あらすじ
江戸・享保時代のころ。花川戸で三味線師匠をしている静桂は、元火消し組みで、現在は人入れ宿となって町を仕切る梧桐組の藤四郎と念者の仲だった。
背中に大蜘蛛の文身《いれずみ》を背負った藤四郎は、町に聞こえた男伊達だが、こと静桂に関してだけは、どこまでも甘い。
折からの不景気の風に、人いれ宿でも仕事にあぶれるものが出始めた時、富ヶ岡の三島老人が、静桂に近づいてきた。
その目的はなんなのか?
番頭の長兵衛と藤四郎の画策で、組の頭を継いだ静桂は、その細い肩を必死で張り、荒っぽい男伊達の中で生きようとする。
《江戸夢草紙》ケータイ小説完全版