好きだから側にいられなかった。好きだから、側にいようと思った。――海辺の写真館で繰り広げられる、感動の再会愛。

純愛、熱愛、そして純愛

純愛、熱愛、そして純愛
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神0
  • 萌×21
  • 萌4
  • 中立0
  • しゅみじゃない0

--

レビュー数
4
得点
16
評価数
5
平均
3.2 / 5
神率
0%
著者
剛しいら 

作家さんの新作発表
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イラスト
山本小鉄子 
媒体
小説
出版社
海王社
レーベル
ガッシュ文庫
発売日
価格
¥619(税抜)  
ISBN
9784796402439

あらすじ

大学を中退し、海辺の町にある写真館を継いだ望。セフレのような関係になっていた恋人・櫂人への想いを断ち切るためだった。だが三年後、櫂人が事故に遭い下半身不随となったことを知った望は、彼の世話をすることを決意して…。

(出版社より)

表題作純愛、熱愛、そして純愛

パパラッチの元恋人、25歳
祖父の写真館を継ぐ孫、25歳

その他の収録作品

  • あとがき 剛しいら・山本小鉄子

レビュー投稿数4

愛すること、愛されること

単純な恋愛ものの話じゃなかったですね。
10代で学校という場所で出会い、同じ写真を撮る勉強をして
そして明るくて奔放な攻め様が深く付き合うにつれて
屈折して痛々しいまでの堕落した内面が見えても嫌えない受け様
そしてどこまでなら許してくれるのか、まるで試すように
受け様を翻弄し痛めつけるような思いと態度をぶつける攻め様
2部構成で物語が描かれているのですが1部は受け様の孤独や
初めての出会いで、初めて人を好きになって愛を覚える
そして若さ故に傲慢なまでに受け様への屈折した思いを
見せ始める攻め様と、そんな攻め様に惹かれながら
どんなに理不尽な事や扱いをされても離れられない・・・
攻め様は家族に愛されてこなかったし、唯一の母に自殺という
死に方で捨てられたと、そして愛なんて信じられないと。
受け様はそんな攻め様を愛し傍にいようとしますがしだいに
攻め様についていけなくなって、祖父の入院介護をきっかけに
学校を辞め攻め様と別れる事に、攻め様からやっぱり逃げるのかと
1部は痛々しいまでの日々で過ぎ去った青春って感じでした。
そして2部は・・・
6年の月日が流れ祖父も亡くなり一人ぼっちで祖父の残した
写真館で働く受け様に、昔の友人から攻め様の入院を知らされる。
自分から逃げたはずなのに、攻め様が二度と歩けなくなると
知った受け様は相手にされないかもと思いながらも病院へ
そこで再会した攻め様はベットに縛り付けて身動きが不自由でも
相変わらずの捻くれた物言いで、そんな攻め様を考える前に
自分の所で一緒に暮らそうと・・・
愛されなくても、昔のように傷つけあう愛し方でない形で
攻め様の為に愛情を注ぎこむ受け様。
我慢や忍耐というより無償の愛情っていった感じでした。
そしてそれを受ける攻め様、愛を信じられなくて捨てられる
事を怖がって、臆病で甘えたりで・・・かなり面倒な人
そして見た目明るいのに内面は闇色ってくらいネガティブ
そんな攻め様が肉体的な繋がりを排除した二人の生活で
心のリハビリをしているようなお話だったと思いました。
かなり不器用な攻め様ですので後半までなかなか素直に
なれないんですが重めの話なんですが最後は希望が見えて
来るような展開になっていたように思います。

3

『あいつは天才的な嘘つきだからな』

櫂人(攻め)→傲慢で俺様。でも魅力があって人気者。大好きだった母が、父親の浮気が原因で自殺したのがトラウマで、愛って何?状態になり、女をとっかえひっかえしてる。

望(受け)→両親と死別し、海の近くの町で写真館を営む祖父が唯一の家族。

二人は大学の写真学科で知り合います。
櫂人はとにかく我儘で傲慢。気分に波があり、優しい時は優しいが、気に入らないときは酷い言葉をぶつけたり、出先に望を置き去りにしたり。
独占欲も強く、望が他の誰かと親しくすると不機嫌になります。
そんな櫂人に合わせてついていくのが愛だ、と思い、不条理な仕打ちにも耐える望。
しかし、櫂人が怪しげな話に乗ってしまって借金を作り、望にお金をせびろうとした辺りで、望の我慢の限界を超え、別れる決心をします。
祖父の介護のため、大学を辞めて実家に帰る望。

そして5年後。祖父が亡くなり写真館を継いだ望。
櫂人を忘れられずにいたところに、櫂人が事故で半身不随になったという話を聞き、自宅に引き取ることにし、献身的に介護しますが・・・


個人的な好みでは、読み終わった後にこの二人は大丈夫!ずっと一緒だわ!と思える作品が好きだったりするのですが、この作品はハッピーエンドとはいえ一抹の不安が。。
なんかもやもやするのはなんでだろう、と考えてたんですが、多分原因の一つはタイトルの『あいつは天才的な嘘つきだからな』という櫂人のお父さんのセリフ。
このセリフ、決して根拠のないものではないと思うんです。
櫂人って、こっちが読み取ってるより悪いやつなのかもしれないなーと思うんですよね。
望のことが好きなのは確かなんだけど、ちょっと得体がしれない。

そうでなくても櫂人の性格が性格なので、この先ささいなことで機嫌を損ねてふいっと出てっちゃうのではないかとか心配。
まあうまくすれば戻ってくるだろうけど・・・がんばれ望!

とはいえ、結構いろいろ考えさせる作品であることは確かです。
純愛って可愛らしいイメージですが、あんまり純愛って感じじゃないなあ。
痛いけど救いがあるお話が好きな方にオススメかもしれません。




3

本当に純愛?

