夕暮れに手をつなぎ

夕暮れに手をつなぎ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神1
  • 萌×22
  • 萌6
  • 中立4
  • しゅみじゃない2

--

レビュー数
5
得点
35
評価数
15
平均
2.7 / 5
神率
6.7%
著者
桜木知沙子 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
青山十三 
媒体
小説
出版社
新書館
レーベル
ディアプラス文庫
発売日
価格
¥560(税抜)  
ISBN
9784403522819

あらすじ

婚約消滅、さびれた町での一人暮らし──人生負け知らずだった真中は、最近まったくついていない。その夜も突然の雨に降られてしまうが、ふいにくたびれた中年男から傘を差し掛けられた。男が子供の頃の真中にキャッチボールを教えてくれた谷内とわかり、二人はそれから飲み友達となる。おだやかな男に傷心を癒される日々。そんななか真中は、谷内に恋をしている自分に気づき……?北の大地で静かに熱く燃える恋!!

表題作夕暮れに手をつなぎ

塾講師、モテ男29歳
電気店自営、枯れオヤジ47歳

その他の収録作品

  • 青み渡る朝の空

レビュー投稿数5

年下男の本気の恋

好きです、オヤジ受け!!(のっけからズバッと直球)
何がいいってね、枯れていそうで
その胸の内は様々な葛藤やらが渦巻いている、というところです。

今回は攻めが婚約解消し、
受けがバツイチという、なんとも寂しい二人。
でも、そんな二人が恋愛感情いだきませんよ、普通は!!
攻めもそこで悩んだりしていましたが、
心境の変化とか、お話の流れがスムーズで納得できました。
今まで、自分のみっともないところをさらしてまで
相手に執着した事がない攻めが、
谷内さんだけは離したくない!と情熱的になるあたりとか
きゅんきゅんきましたよ!
谷内さんは別れてもなお、元妻に頻繁に会ったりするから
嫉妬で苦しんでいる真中の姿もまた良かった!
高校生の娘さんと一緒にいる谷内さんを見て、
「この人は父親なんだ」と改めて思う真中が…!!

谷内さんに対する、周りからの「復縁しなよ」の声、
真中に対する、親達からの「結婚して孫を見せてくれ」の声…。
その人達の気持ちもわかる。
でも、自分の恋を諦めきれない。諦められない。

「復縁してほしくない。俺を選んでほしい。
もし俺を選んでくれないなら、一人でいてほしい。」
横暴すぎる真中の告白、そんなわがままあるか!とも思いましたが
本心を直接ぶつけてまでも谷内さんが欲しいんだね、
本当の恋を知ったんだね、とちょっと温かい気持ちになりました。

想いが通じ合ったと思った矢先、
実は谷内さんは、一生の付き合いだと覚悟が出来ていたわけじゃなかった…。
あの真中のツラさが切なかった。

ハッピーエンドなので安心して読めますが、
途中何度もぎゅうってなりました。
年の差ならではの考え方のズレや、
どうしても将来を危惧してしまう谷内さん。
優しいオヤジはいいですよ。
優しすぎてつらいこともあるんだけど。

ちょっと40後半(中半?)な谷内さんなので
オヤジ好きじゃないと厳しいかもしれませんが、
私は充分楽しめました。

青山十三さんのイラストもまた良かった!
表紙がまたいつまででも眺めていたくなる…。

あとがきに書かれていましたが
桜木さんて、オヤジ好きだったのが意外でした。
素敵です、もっとオヤジ受けを書いていただきたい!!






7

初めておじさん受作品に手を出しました。

結構後からじんわりくる作品です。

新居まで決め、結婚直前で振られてしまった29才真中と、街の小さな電気屋さん。妻に別れられ独り身の47才谷内。
雨の中、傘がなく困っているところに、谷内が傘を貸してくれた。その傘を返しに行くと、谷内は昔自分にキャッチボールを教えてくれた人だと判明。お互いに懐かしさから二人で飲むことが増え、話しやすさから居心地の良さを感じた真中が、少しずつ谷内を好きになる。。。

年齢差あり、47才という年齢に、若干苦手さがあり購入を躊躇いましたが、タイトルと表紙に惹かれました。
最初はゆったりとした始まりで、二人の距離が徐々に近づく感じがとても良く、こんなおじさん受も癒されるなぁと思っていたら、真中が力ずくで!!
そこからの展開が早い!けど、しっかりと二人の心境なども書かれているので、あっさりではなく読みごたえがありました。

タイトル通りになる二人の姿が、読み終えても、心に残り後味の良い作品でした。

2

セピアなおじさんとの恋

一貫して攻め視点で、自分自身でも理解しがたい男性への恋心の芽生えや元妻への嫉妬心などが語られております。
攻めはノンケで、モテ男で、でも入籍直前で婚約破棄されて、新婚で暮らすはずだった家に一人暮らし、気分も暗くなっていた。とはいってもプライドが高くて弱味を人には見られたくない。
そんな真中が出会ったのは、近所の電器屋さんの谷地。彼は偶然にも子供の頃の知り合いだった。
谷地は優しくて、穏やかで、でもバツいち。
そんな谷地に癒しを感じたのか、真中はいつの間にか谷地が気になるようになって、良く会ってるという元妻に激しく嫉妬を感じ、ついにこれは恋愛感情だ、と観念する…なんとか心の中だけで抑え込んで、ただの飲み友達のままで、と決意はするものの。
何しろ周囲は全員、真中には「またいい人が見つかる」、谷地には「奥さんと復縁しなさい」の大合唱なのです。そんな中で真中1人が今までのどこか冷めた恋愛観を覆して、熱く熱く谷地を求めるのです。その様はなんとなく青臭くて、じたばたし、グルグルし、心ではヤりたい!が渦巻いていて。
オヤジ受けのBLはあれど、これまでこんなに攻めが肉欲に悩む系は無かったのではないでしょうか?
谷地が真中の想いを受け入れてくれて無事に心身ともに恋人になりますが、長年セッ○スレスの枯れ枯れおじさんの谷地は、2ndラウンドはやんわりお断りです。

