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作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます
原作のゲームをプレイ済みだったので話の核心部分は知っていたのですが、哲雄(攻め)からの視点で改めて本を読むと新鮮に感じられます。
ゲーム内では表されなかった哲雄の細かい心理描写は、寡黙で何を考えているのかわからない攻めを
(中身は普通の男子高校生だな)
と思わせてくれて好きでした。
ただ、本来主人公だった蓉司(受け)にどんなことが起きたかはほとんど書かれていないので、この本だけではわからないことも多いです。
明らかに周囲とは違う、人間ではない自分。
それを幼い頃からうっすらと解っていた哲雄は、蓉司と出会い、何故だか彼に強く惹かれてゆきます。
どう接していいかわからず蓉司を傷つけてしまうこともあり、そして蓉司も『普通じゃない』ことを知る哲雄。
惹かれ合っていた思いが種族を残そうとするためだけの作用でも、二人の間にはきっともっと違う感情があったと思います。
今が最も大切な時間だと思いたいから、
『永遠なんてない』。
この言葉にすべてが詰まっていると思いました。
このゲーム自体が分からなかったので単品の読み物として言えば
スプラッター系ホラー小説だったのではと読み終わっての感想。
同性同士の恋愛を超えて人ならざる物同士の切ないストーリーです。
内容的には面白いですね、幼い時から人とは違うと漠然に感じていた
違和感がそのまま変化することなく孤独感に拍車をかける。
そして見つけたのが受け様だったのですが、初めて欲しい傍にいたいと思ったが故に、何を言ったら良いか、どうやって接して良いのか。
寡黙な攻め様は思いを口にする事が出来ないまま欲望が止まらず
受け様を怯えさせ、挙句に傷つけてしまいます。
受け様も怯えや困惑、動揺してしまうが何故か攻め様が気になる。
そして自らも攻め様に近づいていきますが・・・・
普通の恋愛ものとは違っていて、好き嫌いよりも生きる事の存在意義や
自分はいったい「なんなんだろう?」って苦しくも切ない思いが
全編に渡ってつづられているようでした。
人間により順応できる子孫の繁栄のための憑代のような二人ですが
最後は本当の意味で一つになります。一人よりは二人が良いという
攻め様の言葉が偽らざる全ての答えのような気がしました。