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既刊の「軍服の花嫁」のスピンオフですが貴族議員の山科さんが
ちらっと出てくるお話でした。
幕末頃のお話なのかと思いますがまだ武士制度が横行していて
無礼打ちが頻繁にあった頃で受け様の兄もそれで死んでいます。
そしてその事に怒りを抱いた受け様は無念を晴らそうとしますが
山科に諭され、後に山科の為に人斬りとして働く事になります。
攻め様は外国商人で武器も扱う闇商人ですが過去に日本起きた
辛い過去を背負っています。
そんな二人の出会いは、山科が攻め様と手を組むか決めるために
攻め様の動向を探らせる為、受け様を護衛と言う名のスパイに命じて
信用ならない相手の場合は攻め様を打つ事を命じます。
攻め様との出会いは受け様にとって新たな運命への一歩でした。
ただ、初めに感じた攻め様が自分を見下すような気配もなく
知らないことなら覚えれば良いと言うスタンスに山科へ感じる
敬愛とは違う感情の揺れを感じた受け様でしたが
山科と離れ、攻め様と二人で対する時には人が違ってしまった
かのような冷淡で怜悧な侮蔑するかのような態度になります。
そして、受け様をとことん追いつめるような凌辱と屈辱を・・・
受け様は武士の誇りとして自ら命を絶とうと・・・
攻め様は受け様を助けますが、命を粗末に扱う受け様を許せないと。
攻め様は過去に愛する人を武士道の名のもとに殺されているのです。
そして武士を憎んでもいるのですが武士と言うより日本の武士道の
主君の為に命を簡単に投げ出してしまう事への怒りのようでした。
そして受け様は下級の生まれで知らない内にコンプレックスを
抱えていて、自分では何も考える事も無く諾々と上の指示に
何も考えないで従っていた事の矛盾に気が付いていきます。
攻め様との出会いによって受け様は大きく成長したのです。
それと同時に酷い事をされたのに攻め様を嫌いになれない
己の気持ちにも気が付きます。
攻め様も同じように受け様を愛している事に・・・
かなり痛い設定のお話ですが時代に翻弄されながらも
自分の進むべき道を見つけた受け様には強さを感じました。
「春来る」は本編で己の戦いの為に攻め様と離れた受け様が
攻め様が待つ出島に戻って来てからのお話です。
二人で甘い生活をしながらも受け様は新たな自立の道を模索して・・・
言われるがままだった受け様の成長がわかるお話でした。
尊王攘夷な時代です。
軍服三部作よりも時は遡り、山科さんの若かりし時。
山科さんへの忠誠心に盲目的に従い、考えることを放棄していた受けがだんだんと変わっていくのが良かったです。
なんというか武士道精神って…悲しいな…って考えさせられちゃいました。
“命よりも大切なものがある”と考える鷹尾と“命よりも大事なものなんて絶対に認めない”と考えるレキシントン。
二人とも武士道の考え方・制度によって大切な人を亡くしていました。
鷹尾の兄は上士に道を譲らなかったという理由で、レキシントンの恋人(女)は武家である彼女の実家が外国人との関係は誇りを汚される事態だと考えて…。
そんな理由で簡単に手を出すなよ…って思っちゃうんですが、多分そんな時代もあったんでしょうね…。
そういう過去があるから…下士である鷹尾は身分差の無い世界にしようと理想を掲げる山科に忠誠を誓い、学がないことを自覚してるから自分で物事を考えて意見しようとはしない。
山科が改革に必要だといえば人に手を下すことも厭わない。
山科がいうことは正しいこと。
自分には難しいことなんて分からないし、意見を述べるなんておこがましい。
そんな鷹尾はレキシントンの目には典型的な士族であり、憎い存在として映ったわけです。
が、追い詰めすぎて自害未遂にまで追い込んだ攻レキシントンやりすぎ…反省してるしその後甘々だから良いけど!
これが反省の色なかったら趣味じゃない。
「春来る」は改革後、レキシントンの元に鷹尾が戻ってきてからの話。
鷹尾の成長と精神安定後のレキシントン。
今後どういう道を進むか…で悩んでいた鷹尾が最終的に決めた道は“教育”。
自分がそうだったからこそ、激動の中で困っている人達の道を広げたい…。
いやー…良いですね、頑張れ!