あらすじ
不思議な旅人今日もどこかで愛を束ねる……。「砂の国」を治める、とても仲の睦まじい兄弟がいた。兄を炎王、弟を沙王という。ところが、兄王が砂漠で拾ってきた水城という生き物を巡り、二人の心はすれ違うようになってしまう。水城にかまけてばかりの炎王─そこで愛する兄を取り戻すため、沙王は水城にあるところへ「遣い」をしてくれるよう頼んだ。無事に帰った水城に心からの感謝を告げた直後、沙王は自分が最大の過ちを犯したことを悟った。言葉を発さない水城の、精一杯の愛の形……。水城は知っていたのだ。これが──「命を監視されるための遣い」──だったことを……。(砂上の楼閣)