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僕、木津先生が、好きみたいだ……
sango no hone
ドメスティックバイオレンスってこんな感じかもって
読み始めてすぐ感じました。
もっとも兄弟だからDVとはちょっと違うけど
受け様があまりに痛々しくて・・・・
母親が違う異母兄弟だけど、兄は愛人の子供でその母親は
父に捨てられたことで自殺。
兄は親戚にも疎まれたあげくに父の家に連れてこられ
そこで弟に出会いますが、初めから逆恨み状態で
事あるごとに弟に暴力と性的虐待を・・・・
弟は逆らえば殴られるって言う怯えから兄の言いなりに。
完全にDV見たいですよね。
それに兄弟の関係は共依存に限りなく近くて。
出版社に勤める受け様はある作家の指名により担当に
受け様は攻め様が滞在する南の島へ行きそこで攻め様の
甥っ子と出会うが兄に殴られた痛々しい顔を見られたとたん
子供が泣き出してします。
その子も心に傷を持っているようで・・・
攻め様へ仕事の依頼をしようとしたところ攻め様から
君の疵の訳を聞きたいと、それが執筆の条件と言われ戸惑う。
南の島で少しだけ癒されて攻め様に優しくされ弱くなっていた
受け様は、虐待をしているのが実の兄だと打ち明けてしまう。
そして助けてくれると言われ・・・
いつの間にか苦手だと思っていた攻め様を好きになって
しまっていた受け様は、攻め様に思わず告白を。
好きだと返事は貰えなかったもののそれからも優しい時間が
受け様を包み込んでいきますが、兄からの執拗な電話に
強迫観念のように怯え、連絡しようとするが攻め様に
阻まれる。このあたりを読んでると洗脳的依存だとゾッとします。
ある種の禁断症状のようで怖いし痛いですね。
また、兄も追いつめられたように受け様を探し出し
南の島へ乗り込んで来ます。
受け様は事前に兄が来ることを知り攻め様と甥っ子に
何をされるか判らないと怯えますが、攻め様は兄と話し合うと。
この兄もかなり心が歪んでしまっていて哀れに感じます。
自分では気づいていないけど弟がいつの間にか支えになって
いるように思われます。
最後の最後で初めて弟に刃向われ、そこで弟はきっと兄からの
呪縛を切り離す事が出来たのではないかと。
まだ完全には無理でも攻め様と一緒に前に進んで行くだろう
って思える展開でした。
酷い事をされているのに兄を断罪する攻め様に非難を唱える
受け様は、やっぱり心優しい兄思いの弟でした。
そして攻め様はここまで受け様のことを思っているのに
鈍感な受け様に気持ちが十分伝わっていません(笑)
最後はかなり不器用な表現で受け様に気持ちを伝え
受け様がやっと心から幸せになったように思いました。
攻め様の甥っ子の必死な様子も作品を引き立てていて
とても最後は心温まるお話になっていました。
あらすじや他の方のレビューを読んで、痛いのか…DVなのか…性的虐待なのか…とかなり躊躇してましたが、面白かったです!
