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永遠に、あなただけを信仰…します
junai
トピ内でお勧めを受け購入しました。「ドロドロが読みたい人に」とのお勧めでしたが、私の印象は「哀しみ」でした。
以下、激しくネタバレです。
BL版「黒い報告書」。
1998年の作品との事ですが、昭和的な匂いが漂ってきます。というのは、昔私が小学生の時(昭和50年頃)、歯医者とかで隠れて読んだ(!)大人の週刊誌、今思うと週刊新潮で全く真っ当な週刊誌なのですが、その有名連載「黒い報告書」を思い出すのです。
「黒い報告書」とは、実際にあった事件が4ページほどの小説仕立てで書かれていて「必ず」濡れ場が入っているんです。スナックママを取り合って近所の公務員が自営のおじさんを刺した、とかそういう事件。
そう、「痴情のもつれ」なんです。
この表題作「殉愛」は今時のBLでは見かけない禁断の愛、的な、許されない愛、的なソースのかかった「痴情のもつれ」事件のあらましなんです。
子供のいない愛妻家の部長と新婚部下のダブル不倫。関係を続けるために部下を広島に単身赴任させ、狭いアパートで逢瀬。部長の妻が浮気を疑って広島まで乗り込んでくる!これが男と女ならほんとに週刊誌的なよくある事件です。
ですが綺月陣さんの筆力は「男と女のよくある話」を「男と男の愛に殉ずる物語」に昇華させてしまう。特に二人が何故か抗い難く惹かれ合い、初めて寝る時の描写。凄い緊張感でページをめくる手は止まらず、まばたきもできなかった…
「失望してください、部長!」
二人のこの初めがあるから、この終焉に納得がいくのです。
「メビウスの環」
残酷な攻めとけなげな受け。
攻め松岡雄一は、大学病院教授の息子藤崎秋生と10年来関係を持っている。そして秋生の妹夏実の婚約者でもある。
夏実に秋生との関係がばれた翌朝、ベッドで夏実が死んでいた。自分は何もしてない…そこに秋生が現れたので、雄一は秋生に泣きついて死体を処理させる。そして逃避行。
雄一は夏実の死や死体遺棄のショックで精神不安定で、秋生に甘えたり酷くしたり。一方秋生は何故だか冷静で、雄一に優しく接する。
途中でどういう流れで物語が進むかなんとなくわかるのだけれど、それでもラスト、秋生の「僕はずっと待っていたんだよ。雄一が僕を、捨ててくれる日を」の言葉は痛々しかったし、雄一の振りかざすナイフその銀色と、森に積もる雪、そして鮮血のくれないが哀しみをもって迫ってくる感覚がありました。
若いちるちるの読者さん達はこういう物語、どう読むのかな…
98年イマージュクラブ掲載の短編2本を収録した1冊。
最初にネタバレします。。。。
死ネタです。2本とも恋人達は亡くなります。
でもそれは、決して不幸ではなく、不幸を乗り越えた末の幸せなのです。
と、書いてしまうと、じゃあ、死によってしか二人は結ばれなかったの?ではそれじゃあ幸せと言わないのでは?
この本のあとがきに作者さんが言っています。
まさに題名通りに「愛に殉じる」そして「メビウスの環のように終わりのない」
今回のあとがきにつよく胸打たれました。
綺月さん、いい事言ってます。
そんなバッドエンド(一応)物語の一冊ですが、これぞ自分の求めていた作品!
苦しくて切なくて、痛くて、そしてまた苦しくて、思わずその息苦しさに涙がにじむ程の・・・
ある意味、こういった作品はメロドラマの範疇に入るものかもしれません。
もしくは火サスの展開?
だけどヌるいものじゃぁないんです。
彼等の前に立ちはだかるものはそれはそれは厚く彼等を阻むもので。
「バカだなー」と客観的にみてしまえば、確かに彼等はうまく立ち回れていません。破滅へ一直線です。
でも、だからこそ物語になりうる。
今ではこうした死ネタは敬遠されるものだと聞きます。
しかし、年1冊くらいあってもいいじゃないですか。
こうした激しい作品を読みたいと読者は希望するのです。
これはハッピーなのかアンハッピーなのか・・・
愛に殉じた為に誰もが傷ついてしまった。
でも、理性などこの愛を前にしたらなんと
儚いことだろう。
運命のいたずらのようにダメだと知りながらも
惹かれあう魂をどうする事も出来なかった二人。
それが破滅へと繋がるとしても・・・
う~ん、奥深い作品でしたね。
かなりシリアスになってしまう内容なのですが
明るくお軽い作品好きの私でも惹きこまれます。
どこかで引き返す事も出来たのではないか?
