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この男からは逃げられない運命なのか……
ちょっと相性が悪いかな~と思っている作家さんですが、それでもチャレンジし続けるとたまに「おっ!」というものに出逢えるものですねv
読まず嫌いしなくてよかったデスw。
タイトルにあげたように、とことんネガティブな受けに、とことん理不尽で傲慢きわまりない攻め様。
それぞれの持っているもの、キャラ設定、抱えるトラウマ、事件、ピースはすごく個性的で、面白い(愉快という意味ではない)のですが、作品として嵌めこんでいくと、納得できない無理矢理嵌めこんでいる感がして何とも納得しがたいものがあるのです。
しかし、余りにネガ&理不尽が過ぎて、逆に目が離せなくて、一体どうなっていくの?どうやって決着をつけるの?気になって気になって、思わず一気読みできるのめり込み方をさせられました。
これは今までの自分的榊作品にはないこと!
理不尽さも、終盤攻めの本性がうっすらとわかり、バッドに近いネガエンディングに終わったことで、彼等がこういう性格であるからこういう流れなんだよな、と妙に納得させられちゃって(力技もありますが)
とんでもなく人が殺されており、しかも派手に殺ってますから、色々と細かいところをつつけば、おかしいよー!とか変だぞ!みたいな面も沢山あるんですが、一つの流れは完成されているので、これもまた有なんじゃないかと、思った次第なのであります。
とにかく、主人公の深代がネガティブです。
彼には、消した過去があり、トラウマがあり、それらの為に「普通」といわれるものに反発しながらも執着した生き方をしている。
誰かに関わられる事も、自分の傷をえぐられるようで怖くて仕方ないから、相手が悪い、相手のせいだ、ととことんネガティブ思考なんです。
本文は彼の視点で描かれていますから、本当に彼等に関わる周りの人々が、彼が思うようにそうだったかどうかは判定しがたいので、彼の通りだと100%鵜呑みにしないほうがいいかもしれません。
そして、彼が隠している過去や心の奥底に秘めたものを暴くのが、刑事の高藤なんですね。
高藤、一応刑事なんですが、その行動は刑事とはとても思えません!
深代がさほど親しくもない仕事上でしか接点のない、たった一度一緒に飲んだことがあるだけの会社員が殺人犯になったことで、聞き込みと称して一度会った時以来、深代に異常に執着して、何度も訪れる(それによって、深代は社内で浮くのですが)。
しかも刑事なのに、やってることはヤクザ以上!!
何で深代に執着するのか、その訳もわからなければ、彼の生い立ちとかトラウマとか、どうして汚いことをしているのかさえも、軽くほのめかされるだけで全く言及されていないので、ラストまで謎です。
彼を受け入れられなかったら、この話は全く嫌悪する小説になっていたかもしれません。
しかし、何故かまあ、いいやって真っ黒な悪のスーパーヒーローって事で位置づけてしまったので、この話が楽しめたのかもしれないです(自分的に)
一番ラストに彼等のその後というエピソードが、深代を振った彼女の新婚旅行の話で付けられていました。
まるで、深代のトラウマを肯定するように・・・
これは傑作でした(ブラック的に)
歪んだドス黒い話ではありますが、自分的にこういう話が好みなので、、、萌えさせていただきましたww