今宵は…兄さんの、望むままに

ふたご 緋牡丹と白百合

futago

ふたご 緋牡丹と白百合
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神12
  • 萌×216
  • 萌14
  • 中立5
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
11
得点
171
評価数
47
平均
3.7 / 5
神率
25.5%
著者
丸木文華 

作家さんの新作発表
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イラスト
丸木文華 
媒体
小説
出版社
イースト・プレス
レーベル
アズ・ノベルズ
発売日
電子発売日
価格
¥850(税抜)  
ISBN
9784781607290

あらすじ

兄・永之助は壮健で逞しい医師、弟・直次郎は病弱で繊細な文筆家…太陽と月の如く対照的な黒木家の双子兄弟。
だが、露西亜との戦が終わり復員してきた兄は、人が変わったように暗い翳りを纏っていた。
戦地に赴く前、積年の思いを告白され体を許してから、ずっと兄の帰還を待ちわびていた直次郎はその豹変に戸惑う…。
そんな折、帝都では女性ばかりを狙った猟奇殺人事件が多発する。まさか犯人は…。狂おしき異端浪漫。

(出版社より)

表題作ふたご 緋牡丹と白百合

双子の兄で軍医
双子の弟で病弱な文筆家

その他の収録作品

  • はなひらく
  • あとがき

レビュー投稿数11

ねっとり

丸木先生のねっとり時代もの大好き~
世間を賑わす猟奇殺人事件・食人鬼、戦争帰還後から
冷徹になってしまった兄に悩まされる苦しさありつつも、
まるごと食べちゃいたいくらい可愛いね♡を
陰鬱妖艶耽美にねちょねちょ甘々溺愛物語でした!!

好きが増大しすぎて食べてしまいたい、
そのまま腐るくらいなら自分の中に…って
重々な気持ちを受け止めて、一緒に生きるって清々しさ美しい!
毎夜のごと精を飲むのがなんともなんとも…

犯人は早々に予測ついたことや、
2人でひとつ、ぴったりハマってるところに
双子だからの禁忌感より、
お互いの強い想い、身が震えるほどの淫靡さ悩ましさが刺ささりました。

"きみは、愛した者の肉を食いたいと思ったことはあるか?" に悩まれる姿にも!!

堂々巡りして愛をぶつけ合うの良いですね!!!

0

愛するものを食らう鬼

双子の兄から請われて、出生前に情を交わした弟。
日露戦争から帰還した軍医の兄、直次郎は人が変わっていた。
同じころ、帝都では女性ばかりを狙った猟奇殺人事件が多発する。

学生時代の友人、児島と事件の検死について議論になり、
兄が話した言葉、
「犯人は、肉を切り取り食ったのではないか?」
「きみは、愛した者の肉を食いたいと思ったことはあるか??」

こんな展開だと、誰だって兄の仕業ではないかと、思ってしまう。
そして後半、お約束のどんでん返しが仕込まれてました。

冒頭で推理ものか?と思ったのですけど、作品中に出てくる「雨月物語の蒼頭巾」の、
寵愛した少年の遺体を食った阿闍梨の話が話中に出てくる。
・・・奥が深いというか、なんとも言えない凄みがある物語でした。。

0

声を殺して追い詰める純愛とエロス…

「鬼子の夢」が鬼(神)だったので早速丸木先生の他の作品をkindle unlimitedで。
文体や会話の端々の雰囲気が違うのに驚きました。簡潔で男らしいと言いますか。
「鬼子の夢」が下から突き上げるような激しい純愛とエロスであるならば、今作は声を殺してじわじわ追い詰める純愛とエロスという感じでした。
思いを通わせたのは宿でも、家族と住む家で毎夜ひっそりと部屋を訪ね音と声を出さぬよう抱き合うという描写が、その時代背景も含めその暗さや静かさの中にエロティックが潜んでいて美しくもあり興奮しました。下帯付けないで相手を待ちわびる表現、癖になりそうです。
イラストも丸木先生で素晴らしい。とても丁寧で体格差も最高でした!凄いなぁ。

正反対の二人が惹かれ合うお話は大好きなのですが、この作品ではそれが双子でしかも相手を誇らしく尊敬しているところがとても良いなと思いました(大きくすれ違いますが)
元は一つだったのに分けられて、それを埋めるように求め合うというのはロマンティックでもあり何となく納得させられます。でもこの二人が元の一人だったら最強過ぎる(笑)
硬派というのがそんな意味もあるとは知りませんでした。

愛する人を食らうことについての会話は究極なのだろうけれど結構引いて読んでいました。凄まじ過ぎます。
お話自体は鬼子の方が圧倒されましたが、こちらの文体がとても好きで、東京の地名や料理なんかの雰囲気も作品を盛り上げている点読んでいてワクワクしました。

あまり引用が過ぎるのは良くないのでしょうが、この見事な一文は購入を迷っている方を全力で堕とすと思うのです。
“下から思うさまに突かれると体が面白いように揺れ、恥ずかしい形になった陽物も玩具のように頻りに首を振ってしまい、漏れた露が兄の胸の上に飛び散り、直次郎はその光景に体中の血が煮えるようになった。”

1

ふたご

禁忌感の薄い双子もの。
薄いから悪いというのではないですが・・・。
個人的な趣味として近親、しかも双子と言う事で、こう、もっとなんというか、痛ましい背徳感が欲しかったな~と。
でも、今まで読んだことなくて、試しにちょっと読んでみようかな~という近親入門としては、良いかも。
ラブ度も高いですしっ!