でもそれをしたら心は死んでいたかも知れない。
好きだから共にありたいと簡単に言える年齢でも
立場でもない攻め様とファザコン気味で控えめで
でも内に秘めた情熱は激しい受け様。
受け様が攻め様に信仰と言う言葉を囁いた時
攻め様の存在は盲目的に魂の全てなのだと思いました。
あまりにも強く激しくでも、それ故に悲しい結末。
死んでも尚、攻め様の傍にあり、攻め様もまた
放すことが出来ない、愛とは何処まで深くなるのかと
思わず感慨にふけるような内容でした。
「メビウスの環」も同様のシリアスな内容ですね。
どんなに逃れようとしても逃れられない愛に
捕まってしまった二人のお話でした。
人間の欲深さや身勝手さや切なさが心に刺さるお話。
愛の形も幸せの形も色々あるのだと思ってしまう作品でした。
こういう作品ばかりになると、ちょっとブルーになりますが、
今の時代だったら、ピリッとスパイスになるような作品ですね。
98年の作品ですが、かえって新鮮に思われます。
耽美で湿度たっぷりな雰囲気だけど、小気味良く進んでいく展開
そしてふっと浮遊したような、余韻のあるラストは安定感がたっぷりで
ぶれていません。
「殉教」の最後にストーリーテラー役で出てくる老刑事は、推理モノの最後に出てくる探偵さんのようです。金田一シリーズっぽい余韻もあっていいですね。
これ、BLなんでしょうか?
いや、男同士の性愛が描かれているので、BLなんですよね。
なんというか、フィクションなのに現実のどこかでこんな事件が本当に起こっていそうな錯覚を引き起こします。
『殉愛』と『メビウスの環』の2つのお話が収録されています。
あとがきによると、1998年の作品らしいです。
思ったより、最近でびっくり。
80年代的な匂いがプンプンしているのでもっと、前のものだと思ってました。
この懐かしい、古臭い感じが、逆に新鮮です。
今どきのBL小説が洗練された映画なら、これは火サス、大映ドラマです。
80年代の匂いに浸りたい人にはオススメです。
『メビウスの環』が好きです。
死ネタ。
恥美です。
淫靡な世界がたまらない作品です。
これは 本人達が笑いながら死んでいくので
ハッピーエンドでしょう。
死んでもお前と俺は離れないぜ!ずっと一緒さ!
固い絆の男同士の約束です。
この感じがたまらなく萌えちゃいます。
血だらけで死んでいくのも映画のようで良かったです。
納得できる仕上がりになっています。
私は死ネタが好きなジャンルなのでまったく抵抗はありません。
もっとあってもいいのになあ。
純粋な感想として「懐かしい!」の一言に尽きます。
2編とも21世紀前に書かれたものだと思うのですが、男性同士の恋愛が決して結ばれないもであった時代があったんだということを感じますね。
表題作なんて思いっきり不倫ものですもの。
今だったら「恋に落ちてしまっても、妻と別れる前に関係しちゃダメっ!」という、別の倫理が先立つのでしょうけれど「当時は男性同士の恋愛自体が禁忌のものだったんだよねぇ。同性と本気の恋に落ちてしまったら、もう、悲劇めざしてまっしぐら」で「それ自体が純愛だと思っていたのよねぇ」などと軽い溜息と共に思っちゃったりいたしましました。
しかし、今の時代にこの様な『禁忌だからこそ日陰の恋』だったり『男性を愛してしまったことを否定する為に、その妹と政略結婚をしようと企む悪ぶっている男』の登場するお話を読むと、どうして私はこういうテイストのお話にこんなに惹きつけられてしまったのか、考え込んでしまいます。
あの頃、こういう話が王道でした。
巷に溢れる幸せな恋物語を避け、成就しない激しい恋愛のお話にのめり込んでしまった若かりし頃の自分を思い出すにつけ「どうしてって……思い出せないなぁ……」とひどく不思議な気分に陥ってしまいます。
一言だけ言えることは「悲しい結果にならなくても激しい恋は出来る、と思っている今の自分の方が自由だなぁ」ということ。
『教養としてのBL(歴史的な側面として)』を鑑みる為には最適の一冊かと。
阿久津敬吾は、営業のみを専門に行う会社で部長を勤める営業のプロ。
元々、親会社から営業だけを専門に行う会社を作りたい、と言い、阿久津が中心となって立ち上げた会社だった。
仕事は順調で、私生活では子供がいないながらも、洋裁や着付けを教える妻の智恵と順調な夫婦生活を送っていた。
