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高校生同士の恋の話です。
事故で永久に片足を引きずることになった少年と、過去にとある事件があって大きなトラウマを持つことになった少年の。
互いの心のなかにある空洞に触れ、少しずつ惹かれあっていく。
まだ自分の傷の癒し方も、罪の許し方も知らない青春の若さのなか、自分自身のなかにある闇と向き合う登場人物たち。
ひりつくようでした。
とにかく暗いお話でした。
続編はスピンオフ作品なんですが、本編でシアワセになったはずの二人が、また大変な目にあってることが間接的に分かってしまうし。
でも、好きなタイプの暗さでした。
ラストに救いがあるし。
続編で主役になった、主人公の親友が好きでした。
叶わぬ恋に何年間もとらわれ続けなきゃいけなくなった、この悲しい少年に、救いある未来を、と思いました。
どっかでこの親友を主役にした物語、出てないのかな。あるなら読みたい。
那魚は事故で陸上を奪われ、親友の佳之は那魚を好きな気持ちに自分自身が追いつめられ、暁水は鬱積したものを背負っていて、全体的に暗い。
だが前向きな那魚に少しずつ暁水は癒される。暁水が癒されれば佳之が沈み、暁水が傷つけば那魚が傷つく。感情の連鎖に読んでいるほうまで引きずられる。
那魚の癒しに暁水はもちろん、那魚に怪我を負わせた男性も癒されるから不思議だ。読んでいるほうは、それぞれの陰の部分に引きずられて全然浮上できない。
否、癒される原因は解っている。那魚は相手のことを充分に思いやっている。陸上を奪った相手にも、どうしようもない暁水にも。その思いやりが佳之だけには諦めきれないようにしてしまい、辛すぎただけだ。
どこにでも居る少年のように思えたが、憎しみをどこかに忘れてきたかのような、大人というよりも超越した存在のようにも思える。