お話自体はちょっとしたミステリー小説風味もあり、読み物としても面白く、謎が気になりながらぐんぐん読み進めました。

丸木文華先生は世界観があって好きです。

1

もっと禁忌を

ガチ双子モノなのですが、いまひとつ盛り上がりに欠けました。
それは、ストーリーの中で双子同士の恋に対する背徳や禁忌といったものがあまりなかったからだと思います。
もっと悩み葛藤するシーンがあったら、また違ったのではないかと思いました。
もうひとつは、二人の恋の行方と一緒に絡めた猟奇殺人事件。
本当に好きな相手だったら、その人を殺めた後にその肉を食べて自分と同化させたいという…
この設定が共感できなかったからだろうなと思いました。

1

理性がある執着攻め

主人公は双子の弟である直次郎は男とは思えないほど線の細い身体は生まれつき病弱、一方兄の永之助は壮健そのものでした。双子の近親相姦の恋と猟奇殺人のカニバリズムを絡み合って、不思議な物語でした。出征する双子の兄に一夜だけと望まれ身体を許した直次郎だったが、無事帰還した永之介は人が変わったように直次郎に冷たくあたりました。事件を通じてお互いの気持ちを通じ合わせ、共に生きて行く覚悟を決める二人にはとても胸が熱くなりました。ハッピー エンドですが狂ってるくらいに受に執着している攻めが好き私には物足りないです。

1

離れ離れになるくらいなら…

直次郎は、戦地へ赴く兄・永之介の頼みを受け入れ、体を許す。
しかし戦地から帰還した兄は別人になっていた…
あれほど愛してくれたのに、なぜか直次郎を避ける永之介。
すれ違う日々の中、世間を震撼させる猟奇的殺人が発生。…人の肉を食べる。
この事件をきっかけに、永之介の様子がおかしくなってゆく…

離れ離れになるくらいなら、手の届かなくなるところに行ってしまうのなら
食べてしまおう。 そうして一つになる。

本人にとっては究極の愛のカタチ
なのでしょうね。物理的な結合を越えて、生物的、細胞の一部として
自分の中に取り入れる。こんな発想はなかなかありません。

永之介が犯人なの?なんていう心理描写にまんまとひっかかって
はらはらしっぱなしでした。

兄弟愛、ですから禁忌…タブーの恋は萌えますね。

3

いい……!

電子書籍で購入。挿絵も大きく入っていたので助かりました。
(電子だと挿絵がすごく小さいものがたまにあるので……)

冷たい永之助(兄・攻)に苦悩する直次郎(弟・受)、
近場で起こる凄惨なな事件と、それに関わっているかのような行動をとる永之助、
もし兄が犯人だったら?ということに悩み考え、そして決断する直次郎、
戦地で目にした悲惨な光景に自己を投影して悪夢にうなされる永之助の思い、
そして事件の結末、締めへと続くお話が、短く章ごとに分けられて美しい言葉で綴られています。

このお話はサスペンス風なところもあるので、ここで詳しく書かないほうがいいのでしょう。
けれどあくまでサスペンス風なのはお話のアクセントであって、本筋は兄弟の純愛です。
そこに歪んだものを見ながらも、本当はひとつのものだったはずのふたりが
ひとつに戻っていく、というようなお話です。

他のかたもおっしゃっているように、兄弟間の禁忌というものはあまりないです。
兄弟ものは苦手だけど……というかたでも多分大丈夫じゃないかな、と。
ただ、カニバリズム的な描写が少しあります。
とはいっても兄弟がどうこうなるというわけではないので、悲惨な事件・事実のひとつとして読めば、そんなに気分が悪くなることはないのではないかと思います。

私がこのお話に非常に萌えた点はふたつ。
ひとつは丸木先生の挿絵です。なんか他のとちょっと違う!陰気で素敵です。
陰気というのは、このお話においては褒め言葉として受け取ってもらえれば。

もうひとつは、物語の終盤で「直次郎が永之助より早く死んでしまったら」ということを
話し合っているシーンがあります。
ここで出した永之助の答えです!
永之助の答えにしびれはしたんですが、これが本当にそうなると私は本をブン投げると思います。
お話としては大っ嫌いなパターンなんですが、愛の深さを知らしめるために言葉にすると萌えるという、ちょっと我が侭で申し訳ないんですが……
良かった、作中で直次郎が死ななくて。

「はなひらく」ではいちゃいちゃっぷりに顔がにやけてしまいます。

4

僕は○○と心中するのです!