読書中も、読後も色々と考えた作品。
単純によかったね、と喜んでいいのか?それでも一応幸せなんだからいいだろうな~と、思わず複雑な気持ちが駆け巡ります。
一応、受け視点でその気持ちは綴られているものの、その本質には触れられていないような?
好きだから、で済まされない何かがあるような気がするのは深読みしすぎなんでしょうか。

両親を失くし、写真館を営む祖父母に育てられ、そして自然とカメラの道を選びその方面の大学に進学した望は、そこで同じ科で同じ寮に入った櫂人と一緒になります。
彼は傲慢でだけど、人気があって、いつも彼女をとっかえひっかえ、それを望がとがめると、それから望に過剰なスキンシップをするように。
次第にそれを意識する望だが、自分を受け止めてくれるのは望しかいないと言われ、二人は秘密の関係を持つようになる。
しかし傲慢で我儘な櫂人の態度には波があり、とうとう借金を作った櫂人にこのままではいけないと、祖父が倒れたのを機に、逃げるようにそこを去るのです。
そして5年後、友人だった坂下から櫂人がパパラッチの仕事で失敗をして半身不随で入院したと聞かされ、彼を迎えに行く望。
あれから介護が必要になった祖父が亡くなり、一人写真館を切り盛りしていた望は、誰も引き取り手のない櫂人に、家がバリアフリー仕様になっているからと、彼と一緒に住むことを提案するのです。
そこから始まった、櫂人の介護の生活。
櫂人は、相変わらず不遜な態度なのですが、望はそれさえも嬉しいと、思い出を作るのだと、彼に尽くすのですが・・・

在学時代の櫂人は本当に傲慢です。
これを惚れた弱みというのか?それとも望がイイ人すぎるのか?櫂人が怖いのか?
そう思うほどに、まりに我儘で病んでいるとしか見えない性格な人だと想われるのです。
それを、半身が不随になったことで迎えに行こうとした望に、彼はどんだけ人がいいのだ?と若干苛立ちを覚えます。
ひょっとして、彼は体の自由の聞かなくなった櫂人だからこそ、もう誰にも相手にもされなくて、自分しかいないんだと、ある種の優越感を持った愛を感じているんじゃないか?って、
ひょっとして望も歪んだ愛の持ち主なんじゃないんだろうか?って邪推してしまったのです。
だって、櫂人でなくても、捨てられてもいい、自分の為に想いでを作りたいと、健気な一面がクローズアップされて、彼が満足しているようすが描かれるからです。
確かに、櫂人は体が不自由な分、傲慢はパワーダウンしていますが、、、
しかし、そこで思ったのです。
最初に、櫂人は、望の事を母親に似ていると言って好きになったのです。
彼が愛して亡くなった母親。
ある種のマザコン?
櫂人は愛されたい人、しかも子供になって、我儘言ってそれを聞いてもらって、それが愛されていることと勘違いしてる人。
望は愛したい人。
彼は祖父が大好きだった。その祖父に何となく似ているから櫂人が好きだったと告白している。
愛し愛されたいの、需要と供給が合致すれば、それは破れ鍋に綴じ蓋カプで、確かにうまくいっているカプなんだとは思うんですが・・・

深く考えてしまうと、それも愛の形ではあるものの、本当の相手を見ていることになるんだろうか?と
そんな事を等を色々考えてしまって、単純な話ではなかったんではないんでは?と思ってしまったようです。
色んな形の出会いと愛情があっていいはずなので、これも恋愛物語なんですが、
納得がいかないわけではないのですが、すごく複雑だなー、一筋縄でいかないカップルでは?と思った次第なのです。
しかし、どうしてこの題名なのだろう?
ひょっとして題名に惑わされている?www

1

ん~。小鉄子さん買いです。

剛しいらさんて男儀が得意な方だと思うのです。
剛しいらさんの男儀のない男たちってなんだろー萌えないーー。



これは大学時代に出会った二人の男が再会し関係を再構築しようと模索するお話なのですが
なんとも攻めが好きになれない・・・。
いろいろあったにしてもお前拗ねすぎ!!!受けも完全ダメ男にはまるタイプです。

完全かまってちゃんな攻めは事あるごとに受けに対してあめとむちで攻め立てます。
拒みきれないし攻めを好きな気持ちとほっておけない気持ちでどんどん深みにはまってゆきます。
そんな時、攻めから借金の願いをされ困惑する。同時期に祖父が倒れ大学をやめるか選択を迫られる。
どんなに、攻めを愛しても攻めが一向にそれに気付かないことに絶望しこれ以上甘やかしてもと逃げます。
それから数年たち祖父がなくなり祖父の残した写真館を引き継ぐ。
学生時代の友人から攻めが事故にあい入院してることをしり受けは会う決意をします。
ベットの上にいた友人は以前にもましてひねくれていて・・・。でもそのひねくれは自分にたいするイラだちと甘えだと受けは受け止め攻めを引き取る決意をします。
なんでや・・・・なんでそこまでものわかりがいいんやこの受けは・・・・。
お前は博愛主義者か・・・と言いたくなります。

車いすの攻めは自分の体が思うように動かないことと好きなファインダーを覗いて撮ることのできないいらだちが卑屈にさせていくのですが受けと同居するようになって少しづつ本当に自分のためにしてくれている。ここにいていいんだと思わせてくれる。
体のリハビリは攻め次第ですが心のリハビリは受けがすべてです。

受けの愛に凍った心がとかされていく姿にはぐっときました。
めんどくさい攻めだけど受けの愛でこれから幸せになるんだろうなぁという最後でした。

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