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hametsu no koi meu amour
ポルトガルのリスボンを背景に民族歌謡のファドの呪いを
かけられたようにささやかな幸せと安定を望んでいた受け様が
恋を覚え愛の為にその身を奈落の底まで落としても諦めることなく
穢れなき魂のように愛する者を守る為に自ら破滅の道へ・・・
ただの音大生で亡き母の思い出の地を訪れただけの受け様が
マフィアの攻め様にファド歌手になれと見初められ、拒絶するが
理不尽にも無理やり凌辱され、まるで運命のように引き返す
事も出来ない状況になってしまう。
攻め様にファドの呪いをお前にかけると言われたことが
まるで現実のようになってしまい、受け様は復讐を誓う。
リスボンで助けてくれたバーテンのブルーノの助けで受け様は
酒場で歌を歌いながら攻め様がもう1度戻って来るのを待つ日々
そして再会の時がきて・・・でも攻め様は受け様の為に
歌のレッスンを受けさせてくれたりと純粋に歌の為にパトロンに
そしていつしか復讐は恋に変わって行き、知らぬ間に攻め様を
愛するようになっていく。
このまま思いが伝わって相思相愛になったらハッピーエンドだけど
ここからが非常に受け様にとって過酷な運命になっていきます。
自分でも気が付かないうちに信じていた友人に利用されたり
攻め様が罠にはまり服役してしまってそこでの暗殺を危惧し
助けるために友人の警官の情報屋として危険な事をするようになり
そして情報を仕入れるために身売りまでしてしまう。
全てが愛した攻め様を守りたい一心からの思いなのですが
スパイだと疑われ麻薬漬けにされボロボロになって行く姿は
哀れで悲しく、それ故に愛に一途な思いが伝わるお話でした。
そして攻め様が戻って、攻め様に歌を聞かせたいと思っていた
受け様に攻め様の仕打ちは残酷でした。
もちろん受け様から愛されているなんて攻め様は知らないし
憎まれて当然と思っているので正規の歌手にならず娼婦に
身を落としてしまった受け様に辛辣にあたり、専用の娼婦に
するが歌は二度と歌わせないと・・・
それでも受け様は攻め様に何も言わずに耐え忍ぶんですよね。
まさに日本人的な美徳精神です。
最後まで攻め様を守り銃弾に倒れる、そして完全に歌手への
道は閉ざされ、薬に侵されてしまった後遺症も・・・
どれだけ受け様に過酷な宿命を背負わせるのかと思う内容です。
攻め様も最後に受け様の気持ちに気づき消えない後悔を
背負い続ける運命です。
一旦は攻め様の元から消える受け様、そして攻め様が迎えに・・・
かなりシリアスで悲しく切ないストーリーですが
何故か心が惹かれる内容でした。
あとがきの後の書下ろし部分でも今後の受け様を思うと
涙が誘われる内容で切なかったです。
そしてまたもや日本人らしい受け様の照れ具合が見える
ショートストーリーでもありました。
つかみは衝撃的でした。すぐに回想シーンに入りますが、ここがちょっとだるかった。この本の半分近くのページを使った回想シーンは、もう少し省くか、盛り上げる人物を入れるかしないとダルイ。読むのやめる人がいるかも。物語はちょうど半分のページから息もつかせず、引き込まれていきます。本当の恋を経験している人なら、主人公の受け様の気持ちはわかるはず。情熱的に聞いてくれる攻め様の視線がないと歌えない。攻め様が死んでしまうと自分も生きる屍。もう1人の奴には初心な青年の恋心を利用されてしまいましたね。しかし、汚れてしまった、いや攻め様の命を救いたいために汚してしまった身体。おそらくお互いに強く惹かれ合っているのにその愛を確かめられることなくすれ違ってしまう(最後には分かり合えるのだが) 受け様が、普通に歌手になり、攻め様と普通の恋をするのとは違う、マグマのような恋。おそらく誰にも真似できない恋が成就する。ワインで言うと、熟成されたカベルネのような。そして民族音楽ファドが、この恋を熱く彩る。私が最近読んだ30冊以上の本の中でこの本だけは、思わず何度も読み返してしまった。(前半 半分のページを除き)