最初から痛いです。うわぁいきなりかぁと思いましたがでもこれはプロローグと書いてある。プロローグなら枚数そんなにないはずだし、むしろ導入としては必要なこと。頑張れ私!読み進めるんだ!と言い聞かせて読もうとしたところ、そんなに言い聞かせることなくすいすいと…むしろ止まらなくなりました。
痛いんだけど、文章が重すぎない。痛いけど、切ない。
そんなことは一切書いてないけど、この先には光があるってわかる感じです。
そしたら本当に楽園が!痛かったからこそ空の碧さや太陽のキラメキ、肌を撫でる風が、人の想いが優しく感じられる。
途中途中回想で痛くなるけど、だからこそ今が大切で、ずっとこうでありたいと思わせてくれる。
受けの心の変化の過程がとてもよく分かります。
闇と光の対比がとてもよく描かれている作品だと思います。
でももーちょい萌えが欲しかった(笑)
そしてすごく南の島に行きたくなりました〜。
南の島と可愛い子供に癒されたいw
南の島を舞台にした、救いと解放の物語。
はまり込んだ迷路から抜け出すには、
迷路の中を何時までもさまようのではなく、
空からいきなり吊り上げるのが確実。
兄からの性的虐待という迷路に長いことはまり込んでいた瑛。
木津は瑛の傷を見て瑛に興味を持ったようなのですが、瑛は堅い殻で自分を覆っているので、それが木津の作家としての好奇心だとしか思えません。
南の島の木津の元へ、仕事として無理矢理行かされた瑛は、木津とその甥・優羽と島の自然の中で過ごすうちに、木津の意図を知り、愛されることで、少しずつ変わっていきます。
DVの共依存からの脱却が、こんなにきれいに簡単だとは思えませんが、お話の中だからこそ、だれもが幸せになって欲しい。
そうなるといい。
そんな幸福感のあるエンディングでした。
成瀬かのさん、シャレード初登場です。
六芦かえでさんの表紙イラストに、はかなげな少年ぽいイメージを抱きますが、何と今回の受けちゃんは28歳!?
攻め様は10歳年上の大人の男性で、それでも一応歳の差ですねw
小さい子供がいますが、実の子ではなくてワケアリで攻め様と一緒にいる甥っ子なんです。
多分、自分の印象では守るもの、守られるもの、がテーマだったのかな?と思えたのですが、いつもの成瀬さんの甘い雰囲気の中に潜むくらい部分が大変にクローズアップされた作品になってちょっと痛さが前面出しになっていました。
ただ、回顧が多かったせいか、攻め様の一目惚れで決着がつけられてしまい、恋愛という要素の部分ではとても不安定さが目立ち、話自体は引き込まれる興味深いものだったのですが、一冊になって見つめてみると、全体のデキとしては・・・・う~ん、、、と、もうちょっと何か欲しい!と思わせるものだったと言わざるを得ません。
非常に自分好みではあるだけに、惜しい!惜しい!
また番外でフォローなどしてくれる作品になってしまっているのかしら?そこがもったいないなーなんです(涙)
主人公・瑛は兄に17歳の頃からずっと性的虐待を受けていました。
兄は、実は腹違いで母親が亡くなり親戚をたらいまわしにされたあげく、実の父である瑛の家庭にひきとられてきたという、辛い過去を背負っていたのです。
瑛はその事を知ってしまっていたので、兄に手錠で繋がれ性的いたずらをされ、あげく暴力をふるわれても、28歳になる現在もそれに耐えて受け入れてきたのです。
そんな時、編集の仕事で売れっ子作家・木津の仕事を取るために彼が住む南の島へ出張にでることになります。
木津はそこで、両親の離婚によって心に傷をおった甥っ子の優羽と一緒に滞在してるのでした。
兄と離れてほっとしているのに、兄が怖いのに、兄に縛られている瑛を察して木津は瑛にそこから抜け出すことを強く説くのですが・・・
瑛が兄にどんな目にあわされているのか、それは回想だったり、瑛の夢だったり、半分くらいそんなシーンが登場します。
そこに兄の本心は見えませんが、きっと最初は憎しみからくる恥ずかし目だったとは思うのですが、それは執着であったと察することができます。
瑛は、それを嫌がりながらも、兄をかわいそうな人だと思い、自分がいないと、と思うことである種の優越感みたいのも抱いていたかもしれませんが、それは少し歪んで刷り込みによる依存になっているようにも見えました。
それを断ち切るのが木津です。
彼は、甥の優羽を守り、そして瑛も守ろうとする。
愛が見えない時点で、そういう性分なのかな?世話焼きな人なのか?と思えます。
それが、急にキスをしてみたり、身体の関係に進行していくことの違和感に通じてしまいました。
瑛が、いきなり木津を「好き」と思うのも、彼が優しいからではありますが唐突で・・・
何もかもが、ラストの木津の本音暴露の場面で全てのつじつまが合うようになっているので、そこんところが今一つだった部分が大きいです。
もう少し、木津という人間の、瑛を気に掛ける、そして守ってくれる、何か理由を表わすような臭いを漂わせてくれていたらよかったのにとも。
瑛の兄との描写部分がちょっと多すぎたかな?
