いが明るい態度と裏腹に重く切なく響いてくる。
対して福山さん演ずる海斗のかなり重くなった病の様子は本当に辛そうで、その中でも必死に生きようとする姿が胸をうつ。
小西さんのナイジェルの無謀さもハラハラしつつも気持が痛いほどよくわかって、愛しさすら感じる。
浅川さんのリリーが臨場感を盛り立ててすごく良いです。
ラストシーンのあの切羽詰まった中での別れはユアンたちの演技の迫力でなお盛り上がっていく。
ビセンテのときとはまた違う、愛してるからこそ愛しい鳥が死んでしまわぬよう、明るく空へと放すようなジェフリーの愛が眩しい。そして心抉られる…
松岡先生の愛への思いが溢れるシーンだ。
聴き終わるとしばらく呆然として、すぐに続きが聴きたくなり。また読みたくなり。
個人的なおススメですが。よろしければぜひ、CDの続きや原作の続きをご用意して挑んでください。 でないと悶えちゃいますよ(笑)
本当に素晴らしい一枚なのですが、一つ残念なのはこれがどうやら別録りだったみたいだなと感じられることです。ほんの些細なことなんですが。仕方ないことなのですが。
我儘言ってごめんなさい。(>_<)