この恋は痛くても、知る価値のある恋。多くの恋をして忘れてしまう相手もいる、しかし、人生の終わり、死の間際にはこの恋だけは熱く思い返せるだろう。深く傷ついてもこの恋こそ生きた証と。たとえこの2人がこの先別れるよる、しかし、人生の終わり、死の間際には熱く思い返せるだろう。深く傷ついてもこの恋こそ生きた証と。たとえこの2人がこの先、別れるようなことがあっても。
ストーリーの結末を言ってしまうと、ハッピーエンド?なのかどうか複雑なところです。
華藤さんの作品は経過が重くて暗いものも多いのですが、最終的にはハッピーエンドがセオリーだと思うので、この2人の生活が長く続かないかもしれない…と匂わせる結末は、大団円が大好きな私には少し重かったです。(もちろんそれで主役の2人が不幸かというとそうではないですが)
他の方もレビューに書かれている通り、お話があまりにドラマドラマしすぎていて、完全に入り込むというよりは「コレはフィクションだ…」なんて冷静になってしまうストーリーでした。
主人公で音大生の叶多は卒業旅行でポルトガルに来たものの、日本に帰れなくなり内定も取り消され所持金も盗まれ、見知らぬ海外で働き口を捜し、マフィアのパトロンが付くけれど、今度はそのパトロンが逮捕され、救出するため身体を売り、麻薬漬けにされて、出所したパトロンには陵辱され、友人と思ってた人に裏切られ、撃たれて怪我を負い、パトロンの前から姿を消し、また見知らぬ街で仕事を探し…
冒頭だけでこんなこと一生に起こるのか?という展開が立て続けでした。
ラストは一応パトロンであったレイナルドと結ばれ、彼の屋敷に腰を据えるのですが。
もう日本には帰れず、唯一持っていた「歌」という特技も、撃たれて肺が傷ついたせいで満足に続けられなくなり、麻薬のせいで身体も長くもたないかも…という結末。それでも叶多はレイナルドに会えてよかったと言います。
それは単純にレイナルドを愛しているから、という理由でなく、レイナルドがポルトガルの民族音楽であるファドを教えてくれたからだ、という叶多の台詞に主人公の人生観が見え、ここがただのドラマでは終わらないこの作品の素晴らしい箇所だと思いました。
叶多は本来なら日本で音大を卒業後、音楽講師になり、安定した道を歩むはずだったのにこんな事になってしまった。それでもファドという民族音楽に出会えたことが、こうなったこと全て肯定できるほどの幸運だったと言うのです。
それって「最愛の人」とはまた別に、人生に一つ出会えるか出会えないかの「生きがい」というものと出会えたという事なので、叶多の人生はこれでオッケーだったという結論なんでしょう。
長くとても詰まった内容で、二段組みにしたのがよく分かりましたが、個人的にはこの一冊に無理に詰め込まず二冊に分けてしまった方が良かったのではと思う程にエピソード満載でした。
エピソード満載過ぎて一つ一つが本来とても印象的でドラマティックになるものが、サラッと流されてしまっていて、その度にこちらも「あらっ」となって流さなきゃいけなくなることがなんと多いこと。
しかし、そんなこと流して流して読んでもとても面白かったです。
華藤さんはマフィアモノやラテンモノが本当にうまいですよね。
ファドを聴いたことがない私ですが、作中でかなりファドの魅力が綴られていまして読後、
「はあ、いつかリスボンに行って緑色のワインを飲んでファドを聴いてみよう」
と思ってしまいました。
ストーリーといえば、結構に悲劇です。
悲劇も悲劇なのですが、場末の男娼になろうと、薬漬けになろうと、フラッシュバックで苦しもうとすべてがサラサラと流されていくので、
「もう、しばらくこの本には触りたくない」
「しばらくストーリーの中から感情が浮上できない」
なんてことにはなりませんでした。
しかしこれだけエピソードが詰まっているのに、華藤さんなのに非常にもったいないことこの上なかったです。
だってあれだけ薬漬けになったら、体といい顔貌といい思考回路といい、厳しい現実が待ってますよね…。
