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furueuru koi no koe
今回は成績も人受けもよく声フェチの学園祭執行役員と
極度な人見知りで引っ込み思案な放送部員のお話です。
密かに思っていた攻様に急接近された受様が
彼と接する事で今までの自分から一歩前進するまで。
攻様が通う高校は都内でも有数の進学校で
普段は勉強に重きが置かれていますが
2ケ月後に迫った学園祭の準備で大忙しです。
団体行動を好まない攻様は
部活動も委員会にも所属していなかった為
学祭の執行委員を押しつけられてしまいます。
なってしまえば妥協を許さない攻様はある日
音響担当の放送部に進行確認をすべく
放送室に向かっていたのですが
放課後の下校を促す放送を耳にした瞬間、
攻様の身体に快感にも似た衝撃を感じて
呆然となってしまいます!!
なんっ、だ・・・なん、なんだ?!
実は攻様はかなりの声フェチ。
その放送は攻様が今まで聞いた事のない声で
連絡事項を告げていたに過ぎませんが
高過ぎず低過ぎずもろ好みの声だったのです♪
気付けば攻様は放送室に駆けだして
着いた放送室では何人かいた部員に目もくれず
マイクに向かっていた少年が怯える程に
詰め寄ってしまうのです(苦笑)
この少年こそが今回の受様なのですが
受様は超が付く辛いの人見知りで
攻様に問いかけられても堪えられず、
真っ赤になった上にうっすらと涙組む始末。
しかし
受様の声に一耳惚れした攻様は
幼馴染だという放送部部長に
やんわりと引き離れても
執行委員の立場を盾にとって
放送部に日参するようになるのですが
受様と親しい部長に妬くようになります。
これじゃ、まるで恋愛じゃないか?
一方、受様も
攻様に対して思うところがあって…。
深山さんのデビュー作である本作は、
自分と対極にあるが故に
憧れていた攻様に突然懐かれてしまった
超人見知りの受様の恋物語になります。
攻様は自分に自信がある故に
興味を惹いた受様にドンドン迫って行くのですが
かなりのニブチン君なのです♪
実は受様は前から攻様に恋をしていたので
攻様の友人アプローチにも答えたいと思いつつも
上手くこたえられないうちに
攻様の気持ちのほうが高まって恋に進展するので
更なるランクアップを求められた受様は
現状把握だけでいっぱいいっぱいみたいな(笑)
そんな二人がどうやったら落ち着くのか
最後までハラハラ楽しく読めました。
但、進展はかなりゆっくりなので
もどかしさも楽しめる方以外はご注意を!!
今回は本作同様、攻様に切ない恋をする受様のお話
神江真凪さんの『First Love 』をご紹介作としますね。
深山さん、初読み作品が結構よかったので、他の作品も読んでみました。
すごく面白かったか、感動したか、というとまあちょっと違うんですが、デビュー作だと思えば十分及第点だと思います。
すごくキュンキュン可愛い系統の、いわば『学園もの』です。ストーリーそのものも、別に捻ったものでもありません。
『正統派』『王道』という感じで、だからこそ意外と読み手を選びそうな感じはしますが、私はわりと好きですね。
これで境(攻)がもっと、いかにもありがちなように、たとえ根が優しくてどんないいヤツ(という設定)でも、どこまでも自分勝手で押しが強くて~、という感じだったら、たぶん途中で投げてたでしょう。
正直、最初は『また俺様攻めかよ・・・』と感じてしまって、境にちょっとイラッと来たんですが、結果的にはちゃんと聞く耳も持ってるし、相手を理解しようという気持ちもあったので、大丈夫でした。
キャラクターは、みんなちょっと極端というか、特徴を強調し過ぎの感はありましたが、曖昧に流れて薄っぺらくなるよりはマシかもしれないです。
それに関して、いちばん気になったのは、由樹(受)の『対人恐怖症(あがり症)』の原因でした。ここまで極端なキャラクターにするんなら、背景もきちんと見せて欲しかったですね。
『対人恐怖症』は、由樹のキャラクターはもちろん、ストーリー展開に絡んでも、相当大きな意味を持つ設定ですから、もう少し原因をはっきりさせないと、由樹が『なぜここまで』というところに説得力が足りない気がしました。そこがちょっと惜しかったです。
それに、由樹の幼馴染みの三吉が、当て馬としてもっと食い下がるのかと思っていたら、あっさり身を引いてしまって、『え、もう抜けるの?』という気はしたものの、逆に潔いというか、清々しいとも言えるのかもしれません。
あと、どうでもいいことですが、私は脇の草田のようなキャラクターが、虫唾が走るほどキライなので、出て来るたびに気分悪くなりました。
それでも、トータルでは決して悪くはなかったんです。結構分厚いわりに、途中でダレずに読めましたし。文章も引っかかることもなく、心情描写も丁寧でよかったです。私の好きな『高校生もの』のよさは、十分詰まってたと思います。
ただ、イラストはあんまり合ってなかったと思いました。大槻さんの絵柄は可愛くていいんですが。