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新イラストで名作復活です!
eien no kinou
今月加筆修正された文庫版が発売されるので違いを知りたくて新書版を読みました。
作家買いの場合、あらすじはいつも読まないので
初っ端から浩一くんがトラックに轢かれて死んでしまったのでビックリしました。死んでるのに生きてるってゾンビ???触れるし、話せるし、学校通ってるってこの先どうなってくんだろとお話として気になりながら読み進めました。だんだんと、浩一くんが見える人が減っていきます。浩一くんのそばに青海くんが居てるとかろうじて認識する人がいてるけど、完全に存在をスルーする人も多い。
そんな時、死んでしまった事を実感させられて切なくなる。
このお話は、大切な人の死を認識する為の期間のお話なんですよね。
「生と死」
「亡くなる人の想い」
「残された者の想い」
その事がいくつかのエピソードで繰り返し出てくる。
まだ、身近な人、大切な人との別れを経験した事のない読者にも感情移入させてくれる。
実際に経験した事のある人は、より心を揺さぶられる。
クライマックス、2人が覚悟して初めて致すシーンも涙が止まりませんでした。最初で最後の行為。思い出すだけでうるうるしてきました。
死がテーマではありますが、死んじゃった浩一くんは、のほほんとした性格で、おとぼけなやりとりで会話が進むのでどシリアスって訳ではなく、等身大な高校生の日々です。
死に別れのただの悲劇的なお話ではないです。
誰にでも起こる大切な人との永遠の別れ、どう向き合うかってお話なので、全ての人に読んで欲しい。
まさに、胸を打つ作品でした。読んでよかった。生と死、魂の在り処、恋情、家族愛、愛する人が「生きている」ことの幸せ――色々なことを考えてしまう物語です。
前半はどちらかというとコメディータッチで、若干のスプラッタ風味もありつつサクサク読めます。テンポが良いのに軽薄な印象にならないのは榎田尤利さんの真骨頂だなと思いました。明るい雰囲気ながらも最後には浩一が逝ってしまうということは、起承転結の「起」の部分で読者には提示されていると私は感じました。…ならば、その「結」までの部分で何が描かれるのか?ドキドキしながら読み進めました。
浩一の存在が徐々に見えなくなってしまう描写が切なくて悲しくて涙が止まりませんでした。大人になって、身近な人との別れもそれなりに経験して、個人的には「故人を忘れないこと」「たまに思い出話をして笑い合うこと」が一番の供養だと思っています。満と違って大人な私は、浩一とさして接点のなかった人達が彼を徐々に忘れていくことは仕方がないと思うのですが、そのことに憤慨して涙を流す満がとても愛おしかったです。死というものは子供の頃ほど縁遠く、それ故に恐ろしい存在なんだろうと思います。満の言葉で語られる、理不尽さへの怒り…身に覚えがあるその感覚に胸が詰まりました。
浩一の死を受け入れて、母の死を乗り越えて、満はどんな青年になるのでしょう。頼もしく感じました。満に自分の死を受け入れてもらった浩一が心安らかに旅立ったであろうことが嬉しかった。
自分の大切な人達が、生きて、そばに居てくれることが本当に幸せだなぁと思いました。
もし、ある朝突然に親友が死んでしまったら。
そして死んでいるはずなのに、死なずにいつもと同じようにいるとしたら・・・
「永遠の昨日」はミッちゃんこと青海満と、浩一、二人のDKの物語です。
浩一は冒頭で交通事故で死にます。突然死んでしまったのに、なぜか生ける死体となってしまった親友。死を実感する余裕もなく、シュール且つややコミカルに進んでいきます。
先ほど読み返していて、つくづく異色な設定だと思いました。
浩一という男子の終わりから、全てが動き出すのですよね。
それで、ごめんなさい。これはレビューを書くのが非常〜に難しいと、ここまできて汗掻いてマス。
浩一の死から始まりますが、暗い雰囲気は一切ないんですよ。生ける死体となってしまった親友をどうしたらいいか、満は理性的に考えられていて、クラスの皆んなにも打ち明け、協力を呼びかけたりするのです。
何だ、シュールな雰囲気のまんま進んでいくのかなと安心してると、徐々に浩一が死んだという事実を一つずつ目の当たりにして、満と同じような気持ちになってきます。
本当に死んでしまったんだなと気付かされ、これからどうなるのか。どうなるのが浩一に一番いいのかと考えるようになってくる。
文章は平易に書かれていますが、とんでもなく切なく深い作品でした。
ラストはもう、淡々としているからこそ切ないですね。浩一が生きてる死体となっても満の側にいることができた本当の理由は、満がそう望んだから。浩一の死を受け入れることができなかったから。
浩一の死をちゃんと理解できたら、満が願うべきことはただ一つ、
「逝っていいんだよ」
そこからの淡々とした描写には胸打たれました。
榎田先生は・・・ゴテゴテした虚飾を外した、簡潔な文章で表現できる本物の作家さんなんだと、しみじみ思います(偉そうにすみません!)