組み合わせは好きです。
木津も瑛も兄も嫌いではありません。
キャラはよかったけど、木津へのバランス配分をもう少し深くほしかったのが、惜しいと思う原因でしょう。
こういう時評価悩みます~~~~好きな痛い描写と病んだ兄のおかげでギリ萌え評価です!!
面白かったです。
痛い部分を抜けば、結構好みのお話でじゅうぶん楽しめました。
なによりも、攻めが預かっている姉の息子・・・ちびっこい8歳なのですが、この子の表現が大変愛らしい。
本当に愛らしく、健気で、場を和ませてくれる存在で。いい、こういう健気なちびっこなら構い倒すのに!と。そんな和み要因もいますがやはり、成瀬さんの作品。
痛みを抱えた登場人物がたくさん登場する話でした。
受けも、攻めも、攻めが預かる姉の息子も、存在だけでしたが攻めの姉も、そして受けを好きに扱う義兄も。
みーんな、深い傷を抱えている寂しんぼさん達に感じました。
受けの年齢設定・・・28歳なのですが、表紙から受ける印象はまだ学生さん、よくて二十歳前後かなーというもので。
なんとなく、そんなイメージで読み始めたものの「え、社会人!?なんと!28歳ですか!」と表紙を二度見三度見してしまいました。
絵のイメージとは影響力が強いですね。
けれど、作中でも28歳社会人に対して『仔栗鼠』と表現されているので表紙から受ける印象もあながち間違ってはないか、と唸りました。
出版社勤務の青年と、南の島に仮の住まいを構えて住む作家のお話で、南の島といえばバカンス、開放的な恋というイメージですが、実際読むと重い部分が盛りだくさん。
もちろん、南の島らしく美しい自然描写、自然とのふれあいもありましたが、印象としては受けと義兄の関係性が強く印象に残っています。
兄との確執、というか執着というか性的暴力、精神的束縛、隷属とまではいかないまでも言う事を聞かされている、(兄の)言う事を聞いて当たり前、としつけられている様は痛々しいです。
受けの・・・義兄の生い立ちに負い目を持っている、兄弟が欲しかった、仲良くしたい・・・「兄は(確かに自分に酷いことをするけれど)本当は良い人なんです」という部分は最後まで貫かれ、攻めに関係を断ち切れと言われても断ち切れない甘さ。
情が深いのかなぁ、それともとんでもないお人よしかのどっちかだな。
攻めはちょっと印象薄めでした。
人気作家で、行動力もコネクションもあり、強い。父親がろくでもなしで苦労した過去もあったりと色々設定はあったんだけど・・・それでも、ぐいぐいと引っ張ってくれる雰囲気が好きでした。
やんわりと、けれど強引に事を進めていくのが良い。
受けを幸せにしてくれるはずと信じています。
腹違いの兄から精神的・肉体的に暴力を受けている瑛の物語です。
出版社に勤める瑛は、人気小説家・木津へ執筆依頼のため、彼の滞在先である南の島を訪れます。
瑛は兄の暴行による傷を木津に見られているため、木津が自分に興味を持ったのは次作の小説の題材にするためではないかと疑っています。
しかし、木津と彼の甥っ子の優羽、南の島の自然に触れるうちに、兄から逃れたいと思うようになり・・・というお話です。
描かれる南の島の景色がすごく綺麗です。
マングローブの森とか、碧い海を泳ぐ熱帯魚、光を受けて輝く波と白い島・・・私は実際に行ったことはないので、全てTV番組等によるイメージですが(笑)
兄に縛り付けられた瑛の心も自然と解放されたくなるだろうな、と想像できました。
天国みたいな場所、優しくて愛くるしい優羽、静かに全てを受け止め、さらに自分を助けようと手を差し伸べてくれる木津・・・