特典ペーパー付き新刊で購入しました。

血の繋がった双子なのに、性格や体格が正反対なので、
読んでいると実の兄弟ということを何度も忘れてしまいそうになりました。
双子というよりも義兄弟という印象が強かったです。

あらすじに書いてあるように、猟奇殺人事件を軸に物語が進んでいきますが、
読んでいて、二時間サスペンスドラマのようだと思いました。

明治時代の言葉使いや文章など、硬すぎたり難しすぎたりすることなく
表現されているので、読みやすくて、明治時代の雰囲気が伝わってきて
作品の世界観に直ぐに溶け込むことが出来ました。

妹が、永之助くんのことを緋牡丹と、直次郎くんのことを白百合だと
表現していたように、特に直次郎くんは本当に心が清らかだと思いました。

それにしても、妹はとても寛大な人だと思いました。
兄二人の情事を聞いて知ってしまったとはいえ、
明治時代であれば同性愛の偏見など強かったと思うのに、
妹の初恋の相手が双子のどちらかであったのに、
表立って取り乱したりせず応援するのには、
強い人だと改めて思いました。

二人の気持ちが通じ合った後も、通じ合う前と変わらず、
笑ってしまう面白い場面は最後まで無いだろうと思っていたのですが、
まさか最後に笑ってしまう場面があるとは思いもしませんでした。
最後の最後になって「僕は○○と心中するのです!」と必死の思いで
叫んだ直次郎くんに意表を突かれて思わず吹き出してしまいました。
あの直次郎くんがこのセリフを言う姿を想像すると可愛らしくて
微笑ましくて萌えました。

今回の評価は「萌×2」と「神」で少し迷いました。
読みながら「この感じだったら萌×2かな」と、
迷うことなく、ほぼ決めていたのですが、
最後の最後になって、直次郎くんの
「僕は○○と心中するのです!」
っていうセリフで、全く頭をよぎることもなかった
「神」評価が頭に浮かんで、迷ってしまいました。
最後の最後までシリアスな雰囲気を貫き通すのも良いけれど、
あの直次郎くんが必死になって「○○と心中するのです」
と言ったのには意表を突かれて思わず吹き出してしまったので、
最後のインパクトが、大半を占めていたシリアスな部分と
面白い部分の両方が引き立てられたと思うので、
最終的に「神」評価にしました。

5

ひい~兄さん、勘忍して~に萌える

禁忌といえば丸木文華さんなんですが、確かに禁忌ではありますが読み終わってみると、実に甘美な禁断の密の味といった風であります。
作中に猟奇殺人なる一見カニバリズムを思わせる事柄も登場しますが、それすらも、そうしたいほどに相手を思うといった比喩の象徴のような使われ方であったのかな?なんて思います。
何より、丸木さんのこの本の良さは、アズの前作もそうでしたが明治という時代背景をとらえて、文章の文体や、登場人物のしゃべる言葉、そういったものにも時代をかんじさせる気配りがあり、他の作家さんのなんちゃって時代モノとは一線を画した文章になっています。
そして現在もある当時から営業している神田・上野等下町かいわいの老舗の飲食店が登場して、また風景描写も当時を頭に思い浮かばせるのに一役かい
とても時代というものを大切に表現されている部分が、秀逸だと思いました。

そしてそして何より、この作家さんのこの本で抜き出ているのはエロ描写です!
もちろん、行為に際しても隠語としての”菊門”などという言葉を使ったり、時代にあわせて手ぬぐいを登場させたりと、時代的配慮もそうですが、
それが一層の淫靡さを増す効果に役だっていたりして、他にもエロエロ作品なんてあったりしますが、エロというより淫靡・淫猥といった表現がぴったりのいやらしさを醸すのがなんともいいのです!(詳しくは読んでねw)

日露戦争も終わり、軍医として従軍していた兄永之助は帰還しますが、それから双子の弟・直治郎を避け、家人ともぎくしゃくした関係になっています。
そんな頃、体の柔らかい部分を切り取られた女性の死体が上がる猟奇殺人事件が連続して発生しており、作家をしている直治郎はそれに関心を持つ。
折しも、永之助の友人から彼が「好きな人の人肉を食べたいと思った事があるか」と聞かれたという話を聞いて、直感から兄が何か関係があるのでは?と思いだす直治郎。
直治郎を避けながらも、激しい嫉妬を見せ直治郎を手籠にする永之助。
永之助に抱かれながら、彼への気持ちを固めて行く直治郎。
果たして猟奇殺人の犯人は?
そして双子の禁忌の愛は?

そんなすじだてで展開されていきます。
ここはあまり筋について触れない方が楽しいのでノータッチで♪
とにかく、双子の双子であるがゆえの結びつきを当然として受け入れてみましょう。
少々禁忌感は薄いかもしれませんが、それでも彼等は悩みます。
妹の存在もちょっとビックリで思わずニヤリとします。
お話は推理やミステリーを交えたものではありますが、そこに大きなウエイトがというより、そこの根底に流れる心と言った部分を見るためのものであったと思いますので、そこは突っ込む必要はないかと思われます。
淫靡だけど、上品で上質な作品だったと思います。
丸木さんのこうした少し古い時代を感じさせる作品は、もうちょっと読んでみたいですね。

8

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