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僕を甘やかす、やさしい指先―。
tenohira kara tsutawaru
霊媒師の受け様と霊媒師の息子だが能力の無い攻め様との穏やかなロマンス
受け様は『霊媒師』として代々続く〈諏訪〉の名を継いだ四代目なのですが
諏訪とは血縁関係でなく、本来は15才の時に助けを求めて来た依頼者なのです。
受け様は、人の痛みを自分が替わりに引き受けるヒーリング系の能力者で
触れた相手の痛みや苦しみを身に取り込んで、それを自分では浄化出来ずに
諏訪に助けを求めて来たのですが、霊媒師に遭う前にその息子と出会い
体調の不調で倒れかけたところを助けられたとき、攻め様の腕に抱えられた時から
受け様の苦しみや痛みが癒されなくなっていることに気が付く。
でも攻め様には特別な能力はなく、何故か受け様にだけ効き目があるのです。
攻め様の母親も受け様と同じような能力者でやはりそれを癒すのが攻め様の父親で
攻め様は父親と同じ体質の設定でしたね。
人の痛みを取り込んでしまう事からある意味対人恐怖症みたいになっていた受け様が
攻め様と運命の出会いをしたことによって、その後攻め様のおかげで学校へも
通う事が出来、そして自分が持つ能力で人の為に尽くす諏訪の霊媒師として
能力のない攻め様にかわり、受け様が代を継ぐのですが、それは攻め様がいるから
出来る仕事でもあるのです。
そんな二人は出会いから10年、共同生活をするようになって3年が過ぎて
ある依頼者とのトラブルで急接近するストーリー
読んでると、受け様の世慣れしてない無垢で天然な受け様がとても良い感じで
描かれているんです。
受け様は小学3年せいの頃の記憶が欠落してるのですが後半で何故なのか
分かるのですが、子供の時から優しく無垢だったんだと思えるエピソードです。
後半部分でジーンと感動しちゃったりします。
後半で二人の関係が変わった時には受け様の天然で無垢なのに小悪魔誘い??
なんてシーンもあって動揺してる攻め様に思わず萌えます(笑)
燃え上がるような恋愛ストーリーじゃないけれど、長い年月をかけて
確かな絆が育っていて、無自覚なだけで穏やかな愛が育っているようなお話です。
失った過去の記憶が蘇り、攻め様と共に歩むことで受け様の幼かった精神年齢が
ぐ~んと成長しているのを感じる作品でもありました。
やっぱり素敵なお話を書く作家さんですよね。
神楽さん作品はファンタジーが代表的ですが、その中でも特殊能力とか人外みたいな題材を扱った作品は結構好きで、今回も期待を裏切らないというか、
ちょっと毛色の変わったお話で、読み進めるに従ってどんどんと面白くなる♪
そんないい作品だと思いました。
主人公が巫女の格好をしていて、余り巫女設定が好きでないのですが、これは単なるコスプレに近い巫女装束である部分も自分に受け入れやすい要素だったと思います。
何より、二人の関係性が面白く、「好き」という言葉は最後の最後までないという部分w
ありきたりの巫女話でないところと、ちょっと表紙を見ると引いてしまいそうな絵なんですけど、そこから想像する内容とは全然ちがうんですよ!
斎は人の痛みを自分に引き受けることができる能力をもっており、「源氏山の諏訪」という口コミで信頼されて人気のある霊能者の名で、その役割をこなしています。
だけど彼は諏訪の子供ではなくて、15歳の時にその能力に耐えられなくなってここに駆け込んだというクライアントであったのです。
しかし、斎が引き受けた痛みは諏訪の息子である政大が触れるとそれを癒すことができることから、いつの間にか斎には将大の存在が欠かせないものとなり、大学卒業後、ここで引退した将大の母のかわりに「諏訪」として霊能者を継ぎ、将大は大学の時にデビューしたラノベ作家として自宅で執筆をしており、
諏訪の両親が引退して田舎に引っ越した後の家で二人で暮らしているのです。
諏訪を継いで3年、外へ余り出ずに人と交わらないで暮らしている斎が、将大の担当編集と会った事で感じた自分が世間ずれしている事、
それから訪れた、バス転落事故で記憶を欠損した為に心に傷を抱えた男性が訪れたこと、
それから、いつも将大に触ると安らぐのが、彼から痛みを感じるようになったことから、
斎が、そして将大の態度が変わり始めて二人の関係が変わって行く様子が描かれていきます。
恋愛モノとして読むと、斎がその能力の為に人と交わることをしてこなかったために、人としての気持ちの部分にどこか欠けた所があるひととして描かれているので、
何より、将大が傍にいて癒されて当たり前の存在として最初から登場しているので、ドキドキワクワクするものとはちょっと違うかな?
斎がどうやって認識していくか、という部分の創りが彼の人間らしさ(いわゆる俗っぽい煩悩といわれる部分かな?)をとりもどさせる展開の仕方が、独特なのが目をひきます。
その謎の部分をあかしてしまうと面白くないので、いい部分を伝えようとするとバレてしまうので、触れないでおきます。
斎の能力といってもオカルト要素がとても強いものではなく、ものすごく精神的なものみたいです。
その様子の描写を見ているとまるでカウンセリングみたいで、はったり?と思う位にそんなで痛みをひきうけてるのかな?
言葉の魔術と暗示では?なんて思う位、相談者が本当に癒されているのかどうかわからないんですが、、、
そんな完璧でない部分も人間くさくていいじゃないか、って思ってしまいます。
ただ、ほんとうに言えるのは、ものすごく面白いわけではないけど、すごく夢中にさせられる、そして納得できる内容だったという事です。
感覚しか伝えられないのがもどかしいですが、派手ではないけど、しみじみするとか、感動したとかじゃないけど、何だかあったかくていい話だった、
という事が伝えたいな、と思いました。
まりみやさんへ
はじめまして、コメントありがとうございます。
本当に神楽作品はいつも、よかったと思える作品が多くて好きです。
今回は表紙がちょっとこんな女性かとみまごうようなもので危惧があったりもしたし、最初の展開からもしこれが大きな事件とかドラマティック展開になったら興ざめになってつまらないかも、という不安もあったのですが読み進めて行くうちにどんどんと引き込まれて、やっぱり神楽作品!と思わせるとてもいいお話でした。
早くお手元に届くといいですね♪
神楽さん大好きです!!
この独特の世界観がいつも感嘆させられて引き込まれます。
この本はまだ手元に届かないので読めてませんが、なんか久しぶりに神楽ワールド全開のお話のようで凄く楽しみです。最後にちゃんと幸せにしてくれるのが本当に嬉しい。
届くのがますます楽しみになりました。