雀影
それ程厚い本ではありませんが、2段組なのでかなり読み応えがあります。
普通に雑誌の1話分位ある感じ。
自分はノンケだと全く疑っていない普通の大学生・千坂が、片思いしている女の子目当てで取った、他学部の、それも大嫌いな数学のセミナー。
担当教官の芦屋準教授に、なぜか気に入られ?てしまった千坂は、学食などで芦屋と出会うたびに、芦屋が蕩々と語る数学談義を一方的に聞かされるハメになってしまい…。
と、メインの展開は、千坂と芦屋の関係です。
千坂は「あしながおじさん」から学費の援助を受けています。
「あしながおじさん」なので、援助者がだれなのかはわかりません。
そして、「あしながおじさん」宛てに月に2回手紙で近況報告をしています。
この「あしながおじさん」宛の手紙をはさみつつ、お話は進んでいきます。
二人の関係は、千坂が、バイト先の洋菓子店のパティシエ・角南に告白されたことで、自分が好きなのは芦屋だと気付くところまでです。
芦屋と千坂の間には、ハッキリとした恋愛関係が始まっているわけではありません。
この先、二人はどうなるのかな?
あしながおじさんはいったいだれなのかな?
と、続きが気にはなりますが、いつか続きが読めたら、それはそれでラッキー、この本はこれで充分、とっても爽やかに終わっていて、読後感はよかったです。