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chiru hana wa kage ni dakarete
前半はいろいろあるけど、心穏やかに読めました。
二人、思い通じて良かったねと。
まさか・・・、後半でこんなにも辛い仕打ちが待ってようとは。
前半と後半の落差がすごいらしいことは、いろいろなレビューで知ってはいたけど、もうしばらくはこの本を開こうと思う気持ちになれません。
陵辱シーン酷過ぎる。
もう目を覆いたくなる、読み進めるのが本当に苦痛で苦痛で苦痛で。
はやく記憶から消し去りたい。
なのに何故【神】かというと。
阿片中毒の中、少しだけ正気に戻るときがあり、時を見極めて反撃してやっと二人が地獄から逃げ出そうとする辺りから終わりまでが、なんともいいのです。
それまでのたまりに溜まった鬱憤を晴らしてくれるかのごとく。
悪い奴らは死んでいただけますし、偉い方は二人のことを信じてくれましたし、攻めはようやく覚悟ができますし。
最後、物語の話の終わりによくある二人の今後があらすじのごとくありますが、それなりに幸せに暮らしているようなのでホッと一安心させてくれてそれもよかったです。
毎回いろんな設定で楽しませてもらってますが、今回は忍者もの。
忍の里の総領息子だった夏月は、継嗣である故に命を狙われることになり、同じ里の下忍の家の子として身分を隠して育てられることになります。
そこで優しくて大好きな義兄、忠影と日々をつましいながらも穏やかに過ごす夏月ですが、ある日、総領家から迎えが来ます。
徹底的な身分制度により、本来なら夏月の影を踏むことすら許されない立場の忠影ですが、夏月のはからいによって近侍に抜擢され……。
互いに想いあっていながら、身分によって親しく口をきくことも許されない二人なんですが、思いを遂げた時はたまらずほろりと来ました。
身分差もの大好きです。手が届かない相手、というだけで滾る。
前半は純粋なキス止まりで、ちょっと拍子抜けするほど大人しい話でした。
大人しすぎて不気味だったんですが、そうですね、そんなに静かに終わらせてくれるわきゃないですよね。
後半突入すると、前半のピュアさはどこいったってくらいの泥沼でした。
受が徹底的に陵辱されるという不幸に見舞われます。
そしてやっぱり間に合わないヘタレ攻。
毎度お馴染みになってて面倒くさいと思いながらも、この水戸黄門ばりの展開を見ないと落ち着かないっていうか。
それにしても今回の萌えは凄まじかったです。
なんといっても下克上。立場が下の人間が目上の人間を攻めるの大好きです。
好み展開すぎて一気読みでした。
六青さんで忍者モノ!最近すっかり忍者モノが楽しくてしょうがないのですが、このお話も面白かった・・・。
話には聞いていたのですが、前半後半の落差がすごかったです。
あ、落差というのは初々しい純愛から一転、不幸のどん底に・・・!という落差のことです。
救いは、初めてはなんとか好きな人とできた、というところでしょうか。
お話は、江戸時代のお家騒動を軸にして進む、身分差の恋です。よくあるといえばよくあるお話です。
今回は、夏月(受)と忠影(攻)交互の視点で進んでいくのですが、前半はこの忠影のまさに「鉄壁の理性と忍耐」で、二人の仲はほとんど縮まりません。殿に無体されて媚薬でグズグズになってる受けを助け出した時も、ぐっと我慢の子!ゴチソウが目の前にあんのに!えらい!
そしてもちろん身分違いも大いに活用されています。自分が最高に萌えたのは、身分が下っぱの忠影が、上の存在である夏月のかわいい我儘(!)で、ほとんど無理やり夏月のお側付きにされて、しかもそれを快く思わない家臣たちにいびられる、というシーンです。でももちろん忠影だって夏月が大好きだからじっと耐えます。控えの間から閉め出される忠影。冬が来る前に部屋に入れてもらえるといいな、と思う忠影。
いびられる攻め!大好き!
そんなこんなでお家騒動とか色々ありまして、なんとか半分過ぎたあたりでエチはできるのですが、もうキュンキュンでした。夏月、か、かわいい~!ここも忠影が病で弱気になってなかったら絶対先へ進まなかったことでしょう。よかったよかった。
そして問題の後半(・・・)、輪姦・凌辱の嵐でした。春成という夏月の忠臣が夏月を陥れるのですが、「えっ、あんたそんなに夏月のこと好きだったっけ!?」と思うぐらい狂ってます。傷を負わせた忠影も捕まえて牢屋に閉じ込めて、見せつけながらアヘン漬けにして輪姦。あのセンセイの小説を彷彿とさせるようなエロ会話・敬語攻めが飛び交います。「白い水」には参りました。
この監禁中の忠影の怨念の蓄積具合も非常に萌えました。優等生が悪になる瞬間がたまりません。
「切り取って犬の餌にしてやりたい」ぐらいの気持ちになってます。
六青さんのお話で、最初から受けにメロメロの攻めというのもめずらしいかも。いつも結構ひどい攻めか、鈍い攻めだし。
そしてこの方の「焦らし」は心にギュンギュンきますね!
