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レビューを書くために図書館で借りてきたのですが、目次を見たら見事に読みたいものがなかったです。偽装結婚だの政略結婚だの、人気作もロマン大賞受賞作も結婚ネタばっかり。最近のコバルト文庫はキラキラした乙女ちっくな作品が多くて、ちょっと苦手です。極道ものや暴走族ものがあった時代が懐かしい…。少女小説だからといって恋愛は必ずしも必要不可欠な要素じゃないと思っている自分としては面白くない号でした。
結局収録されている9作品のうち読了した小説は2編のみでした。
特集「貴族特集~華やかな恋と波乱の運命を抱きしめて~」
【小説】「あなたの音色が枯れるまで」我鳥彩子、イラスト・犀川夏生
(後に『貴公子ラッドの受難~彼が麗しの花嫁を迎えるまで~』に収録され文庫化)
雑誌オリジナルの新作短編。恋人のお嬢様と釣り合う男になるため大都会にやってきた農家の三男坊・ラッド。しかし街に入った途端に空腹で倒れてしまいます。ラッドを救ったのは伯爵家。ラッドは伯爵から息子になってくれと頼まれて…!?
青年主人公・主人公の恋愛なしという最近のコバルト文庫の傾向からすると珍しい作品でした。内容云々は抜かして、異色作に作者が取り組んだっていう点で高評価です。もっとこういう作品が増えればいいのに!
コバルトノベライズ小説
【小説】「CRASH!」広瀬晶(原作・藤原ゆか)、イラスト・藤原ゆか
(後に『CRASH! 1 運命の鼻血』として文庫化)
「りぼん」で連載中の漫画「CRASH!」のノベライズ版。芸能事務所の社長を母に持つ女子高生・白星花の夢はトップアイドルのプロデュースをすること。名前も知らない男の子たち5人にアイドルの素質を見出した花は彼らをハンティングすることに!
個人的な9月号目玉作品。漫画版は未読でしたが、大好きな広瀬晶先生の久々の新作だったので読みました。設定だけ見れば逆ハーレムですが、主人公の女の子は商売道具としてしか男の子たちを見ていなくて、男の子たちも主人公に興味がないという恋愛が一切絡まないお話でした。恋愛なしの少女小説、最高です。
2010年度ロマン大賞 発表&選評
審査員は大岡玲、桑原水菜、橋本紡、三浦しをんの4名です。
受賞作ははるおかりの「三千寵愛在一身」と湊ようこ「春にとけゆくものの名は」の2作品。どちらもコバルトのトレンド、コテコテの政略結婚ものです。
桑原先生はこの2作品の評価に消極的だったそう。しかし、「陳腐に陥るかどうかは、偏に物語の生命力次第で、その物語が血潮を持つ生き物であれば、読み手は考える暇もなく呑まれ」るというお言葉[pp.350]。仰るとおりです。
第147回短編小説新人賞 選評
審査員は三浦しをん先生とコバルト編集部。受賞作は伊海琥珀「スターライト急行殺人事件」です。受賞作、最終候補作品3作品の詳しい選評が掲載されているので小説家志望者としては勉強になるページでした。プロになるのはやっぱり甘くない。それでも小説を書かずにはいられないという気持ちに改めてなりました。
流行に囚われない、熱い血潮を持つ少女小説がたくさん生まれますように!そして自分もそういう作品を産み出せますように!