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20年前のファンタジー系BLで、作者・花衣先生のデビュー作。
花衣先生、出発はBLですが、最近は乙女系がほとんど。
よくありがちなケースかもしれない。
舞台は未来の宇宙で、スペースコロニー。
スペースコロニーを掌握する財閥の息子と、コロニーの中の高級ディスコ(クラブではなくディスコってところに時代感が…)で超絶美形のボーイの物語。
宇宙を舞台にしたBLというと、
まずは久能千明「青の軌跡」、そして吉原理恵子「間の楔」が思い浮かぶ。
自分が入手した本作、2年もたたぬうちになんと9版もかかっているから、
よほど売れたのでありましょうが、青の軌跡や間の楔ほど語り継がれなかったのには
やはり相応の理由があると見てよろしい。
「青の軌跡」は、強烈なキャラクターとストーリー展開の面白さがあったし、
「間の楔」は、重厚かつ独特の世界観、そして攻め受けの激しくも相反する心情描写がとてつもないカタルシスだった。
ですが、本作、残念ながら、そうした描写はあまりない。
家族や人間関係のしがらみはそれなりにあるが、
身を焦がすような熱さがないのであります。
また、宇宙空間ではありながら、そのスケール感に乏しく、
単なるセレブ社会のすったもんだに終始している感じ。
エロス描写にいたっては、まぁ、設定はそれなりに過激なんですが
(とんでもない数の複数とかね)まったくといっていいほど描写してません。
それはデビュー作だからなのか、レーベルの方針だったのか…?
ストーリー展開は、それなりに落としどころはあるんだが、
このそれなりに、というのが曲者で、なんかとっかかりがありそうで
モニョって終わってしまっている。
うまそうな匂いは放っているものの、飲んでみたらものすごく薄味のスープだった、
みたいな読後感。
兄弟や家族との確執だとか、病的な執着など、
アイテムはあるので、今、リライトしたとしたら、かなり面白くなったかもしれない。