関ヶ原から60余年、忍びの里。
命を狙われ幼い頃に下忍の家に預けらた総領家の若君・夏月と、
兄として共に育った7歳年上の下忍・忠影。
お互いに大切に思い惹かれ合っていたものの、
夏月が14の歳に跡取りとして惣領家に戻ってからは、
会うことすらかなわぬ身分違いの許されぬ恋。
第一部は、身分の差に引き離された二人が思いを通わせ
「口吸い」に至るまで。
ここまでは、切なくきゅんとするお話。
そして第二部は、凌辱編!
六青先生お得意の、受けを不幸な目に遭わせるパターンですね。
最後は、ちゃんとハッピーエンドですが、なかなか容赦ない展開です。
今回の受けは、ただ健気で可哀想なだけじゃなくて
凛とした強さも持っているので、結構好みでしたし、
時代物も主従も好き。ストーリーも悪くはないのだけれど、
う〜ん、こうまで悪者が悪者然として徹底的に悲惨な状況だと、
ちょっと冷めてしまうというか、今ひとつ心が動かずに読了。
後半怒濤の凌辱場面と、その後のボロボロの夏月の様子にページが割かれ
結末に向けてが端折られている印象になったのもあるかも。
全体としては中立と迷ったけれど、とりあず「萌」で。
「陵辱」と言うのなら、一度は、ここまで徹底的に描き出したものを読んでみたかった。
個人的には、そんな感想に尽きました。
六青さんはこれが初読みですが、なめらかで風情ある筆致で描かれる夏月の美しさや忠影のたのもしさ、過不足なく読みやすい忍びの里の設定や描写と、一文ずつ味わいながら読み進められるような文章です。
ただ、この作品の二大萌え要素、「薄幸なれど気高く美しい少年・夏月」と、「忍び」。
これらどちらにも、私はさほど興味がなくて、だからこそ終盤の展開もなんとか受け入れられたのかな、と思います。…というよりも、この本を手に取った動機からして、「萌えるため」ではなかったのですけども。
幼くして実父と別れ、下忍の家に育てられながら義兄とのあいだに未成熟な恋を育てていた美しい少年・夏月が、実は忍びの里を取り纏める惣領の息子であることがわかり、義兄・忠影と引き離されてしまう。
ここまでの時点で、「夏月に幸せになってほしい」と思えた方は、このお話を読むのはそうとうつらいと思います。
身分差の恋、兄弟同然の仲の二人、薄幸美少年の成長と幸福をねがう物語……、と切なくも甘いお話を想定してしまうと、二話目(後半)に地獄に叩き落とされます。比喩でなくて、ほんとうに地獄です。
とある奸計に陥った夏月は、重傷を負わされた忠影の命乞いのため、牢内に入れられた忠影の目の前で、半月ほど、延々と陵辱されつづけます。
媚薬効果もある、と脚色(?)はされているものの、阿片を使われてしまうので、自分の意思はないも同然、それどころか、次第に人格が崩壊していきます。
敵の一人を討つことで、忠影とふたり、そこから逃げおおせますが、その後も、夏月は阿片を抜くために中毒症状にのたうちまわり、夢とも現ともつかぬ意識のなかで、ひたすらに忠影と睦み合います。
BLによくある「乱暴された後のお清めえち」のような、切なくつらいけどらぶらぶ展開、ではなく、夏月は、解放されてもなお自身の精神を蝕む陵辱者の幻影と戦うために、忠影の雄に縋らざるを得ません。(主君だからふれることはできない、と忠影が拒むと、夜中、夏月は一人、自ら木の匙を挿れてひっしにそこを慰めるのだ、という描写もでてきます。つらいです…)
そうしてなんとか夏月が自分を取り戻すと、そこからは、物語も一気に大団円にむけて加速していきますし、夏月と忠影のこれからの生活についても、(忍びとしての厳しさはあれど)穏やかなものを想像できる着地になっています。
最後まで救われない、ということはないし、ラストにはほっとできます。そこにいたるまでの要所要所でも、充分に夏月の聡さや気高さに魅了されることはできるのですが、なんにせよ、徹底的な陵辱と、そこから這い上がるまでの泥沼のような精神状態が、ほんとうにつらいです。
「夏月」にわずかでも感情移入し、「忍びの身分差の恋」を期待して読んでしまうと、ハッピーエンドに辿り着く前にそれどころじゃなくなる気がします…。
あとがきにて六青さんが「間に合わなかった男(攻)」シリーズとも言われているので、もしかしたらこの本は、「『下臣(自分)の命乞いのために裏切り者に身を投げ出す主君』を、重傷を負ったまま見守りつづけている、徹底的に不甲斐ない忠影(凄腕の忍び)」の姿に、わりと嗜虐的な萌えを見出せる人こそが楽しむものかもしれません。