部下の辻沢朋之も、繊細な見た目から「営業」という仕事には向いてないのではないか、と危惧されたものの順調に営業成績を伸ばしていた。
そんなある日、いつものように辻沢と一緒に、営業成績がイマイチである「広島営業所」へと出張へ向かうことになった日。
運悪く、受験日と重なってしまい、シングルの部屋もツインの部屋も取ることもできずに、ダブルの部屋で二人で寝ることになってしまう。
その夜、風呂上りにバスタオルを巻いただけの格好で出てきた辻沢に、思いがけなく欲情してしまった阿久津。
同じベッドに入るも、眠ることができるはずもなく、誘われるように辻沢に口づけてしまう。
翌朝目覚めた辻沢は、思いもかけず、過剰な反応を示していて――
という話でした。
何もかもが順調に行っていて、社内でも「夫にしたい男ナンバーワン」とまで言われていた男が、一人の部下に恋をしたことで身を崩してしまい、最後は破滅を迎える話でした。
なんというか――商業BLでこのラストはありなのか……というのが、一番正直な感想でした。
読む人のためにはっきり言っておきます。
死ネタです。
知らずに手を取ってしまった苦手な人は発狂しそうなくらい死ネタです。
ちなみに、個人的には割りと好きな方なんですが、逆にちょっと物足りない。
ページ数の関係だと思うんですが、もっと狂おしいくらいの二人の関係を書いてほしかったと思うし、バレるまでの経過ももうちょっとドキドキするスリルのあるものであってほしかったなーと思います。
それから、もう一作、入っているんですが、こちらも人によってはアンハッピーエンド。
かなりどきつい話です。
これはもう、「BL」という枠じゃなくてもよいのでは? という感じの話でした。
評価は思い切り分かれるかと思いますが、個人的には過去に書きたかった話の亡霊がこんなところに出てきたか――というような感じがしました。
今はもうちょっと明るい話の方が好きです。
死ネタがお好きな方には満足いただけるもののような気はします。
知らずに手をとりましたが、中身は90年代に書かれた作品をまとめた短編集です。最後まで読んで納得…というのも、かなりシリアスでショッキングな内容なのですが、おそらくこの時代だとJUNEというジャンルでこういうドロドロで救いようのない耽美な作品は流行りだったのかもと思えるからです。ただ、好みが大きく分かれそうな内容なので、ある程度内容を下調べした上で手を出されるのがよいかと思います。
かくいう私は…苦手な方でした。
しかし、ここまでわかりやすい昼ドラのような展開はある意味では新鮮で感心します。
主役の阿久津と朋之は上司と部下ですが、互いに妻帯者でありながら不倫関係にあって、メールでこっそりと時間を示し合わせ、外で逢い引きをして…
「自分がこんなに不誠実だとは思わなかった」「妻だけを愛して一生添い遂げると思っていた」など言い訳めいたことが書かれてるのですが、もはやBL・NL関係なく、不誠実者同士のお話は読んでいても萌えとか楽しいという気分は皆無でした。
しかし、不実を続けていたらいつか天罰が下る…というような二人して引き返せないところまでどんどん堕ちていく展開になっています。
(以下は完全に最後までネタバレしています)
最後は朋之の妻が妊娠し、それを知った阿久津は朋之と妻を引きはがし広島の支社に飛ばしてしまうというそんな無茶な…という展開なのですが、さらに阿久津の妻が阿久津の浮気を疑い、朋之の妻にわめきちらした挙げ句半狂乱になって朋之を刺すというもの…。
まさに絵に描いたような昼ドラ的展開。最後が救いようのない展開だった場合、私は多かれ少なかれもやもやしたものが残るのですが、これに関してはいっそ清々しいくらいでした。
しかし、今自分がこういうストーリーを好みでないと思うのは時代の流れか歳のせいかと思います。若い頃はBLNL限らず、こんなドロドロしたお話も受け入れていたように思います。
もう一つ入っている短編も、受けと攻めがいてハッピーエンド…のようなお話ではなく、癖のあるものでした。
明るい王道なお話やハッピーエンドを求める方には向いていない作品ですが、ドロドロのダークシリアスがお好きな方は、ここまで過激なものはめったに見られないかもしれませんので、強くお勧めできると思います。