この新装版が出てからも時間が経っていますが、とにかく是非オススメしたい一冊です。
何回読み返しても、泣けてしまう作品です。
魚住くんシリーズでも泣けなかった私ですが、本作は鉄板です。
最後の一行を読んだだけで、涙がぶわっと出てきます。
前半部分のグロさ、ノリの寒さがついていけないというか……とにかく苦手な感じで、失敗したなぁと思ったのですが、後半からぐいぐい引き付けられます。
前半の部分があるからこそ、後半が引き立つのです。
もう、切なくて切なくて……
二人の結ばれるシーンは、本当に圧巻です。
二人のお互いに想い合う気持ちが胸にずずーんときます。
こんなに揺さぶられる作品は読んだことがない!!
泣きたい時にオススメです。
榎田さんは大好きな作家さんなのですが、死ネタがどうしても苦手で避け続けていた作品です。
誰もが知っている名作だけれど、どうしても手が伸びなかった。
けれど今回、他に読みたい新刊もなく、なんとなく手が伸びた。
結果、BLというジャンルに抵抗がない人ならば、みんなに読んでほしいなと思った。
物語の初っ端から、主人公みっちゃんの相手役である浩一は死にます。
ヘンな言い方だけど、そらもうあっさり死んでくれる。
死んでいるはずの本人である浩一がいちばんあっけらかんとしていて、悲壮さがまったくない。
そして周囲の人たちがおっかなびっくりで半信半疑な中。
医者の息子であり、医学的知識が一般的な高校生であるクラスメイトよりも多く持っていて、身内の死を経験したことのある、みっちゃんだけが明確に浩一の死を自覚している。
けれど自覚しているはずの彼がいちばん、浩一の死を認められない。
物語は淡々と進む。
軽快な会話のやり取り、『死者』や『死』に引っ掛けた浩一や友人たち、みっちゃんの発言は本来ならば不謹慎すぎて冗談とも言えないのだが、本人たちがあっさりとしているのでやたらめったら面白い。
テーマがテーマだけにずんと沈んでしまいそうではあるけれど、明るく元気な高校生たちが読者をそうさせないでくれる。沈み込みそうになる心を、ぐいっと頼もしく引き上げてくれる。
けれど後半はぼろっぼろに泣いてしまいました。
そらもう苦しくなるほどに咽び泣いた。
健康に毎日を生きている人は、なかなか『死』というものを大真面目に考えたことはないと思う。誰もが今日と大して変わらない明日が来ると信じている。
身近な死に立ち会ったことがなければそれは当然のことだと思う。
自分は実の父と、10年来の友人を亡くしている。
その経験があるからこそ、死ネタは苦手でした。美しき悲恋、みたいに死を軽んじられるのも嫌だし。必要以上にドロドロと暗い話もまったく共感できない。前者も後者も、簡単に言うと腹が立つ。
けれどこの作品は違った。
読むのがしんどい作品だ、という評価は方々で聞いていたけれど、自分はそうは思いませんでした。
みっちゃんの所々で見せる深い悲しみ、けれど表面上は淡々と過ぎていく日常、落ち着いているように感じる自分の思考。
死ってこんなもんなんだっけ? もっともっと嘆き悲しんで、狂ったように泣いちゃうもんなんじゃなかったっけ? だってすごく哀しいんだよ。こんなに哀しいんだよ。
そんなふうに思ったとしても、人間は社会で生きている。社会とは人だ。ひとりきりで生きているわけではないから、倫理観や常識やその他諸々が自分を正常であろうとさせる。
あぁ、そうだ。こんな感じだよね。と、ふと色んなことを思い出しました。
どんなに大切な人が死のうが、時間はいつもと同じように流れる。
お腹もすくし、泣きすぎると頭が痛くなる。頭が痛くなったらそれをどうにか散らしたくて、薬を飲んだり体を動かしたり。
そんな気は起らなかったとしても、社会人なら仕事に行かなきゃならないし、自分にとって大切な人の死を知らない人は明るく声をかけてくる、そしたらそれに明るく声を返す自分がいたりする。そんなことをひたすら繰り返して、死んだ人の時間はそこで止まってしまっているのに、自分は前に進まなきゃいけない。
なんだか上手く言葉にできない。
ただ、自分にはこの作品は残された人の感情を正確に表しているように思えました。
ラストのみっちゃんの言葉、
「おまえは先に忘れてもいい」この言葉が忘れられません。
この作品は切なく苦しい、そしていとおしい、深い深い愛の話ですが
