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自分がまれに見る幸運を射止めたことを喜べ
BLの1ジャンルとしてアラブものが存在するのは前々から知っていたのですが、実際に読んだのは本作「熱砂の王子の不機嫌な愛情」が初めてです。アラブものBLと聞くと、砂漠の国で傲慢な金満家or王族が日本の一般人男性を離宮に囲っているというイメージを思い浮かべます。この作品もご多聞に漏れず、砂漠の国の傲慢な王族が王宮に男を囲うお話。
樹木医の巽冬真は離宮の樹・リンデンを治療してほしいと国王から依頼を受け、中東のザムファ王国へやって来ました。そこで出会ったのが離宮の主で第二王子であるサディード・ビン・イスマイル・アルズワリール。27歳の冬真と1歳しか年齢が違わない青年です。冬真を見初めたサディードは愛人になれと迫りますが冬真は拒否。けれどサディードは冬真をあきらめず、寝込みを襲って強姦します。最中にサディードは冬真の弟・春平の振りをしたところ、冬真は感じてしまいます。実の弟に欲情してしまった…。事後にその事実を悟り、心にダメージを受ける冬真。冬真は弟の春平の自身とは対照的な素直で明るい気性が苦手で避けていたのですが、実は弟に恋していたのです。苦悩する冬真。そんな冬真の心を利用してサディードは関係を強要するのですが…。
アラブものの王道路線で、リアリティーはゼロ。BLはある意味ファンタジーだと強く感じる小説でした。
だって物語の始まりからしておかしいのです。冒頭一行目は「俺の愛人にしてやろう。自分がまれに見る幸運を射止めたことを喜べ」。臆面もなく初対面の男性に愛人宣言するアラブの王子サディードの台詞です。現実にそのような出来事があったら、主人公の冬真でなくとも「はあ!?」となります。作中の冬真はツンツンしていますが、頭おかしいとしか思えない王子にまともに返答するだけ一般人より優しいと言えるのかもしれません。
攻めのサディードの行動はやることなすこと傲慢で自己本位で常識人には理解しがたい。権力を使って無茶をするBL界にしか生息しない典型的攻め王子です。受けの冬真にしたら迷惑以外の何物でもないでしょう。仕事中に煩く構ってくるし、強姦防止器具(しかも排泄の為の穴が開いていない)を無理やりつけられるし、弟がいる部屋の隣室で犯されるし…。終盤では怒ったサディードが冬真を地下牢に監禁し犯し続けるという人権無視の犯罪行為も行われます。何でもアリのBL小説だから、攻めキャラの愛ゆえの行動だからという免罪符があるから許される所業の数々。
ここまででしたら、BL界では散見される傲慢攻め&テンプレ展開。しかしひねりが加えられており、一味異なった物語に仕上がっています。
まず挙げられるのが受けの冬真が攻めのサディードにただ囲われるだけの男ではないという点。冬真は強気な性格で、サディードに辛辣に言い返すのです。例えば初めてのH(強姦)で冬真はサディードの愛撫に感じたのですが、あえて「下手糞」と評す。自信家だったサディードには相当な心理的ダメージを与えたことでしょう。他にも、王子に向かって「お前仕事なんかしていたのか」「お飾りか?」とかづけづけ言うのです。冬真言い過ぎ。それに対するサディードの返答も面白くて、二人の会話は漫才のようでした。
そして意外にもシリアスな部分もあり、それがこの作品を成功させています。実はサディードはかつて愛した女性を自分のために失ったという過去を抱えているのです。実母から面と向かって「お前など生みたくなかった」と言われた体験も彼に暗い影を落としていました。サディードは弱さを微塵も見せませんが、その件がトラウマになっているのか精神的な成長が進んでいない様子。好きな人に執着し、二度と失わないとするあまりに行動が行き過ぎてしまいます。冷静になると自分の行動の愚かさを客観視できるみたいですが、謝るタイミングが掴めません。だから余計こじれてしまう。
サディードが冬真にした仕打ちは犯罪に近いですが、作中の彼の行動を冬真も読者も許せてしまうのはサディードのこの幼さにあるのかもしれません。始めは他人の気持ちを考えない嫌なヤツだったサディードが読み進めていくうちに彼の過去が垣間見えて可愛く見えてきます。好きな人との距離感が取れないサディードはまるで小学生のよう。
巻末にはイラストレーターによる1P漫画も収録されており、サディードが微笑ましく映りました。
帯『自分がまれに見る幸運を射止めたことを喜べ』
矢城米花さんはこれがアラブ3冊目かな?
「砂漠の王子に囚われて」に引き続きこれも王道です、アラブ物の王道行ってます。
王の依頼で枯れかけた宮殿の木を治す為に仕事でやってきた樹木医の冬真[受]
第二王子のサディード[攻]は冬真を気に入り、冬真のちょっとした弱みを握ってそれをたてに身体を奪ってしまいます。
サディードは強引で自分勝手な王子ですが、昔の恋人との悲しい過去を持ってます。
冬真を気に入らないハーレムの妾の罠にはまり砂漠に投げ出されたり、サディードの怒りに触れて牢に閉じこめられたりとなんだかんだ起きますが、最後は想いが通じ合うエンド。
……とここまでは王道だったんですが最後でラブラブセックスか!と思いきや絶倫な筈のサディードが初回早漏という失態をおかしてしまいそれを己も恥じて、冬真にからかわれるシーンはアラブ王道としてはここだけはちと新鮮でした。
でもまあ他は媚薬とか硝子瓶挿入とか卑猥な貞操帯とか基本アラブの王道でした。
お約束は大抵クリアしてるのでアラブ物らしいアラブを読みたい時に向いてる気がします。
矢城さんの本は、前に新任読んでダメだ~(><;)
と思って以来避けてたんだけど、友人の「これなら痛くない」のすすめで読んでみました。
これなら読める(笑)
というか、けっこう面白かった(*^o^*)
サディードは強引なんだけど、他の男に抱かせたりとか痛いことはしないし。
最後のエッチで笑えたしwww
冬真はところどころ、ん?と思う部分もあったけど、ストーリーに支障なし。お仕事頑張れよ、と普通に思いました。
いろいろアラブのお約束タップリに進みますが、サディードがだんだん冬真に興味もってくのもストーリーとして王道。
エロも鬼畜なところはあんまりなくて安心ですよ!
アラブ初心者(なんているかな今時)でも大丈夫!
あと、ラストに載ってるオマケのマンガ、笑えますw
BLアラブ物のテンプレ的な展開。
矢城さんにしては…ぬるめ?
攻め以外の人~とか、複数で~とかありませんでした。
あ、でもあくまで矢城さんにしては…だからw
媚薬、貞操帯、牢で両手足を拘束された状態で~オイルが入っていたガラスの小瓶を突っ込まれたり…だとか。
…あれ?どこがぬるいんだ。
矢城さんへの私のイメージ凄まじいwww
前半の攻めは傲慢で傍若無人で…大変でしたが、後半のアホ可愛さといったら(笑)
パワーバランスが逆転してますからね~!
冬真がサディードの手綱を締めるのも時間の問題だろうな。
最後のアレな場面では、まさかの暴発事件発生Σ(/∀`*)
からかう冬真と必死で言い訳しているサディードwww
オマケ漫画も可愛い(*´艸`*)♪