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大人気・シリーズ化!明治・横浜が舞台の和風妖異譚!!
「ヨコハマ居留地五十八番地」シリーズ第2巻。
明治30年代の横浜。西洋骨董店「時韻堂」では前作の事件の折に入荷した骨董品「プランシェット」を使って交霊会が行われていました。「プランシェット」を用いれば幽霊に会えると話題になっていたのです。今夜の参加者は「時韻堂」の店主・深川芭介と3人の客。芭介の飲み友達・高澤輝之丞も見物していました。いつもは何事もなく終わる交霊会ですが、今夜の様子は少しおかしい。どうやら何者かを呼び出してしまったようで…。
異変は高澤の部下である田汲直之助にも訪れていました。毎夜、田汲の夢に一人の女が現れるのです。女は田汲に伝えたいことがあるようなのですが、田汲には分かりません。毎日の夢の訪れで田汲は徐々にやつれていきます。
オカルト要素が強くなった第2巻。前作では幽霊が存在するのか明確に描かれませんでしたが(祟りのような現象は仄めかされていますが)、今作では幽霊がいること前提で話が動きます。超常現象は関わらないミステリだと思っていたので、残念な展開でした。出来はともかく明治時代を舞台に硬質な推理小説を目指していた第1巻に比べて、ファンタジー要素が入ってしまった第2巻は謎解きの質も下がっていました。
登場人物としては第1巻で名前だけ登場した田汲直之助がメインキャラクターになったのが印象的でした。田汲は芭介の骨董店の常連客兼飲み友達になります。そうなると面白くないのが高澤。芭介の古い友達は自分だと自負する高澤にとっては、芭介が取られた形になり、田汲が目障りになります。「時韻堂」の店内で座る席を巡って、高澤対田汲の諍いが起きることも度々です。
芭介は色っぽく、態度ものらりくらり。高澤と田汲、どちらを選ぶのか分からない。芭介、高澤、田汲の三角関係が見所と言ってもいいかもしれません。ミステリ小説としてはつまらないので。