不思議と読み終えた後には、まるで初夏の風が吹き抜けたかのような、そんなふうに爽やかな気持ちにさせられました。
自分と同じように、死別が苦手で避けている方がいたのなら
どうか勇気を出して読んでほしい。
受け止め方は人それぞれだと思うけれど、少なくとも『なにか』は残ると思うから。
読み始めは、ケガ様子が生々しく車内で読んでて「気持ち悪く」なってしまった私。「何だBLか?」と疑問に思いつつ読み進めていき・・・・
最後には号泣です!良かった。こんな本に出合えてよかったよ。
最後の一言にまた涙が止まりません。
女性のような顔立ちでどこかつんとしている満。そして、その彼がとても大好きなのが浩一です。
浩一は、満に万が一のことがあるといけないからと、いつも車道側を歩いていたのですが、その万が一が本当に現実になってしまうのです。車にひかれて、普通だったら即死の状態ですが、なぜか浩一は普通に歩いたり、話したりすることができます。体は血だらけだし、一部裂けてしまっているのになぜかまるで生きているかのような不思議な体。この体でしばらく過ごすというとっても奇妙な生活が始まります。
最初はクラスメイトにも、他の人にも浩一は確かに見えているのに、だんだん浩一は見えなくなっていきます。それは、満との別れが近づいていることを静かに教えてくれているのです。
満は、自身で大人しくて話しかけにくいと自覚しているのに、そんな満に「黙り相手でもいいから」と友人になりたいと言った浩一です。明るくて、背が高い彼と満のCPが奇妙だなと思ったのですが、満が本当に浩一のことが嫌なら逃げているはずなのです。実はここの場面が私の萌でした。それをしなかったということは、やはり二人は求め合うものがあったようです。
読み終わった後、浩一をこの世に思いとどまらせていたものが、浩一自身の思いだけではなく、もしかしたら満の思いであったのかななんて思いました。前半はグロテスクな描写が多いので、ちょっと読むのが苦痛になるところもありました。それでも、後半には、生と死、別れなどの大きなテーマをすんなり読ませてくれます。浩一の「命の味がする」という言葉が一番心に響きました。
高校生というまだ心が発展途上のなかでのふたりの関係。
浩一が逝って、残されたみっちゃんの心に果たして何が残ったのでしょうか。
初めて「好きだ」と言われた言葉。
浩一の体温。
たとえ、死者と生者であっても、ふたりの関係は、絆は、きっと「愛」だったのだと思います。
ラストにみっゃんが零した笑み。
彼のなかで浩一は永遠に心に残っているのだと思います。
ふたりが作り上げた初めての「愛」がこの物語のなかに沢山あふれています。
出会ったことを後悔したくない、失ったことはすごく悲しいんだけど。
そんなみっちゃんの深い悲しみも、浩一をちゃんと愛していたあかし。
愛が伝わるから、こんなに涙が込み上げてくるのだと思います。
誰もが知っている名作。
死ネタです。
でもこれはBL好きなら読むべき本です。
読み終わった後 涙が止まりません。
感動と死について考える時間を与えてくれます。
愛と死。
自分が死んでしまっても心が愛する人に残ったままだったら・・・。
どうしても伝えたい事があるとしたら・・・。
私は死ぬとき後悔するだろうか。
戻りたい気持ちが強いと もしかしたら浩一(死人)みたいになるのかも。
あくまでも ファンタジーです。
浩一(死人)とSEX。
二人のこの時間は本当に幸せだっただろう。
賛否両論あると思うが 私はあってよかったです。
生きている者がこれからも生きていけるように。
榎田さん作品の中でダントツに読むのがしんどいと聞いたことあるので、どれほどかと思いつつ読んで、わずか42頁で挫折。
どう考えてもハッピーエンドじゃないってことは最初からわかってしまってるし、浩一があまりにも無垢な犬で、悲しすぎる。
でもなんとか気力を振り絞ってそこからはラストまで一気読みしました。
読まなきゃよかったと半分思うほど号泣してしまい、そのあと2時間ほど眠れなくて弱りました。
魚住君から始まって最近の作品でも主人公が死に直面するお話がよく出てきますが、榎田さんほどリアルなものはないように思えます。
身内を亡くしている人にしかわからない表現の巧みさに、毎回胸をかきむしられ、読んで激しく後悔するんだけど、死にネタとわかっていてもこうしてやっぱりまた読んでしまう。
このお話は、不治の病を本人に告知するのが正しいのか否かという問題と似ている。