マフィアでファドのドラマティックラブ。
どこか鄙びた、ポルトガルの首都リスボンを舞台に、日本人音楽留学生と、ポルトガルマフィアの幹部の運命の交錯、性格も国籍も育ちも違う二人の情熱的な愛のもつれあい。裏テーマはメランコリックラテンだそうで、2段組でびっしりたっぷりの1冊。
分量はたっぷりだし、主人公叶多が辿り味わう諸々は、どっぷりディープで非常に盛りだくさんではあるのだけど、なんだか読後の印象が薄いのは、叶多の相手役で、もう一方の主人公であるはずのレイナルドがほとんど不在のまま話が進むからかな。
お話の展開として、一緒にいるのにすれ違う心って展開には萌えられるけど、不在の相手を思って自ら泥沼にはまっていく主人公っていうのにはあんまり萌を感じられなくて、全体の評価としては、差し引きして萌1つで。
あらすじに惹かれて読んでみたのですが………。
うーん、ドラマティック☆
ロマンティックというか。
そういうのが好きな人にはいいんでしょうけど、自分があらすじから想像していたものとは違っていて。
リスボンを訪れた叶多は、ある日酒場で出会ったマフィアのレイナルドにファドを歌えるようにと無理矢理抱かれて。
その悔しさを復讐心に変えてリスボンで彼と対峙する日を待ちながら過ごす。
そして、再会したレイナルドは今度は純粋なパトロンのように叶多に接してきて。
知らず知らずのうちに惹かれていく気持ち。
だが、レイナルドが警察に捕まり、そんなレイナルドを救い出すために情報屋となり身を売り薬漬けにされながらも必死に生きるのだが…。
3部構成になってるんですが、個人的には3部が一番好きな感じに近いのかな。
1部が出会い編。
2部がパトロン編。
3部が愛人編、みたいな感じ。
復讐心が恋心へと変わった叶多は自分を犠牲にしてまでレイナルドを守ろうとして。
けれど、それは絶対秘密の情報屋稼業なので男娼となり果てた理由もレイナルドに話せるはずがなく。
久しぶりに再会して堕ちぶれた叶多にガッカリしたレイナルドは無体な扱いをし愛人として扱うようになるのですが。
それでも、叶多は自分の気持ちをずっと隠したままレイナルドを守ろうとしているようなところもあって。
その擦れ違った気持ちがなんとも。
薬も最初は無理矢理打たれたものだったけれど、次第に自分で薬物中毒になってるようなところもあって。
なんというか、ほかの作品で見られるような「あ、かわいそう」とか「ひどいな」って感じではなかったんですよね。
「えろい~」ともまた違うし。
薬物、セックスドラッグなんだけども。
何かが自分とは合わなかったようです。
一番多分合わなかったのは2部のパトロン編。
ホントにただのパトロンなんですよね。
触れないし、出資するし。
その辺でのレイナルドの気持ちに関しては巻末の『あるラテン男の恋の悩み』で明かされてるんですが。
たぶん、自分の求める「マフィア」よりも全然「ジェントル」だったことが個人的敗因かと。
ラストとかも甘々なんですよね。
そんな『あるラテン男の恋の悩み』
もちろんレイナルド視点のお話であるラテン男とはレイナルドのことなんですが。
日本人とラテン男では愛情表現とかも違うよねっていうお話。
異文化コミュニケーションですよ。
ダイレクトに伝える人とうまく言えない人と。
熱烈なラブコールに叶多は「暑苦しい」「ハードルが高い」と苦笑してたらしいのですが。
極めつけがペアリングの際の発言「きも…」
当然「キモイ」の途中まで口から零れた感じなのですが、レイナルドは日本人じゃない。
ということで、」その音の単語を日本語で調べたら「肝」
意味的には「魂の宿るところ」と解釈したり(笑)
なんだ、この本編と違っておかしいノリは!!
と思っていたら、最後の最後でキュンとなるシーンが。
そんな甘々ラブラブな感じで終わるのかと思ったら。
叶多が今でも薬のフラッシュバックを起こしていて。
その作用で消耗していったら、そうは長くないかもみたいな話をレイナルドは医者から聞いていたというエピソードが出てきて。
個人的には一番そこがなんだかせつなくて好きでした。