谷地からの恋の告白『最後に目を閉じるとき、きみの顔を見たい』は重かった…ズシッと心にきました。これに比べるとやっぱり真中の激情は若いなぁと感じる。この対比が良かったです。

7

黄昏感がイイ感じ

受攻とも年齢は上がったけど年の差年下攻に絆される枯れたオッサンという大筋は「情熱まで遠過ぎる」と近い感じ。
好きな展開だからいいんだけど。

受が草食系なせいか物語も全体的に淡々とした展開だけど印象的なシーンもちゃんとあってメリハリはあったと思います。
真中が恋だと気づく瞬間とか好きだな。
谷内さんが真中に桜を見せに行くのもなんかいかにも谷内さんらしい愛情表現で良かった。

ただBLだから仕方ないとは言え元婚約者や元奥さんの書き方がちょっとだけ厳しい感じだったかな。
関係ないけど嫌なタイプの人の書き方が桜木さんと椎崎さんって似ている気がするのは自分だけ?

あとがき読んで桜木さんがオヤジ受界に落ちて?来てくれたと小躍り。
ディア+は名倉さんといいそっち方面強化?
ありがたいような心配なような(´・ω・`)

しかし次回作は義兄弟モノっぽいしちょっと特殊路線だけど…いいのか、桜木さん。
いや、自分は兄弟もオヤジ受もむしろ大好物なので全力で釣られるけどw

3

中年受けがお好きな方へ

『夕暮れに手をつなぎ』
 人生負け知らずだった真中は、さびれた町の駅で呆然と雨宿りをしていた。

 婚約者と共に生活するはずだった新居は、婚約者の実家に近いから、という理由で中にはまったくなじみのない田舎町を選んで建てたのだが、まさかの婚約破棄で真中はその大きな家に一人で生活することになってしまっていたのだった。

 駅前のコンビニはつぶれてしまい、傘を買おうにも傘を売る店がない。
 仕方なく真中は、そのまま雨の中に一歩を踏み出そうとするけれど、そこに通りかかった一台の車から出てきた中年の男に、いきなり「返さなくていいから」と傘を握らされてしまう。
 そんな親切にされる理由のない真中は、その傘を返そうとするけれど、傘を真中に渡すと再び車に乗って走り去ってしまう。

 翌日、車に書いてあった店名からその店を訪ねると、実は傘を押し付けた男は幼い頃に、祖父の持ち物であるアパートで生活をしていて、真中のキャッチボールに付き合ってくれた谷内であることがわかった。
 新婚だったはずの谷内は、離婚してしまい、今は一人暮らしだという。

 似たような境遇の二人は、意気投合しそれから飲み友達になる。

 最初は真中のペースに合わせて、休日の度にあちらこちらに出かけて行ったのだが、それが決して「若い」とは言えない谷内を疲れさせるのだ、と気づいてからは双方の家で飲んだり、近所の真中だけでは決して入らないような落ち着いた雰囲気の店に出かけて行ったり……という日々であった。

 いつしか、婚約者に振られた痛みも忘れ、穏やかな谷内と過ごすゆったりとした日々に、真中は癒されていた。
 そして次第に、このままこんな日々が続けばいいと思っている自分に気づく。
 同僚や友人と過ごす時間よりも、谷内と過ごす時間を大切に思っている自分の気持ちが何なのか、気づかずにいた真中だったが、谷内とその元妻との再婚話が出るたびに胸の中に嫌な気持ちが浮かんでくる――

 というような話でした。
 なんというか、穏やかなのはいいんですが、まさかの歳の差カップルに個人的には大分びっくりしました。
 谷内は、寂れた田舎町で、電気店を営む本当にごくごく普通の穏やかなあまり自分に頓着しない中年で、真中は女にもモテ、実家は塾の経営をしていて、自身もその塾に勤め、優秀な成績を収めているまさしく女から見れば結婚したいと思われるはずの男で。
 そんな二人がくっつくなんて! と思うような話でした。

 どちらかといえばずっと突っ走ってきたようなタイプの真中が、穏やかな谷内に惹かれていく話しなんですが、谷内は谷内でそれなりに歳を重ねているので、そんなに簡単に真中が気持ちを伝えても、真中の将来性とかを考えて「うん」とは言えなくて、それからまた時間が経って――というまったりとした話だけど、ちょっとした現実がスパイスされているいい話でした。

 ただ、私に中年属性がさっぱりないので、ただただ谷内の年齢にちょっと引き続けてしまったのが残念だったです。
 それさえ気にならなければ、十分に楽しめる穏やかな話でした。

3

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