即死したままであれば、浩一は悲しむひまもないのに、この説明のつかないゾンビ状態がいつまでも続くわけはなく、死へのカウントダウンがあとわずかだと気づいてしまうんだもの。残酷です。
でも…別れを惜しんだり、心残りがあることを晴らす猶予を与えられてるのは、突然人生を奪われるよりもいいことなのか。
どうしてもそこを考えてしまいます。
最後の2行、多分数年後に読んでも、ダバーッと落涙すると思う。
満は新しい恋をするんだろうか。今は幸せなのかと思わずにはいらなれないのです。
何度も立ち止まりながら読みました。
分かってしまうんです。これからの二人の未来が。絶対に浩一が都合良く生き返るなんてあるわけもなく、そして浮かんでくるのは分かたれる二人。
だから辛くて一気に読んでしまうなんてことできませんでした。
冒頭部分はコミカルでフっと笑ってしまうような所もあります。だけどどこか違和感を感じます。それは根底にはやはり浩一が「死んでしまった」という変わりようのない悲しい事実があるからです。
この作品一冊を通してずっと涙ぐんでしまいました。
そしてなにより他の作品と違うと感じたのはエッチシーンです。
二人のそれは紛れもない崇高な愛の儀式でした。互いに相手の存在を深く刻み込む。忘れないように。忘れられないように。とっても美しい行為。涙せずにはいられない。もう本当に大号泣でした。
まだ読んでいない人は是非読んでほしい。そして私もこんなに素晴らしい作品があるのだと誰かに教えたくなりました。
絶版になっていた作品が新装版ではあるが、入手できることになったのは大変に嬉しい榎田作品です。
この作品を読み終わって、最初に感じたのは榎田さんの持つ、枠にとらわれない一般小説としても成立できるその凝り固まっていない柔軟性に、この作家さんは別格、と位置付ける所以なのだと、改めて実感させられたことでした。
このお話は、下世話な言い方をすれば、ゾンビに陰陽師に、と、普通ではありえないとんでもな設定で展開されます。
まるでそれは往年のNHKの少年ドラマシリーズを思わせました。(特には筒井康隆のタイムトラベラー)
男の子の友情以上の感情が巻き起こす不思議な現象。
友情でもよかったのでしょうが、それを引き起こすほどに強い想いを片側は恋愛感情として、そしてもう一方は特別なものとして(まだ恋愛とは意識していない)それがあったことではじめてBLとして成立していくという。
その構成を考えるに、なるほどなーと感心させらることしきりだったのです。
目の前でトラックに轢かれた浩一。
ここでのみっちゃん(満)の行動にイライラ~とさせられます。
血まみれの浩一に、死んでいるに違いないと思うのに何もできないみっちゃん。
そこで既に彼がその死を受け入れてられていない事を示します。
しかし、頭は陥没し、足も首もあらぬほうを向いたままむくりと起き上がり、何事もなかったかのように話し始める浩一。
あまりに衝撃的です!
普通なら、こんなありのままの死体の身体で生き返らせたりはしません。
それがもうすでに、死をリアルに表現しているものであり、更にその身体のままで浩一に生活をさせる。
SFホラーの領域ではありませんか。
しかし、みっちゃんは、同級生達は、冷静にそれを受け入れて何事もないかのように接することをさせる。
読んでいる読者の自分にはとても苦しいのです。
もう冒頭の事故で結末はわかっています。
きっと、とてもきれいな最後がまっているとは思えません。
悲しい結末が待っていることは明白なのです。
しかし・・・
そんなリアルを纏いながら、実に感動を呼んで涙までこぼさせてしまうのです。
その結末すら、冒頭で予測できるものでした。
でも、、なのです。
ファンタジーとして、きれいなままで進行できなくもない話が、妙にリアルを伴い、それでも少年達の純粋な相手を思う気持ちだけを綺麗に魅せ、感動させる。
恐るべし、榎田尤利、と思った作品でした。
こういう、お約束や枠にとらわれない作品、もっともっと読んでみたいです!
イラストは山田ユギさんから紺野キタさんになりましたが、作中挿絵はごくごく少なく、章ごとの扉絵がついています。
旧版を見ていないので比較のしようがないのですが、とても優しくて雰囲気がとてもよかったです。
そのイラストを見るだけでも文章が蘇ってきて、思わず涙がにじんできます。