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gokuin
作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
『極』シリーズです。
クロスノベルズでは4作目、ラピス文庫から数えたら9作目になるのかな?
もともと(特にクロスノベルズになってからは)キャラクターもストーリーもかなり重なっているシリーズですが、それにしてもこちらは前作『極・嬢』といくつも共通したシーンが出てきます。同じ場面を視点を変えて描いているんですね。
もちろん、台詞も同じですから『ああ、(『極・嬢』の)あのシーンか・・・』と読みながら前作を思い出します。
今までのレビューにも書いて来ましたが、私はこのシリーズは『ラブストーリー』としては基本設定からして好みの要素はほとんどありません。
そもそも『ヤクザもの』自体がかなりの苦手です。
それに、正直なところ日向さん作品は文体がどうも合わないとは感じるんですが、特にこのシリーズはそこで投げずに(ある意味頑張って)読みたいと思えるくらいには面白いし好きなんですよ。
でも、こちらは純粋に『ラブストーリー』としてはシリーズで(あくまでも『極』シリーズの中ではですが)いちばん好きです。イヤ、唯一かもしれないくらいこのシリーズの『ラブ』は合わない。
それにしても、ここまで来てすでに『コメディ』要素はまったくと言っていいほどないですね。
でも、ラブ以外の(シリアストーンの)ストーリー部分も面白かったんですよ。
やっぱり、ヤクザもマフィアも裏社会も、それ自体は苦手です。それでも、十分楽しんで読みました。キャラクターがすごくよかった。
余談ながら、荒屋敷(攻)の過去のいきさつについては『艶帝 キングオブマネーの憂鬱』で描かれています。こちらもとても面白かったですよ。
クロスノベルで発行になってるこの極道系嫁シリーズも4作目、前シリーズの極恋や
スピンオフなども含めるとかなりの数になるのですが、今回の主役は既にあの
焼死事件(艶帝)で戸籍上は死人の荒屋敷さんが攻め様で登場です。
そして今回は主役の二人が多少影が薄い感じもしてしまう設定なんですよね。
その他のキャラが濃すぎるんですよ、そして味のあるキャラが二人死んでます。
そのせいで更に薄い影がますます状態なんです(笑)
荒屋敷さんのお相手は台湾マフィア従者の桃李さん、美青年ですがかなりびっくりな
背景が後にわかるんです、ええっ!て感じにちょっとなりましたね。
二人はお互いに相手を探り懐柔する思惑で出会いますが、むろんミイラとり展開
この辺はお約束のようなストーリーになります。
ただ全体的なシリーズの展開から行くと、いよいよ大詰めなのか?って思えるかも
シリーズに出てくる媚薬デッドゾーンの出所が香港マフィアから大量に流れてるって
事がわかる内容になっていましたね。
でも、その香港マフィアのボスを操っていた政治家が逮捕される展開があるので
香港マフィアがデッドゾーンの黒幕なのかもっと何か出てくるのかは謎のまま
でも次回は必ず出るキャラの香港マフィアのボスです、今作でもかなり出てますが
なかなか彼も複雑で、友に対しての男気も見えたりして悪役だと思いきれない
情が見え隠れしてるんですよね。
そして当然のように鬼塚さんも登場しているので余計主役が霞むのです。
受け様は結構頑張って健気さアピール攻め様ラブを頑張ってますが
荒屋敷さんは・・・鬼塚さんの温情に縋って終わる感じです。
ブラックバンクの偉い人なのにヤクザに呑まれちゃっていいところなしです。
それでも物語全体はかなり進んでいるので今後の展開が楽しみでもあります。
今回お話は台湾に飛びます。
前作「極・嬢」で土地の利権に台湾マフィアが介入してかなり派手な抗争があったり、更に鬼塚の嫁・入慧が襲撃されたりとそんな展開があった話の決着続編&スピンオフ的カプの出来あがりという内容になっております。
いよいよ”極妻連合”に外国のお嫁さん!?かと期待しましたが、そうではない模様w
「極」シリーズを始め「艶帝」も絡んで本当!このシリーズ膨大になってきてます(汗)
それが今回、台湾なんて飛んだものだから、ま、台湾の人々は、日本の磐田会の色々な繋がりなんてよくわからないわけで、ある意味読者と同じような立場なわけで(全て網羅してる読者は別だが)、なので若干解説をいれなくてはいけない。
だから内容的にはかなりやっかいな事になり、説明の箇所も増えてます。
更に!それに絡む恋愛の部分・・・かなり浅いです・・・もう、運命で片付けていいです。
攻めとなる人物が、どの組織にも中立なブラックバンクという組織の人間だったから、あまりしがらみは関係ない立場だからかもしれないですがね。
メインは、台湾マフィアの組織の再生になるのでしょう。
台湾マフィア李家の龍頭・飛龍が、弟で裏を仕切る景虎によって監禁され実質龍頭の座を奪われる。
景虎は香港マフィアの劉と手を結ぶことにする。
日本で台湾マフィアが土地買収に介入してきた事件を追って、潜入した元磐田会の松坂と俵頭は、鬼塚の帰国命令を無視して俵頭は見張り付でホテルに缶詰め、松坂は逃げて飛龍の行方を追っている。
飛龍の行方を尋ねてきたというブラックバンクの荒屋敷という男が現れて、李家の桃李と恋におちる。
・・・もうこれだけの人物で結構いっぱいいっぱいです!・・・
結論からすれば、全ては李家を守るため、皆イイ人。
悪役は香港の劉の父親ということです。
その為に俵頭が亡くなります。
しかし、実にまわりくどい展開でした。
何故飛龍を更迭監禁したのか、それは一時の打開策の為だったのかはしれませんが、もっと上手くやれないものか?と不思議で仕方ありません。
なんといっても、今回のこの本のヒロイン(?)となる桃李の存在、
本当はものすごく重要なはずなのに、全然彼がお飾りにしか見えない。
生まれの事情があって、景虎へひとかたならぬ信頼と愛情があるのは、何となくわかるのですが、本来の桃李の立場と力があるのなら、彼は何とかできなかったのか?と
それが不思議でなりません。
というほどに、今回のヒロイン’(あえてヒロインと呼んでしまいたくなる)桃李は、まるで女でした。
その存在価値とか、理由とか、今回のこの話の中では、たまに必要に応じて体をつかった相手の攻略(仕事上の)をしてはいる人だな~というのは見えるんですが。
李家においての存在意義が、姫 な感じがしてあまり好きでなかったかも。
相手となる荒屋敷ですが、彼にはとても壮絶な過去があって現在の地位まで上り詰めた男ですが、立場があくまで中立的な組織の幹部ということで、あまり派手に動く事のできない人であるからしようがないですが、彼は恋をするために台湾に来たみたいな感じがします。
一目惚れで片付けていいかもしれません。
極秘の行動があったりするので、もちろんすれ違いも発生したりしますが、物語の上で展開するシリアスな事柄が関係するとはいえ、いきなりラストは嫁ですからw
結局最後は鬼塚が出てきて何となく収まります。
鬼塚、どんだけ凄い男なんだって、話?
お話的には上手くできてると思うのですが、決して恋愛が重点の話ではなくて、シリアス部分に人物の多さ、それぞれの複雑なモノがありすぎて、あれもこれもと入ってるために説明が大変で、物語が多少おざなりになってしまった感じはいなめません。
ラスト近辺の景虎の展開を見て、この話は他の誰でもない、景虎が主人公だ!!と思いました。
萌えというには少し足りない、ちょっと残念かも・・・