書かれる文章が醸し出す空気感が綺麗で、南の島という舞台によく合っていたと思います。
暴力を受けている瑛のことに気付いていたけど、どう手を差し伸べていいか分からずにいた周囲の人々。瑛の優しさに依存する兄、その兄に縛り続けられている瑛、彼らの心情はよく伝わってきます。
兄も酷い人ではあるけれども、瑛の言うように悲しい人なんだと思います。だからといって、暴力を容認する気は全く沸きませんでしたけれど。
瑛が年齢よりも幼く感じらるのも、兄による長年の暴力によって萎縮してしまっているからかもと、途中からはあまり気にならなくなりました。
優羽は本当に可愛くて!BLで描かれる子供は本当に可愛い子が多くて・・・癒されました。
ただ、残念なことに私には木津が最後までよく分からない人でした。
いい人過ぎると言うか、何と言うか・・・瑛を辛い日常から助けることを第一条件に作られたキャラクターのような。
作中で瑛が語る木津の小説の魅力や世界は、この作品そのもののような印象を受けました。
だからこそ、木津が何でも出来るスーパーマンではないところ、もっと木津が葛藤してる部分が見たかったです。
そしたら木津がもっと魅力的に感じられたのではないか・・・もっと深く掘り下げていただければ、とても魅力的なキャラクターに成り得たのに惜しいと思いました。
読後はこちらの気分も癒されて、優しい気持ちになれる作品なので、ちょっと現実に疲れてリフレッシュしたいときにはオススメです。
年の差、万歳!
今回は10歳差です。(イラストではもっと離れているようには見えますが)
30代後半の攻めはひじょうに好みですが、出来れば受けはもう少し年若が良かったなあ。
ただ、精神的には若いですね。
時が止まってしまっています。
********************
受けの瑛は兄と二人暮らし。
3つ違いの兄には心も体も支配され、生傷の絶えない生活を続ける、28歳の文芸本編集者。
攻めは、鋭利な容貌と灰色の瞳が印象的な人気作家の木津、38歳。
観察眼が鋭く、訳あって姉の子供と南の孤島で暮らしています。
********************
兄からの精神的、肉体的な虐待に疲れ果てていた頃、急遽担当外でありながらも木津の新作執筆を獲得してくるよう命じられた瑛。
瑛が木津と顔を合わせたただ一度の邂逅。
なぜ自分に木津が興味を抱いたのか瑛は悟りながらも、そのことを社に伝えることは絶対に出来ず、結果島まで木津を訪ねることとなります。
『うーん、うーむう……』というのが感想でございました(苦笑
木津のような包容力のある攻めは大好きなのですが、彼が恋愛相手として瑛を捉えるようになった理由はあまりに御都合主義で。一目惚れって便利な表現だなあという(苦笑
そして瑛が木津へと心惹かれたのが兄から救い出してくれたから、自分の苦しみに気づいてくれたから、という感じしか伝わってこず、それなら誰でも良いのでは?と思ってしまったんですよね。
新たな依存先が出来たとしか感じず、個人的にはキャラの魅力半減でした。
ご自身が南の島に行かれて刺激を受けた作品のようなのですが、ハブだとか綺麗な海や川だとか文章には色々書かれてあるけれど、それはただ『書かれている』としかわたしには入ってこず、情景が思い浮かびませんでした。
成瀬さんは最近読み出した作家さんで大好きな作品もあるのですが、このお話は自分には合わなかったようです。
身内からの虐待物ですが本当にこちらに恐怖を与えてくれるまでには個人的にはならず、ただ、南の島のことが書きたかったのかな?(この内容なら島である必要性はないですものね)とだけしか受け取れませんでした。