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初読み作家さんでした。レビューがなかったのですが、試し読みがよかったので購入してみました。本格路線でなかなかよかったです。
関連した中編2つが入っています。CPはそれぞれ違います。
1つめは高校生と先生もの。進学校で自分をすり減らしながら生きている木崎渉。成績が落ちると推薦をはずされるため必死に勉強しています。しかし、両親は離婚寸前で、渉を刺激しないように隠してはいますが、それぞれ別にパートナーがいて、父親の方はほとんど家に帰ってきません。精神的にぎりぎりの状態であるのに、よりどころの家庭も自分が安心できる場所ではなく、次第に渉は崩壊していきます。
自暴自棄になるなかで、テレクラで偶然に出会った年下の男性、貴広。実は教師で、よくないとは思いながらも思い切って電話したときに出会った渉に一目惚れしてしまいます。やっぱり関係を持つのはやめようと逡巡する貴広ですが、渉の「傷づけて、お願い。。」に壁崩壊。お互いに求め合った二人ですが、その後、電話だけながら次第に暖かい関係を築いていきます。
しかし、渉の精神は限界に達し。。
渉が崩壊してゆくのが痛々しいですが、どこまでも大人で、しかし優しく一途に守ろうとする貴広の存在に、渉も読者も救われます。
ご都合主義?BLだから。。という展開がほとんどない、青春ラブストーリーだと思いました。おすすめ。
もう1編は、最初のお話であて馬くんだった橘くんのその後の恋。紫陽花がテーマになって、季節感たっぷりの叙情的なお話です。
好きな人を想って作った料理を自らが食べることでしかイケない、変態な真藍。厳格な父親の下で育ち、性欲はいけないことと思い込んで育ちます。
一方、高校時代に苦い経験をした橘。大学生になってからは、好きになった人には優しくしようと決意しています。
二人は惹かれ会いますが、真藍は変態的な行為、あるいは父親の呪縛からなかなか逃れられず、二人でのセックスがうまくいかなくて悩みます。
どちらも精神的な痛みを描いた作品ですが、最後にはCPの愛によって溶かされてゆく、ほんのり甘酸っぱくもある作品達でした。
よかったです。