迷宮のリコリス
yuuutsu na asa
忧郁的早晨 2
初回限定版の小冊子ですが、とても読み応えがあり、本編への理解も深まります。後から好きになった読者が手に入れることが出来ないのは、とても残念に思います。この本に限ったことではないですが、物語が完結してからでもいいので、小冊子とかペーパーなどをまとめた本が出版されるといいなといつも思います。
10歳の暁人の桂木を怖がる顔から、一瞬で変化した素直で無邪気な笑顔。
14歳の暁人の無愛想な様子と、桂木の本音に思わず微笑む暁人。
そして16歳の暁人に笑顔はなく、桂木の態度に苦悩する様子が描かれています。
14歳の暁人の、心が躍る様子がダンスレッスンで表現されていて、上手いなぁと思いました。10歳の暁人の無邪気さもすごく可愛いくて、暁人の心の変化と体の成長がこの薄い小冊子に凝縮されています。小冊子としては『神』評価です!
『憂鬱な朝』2巻、限定小冊子のこちら。
お借りして読んだのですが……久しぶりにこう、「豪華な限定版!」という小冊子を読んだ気がして、どきどきが止まりませんっ♪
最後のページに日高さんが書かれているように、こちらは暁人が10歳・14歳・16歳ごろのお話3部作となっています。
元々こちらの作品では何と言っても黒髪美麗な桂木が好きでたまらないんですが、これを読むと、何だか暁人株がグンと上がるような。
(そもそも、3枚目のドラマCDの時点で暁人株はえらく上昇しておりましたが…)
と言うのも、1話毎に暁人の心の変化が物凄く感じるからで。
◆『escape』
暁人、10歳。
きくや他の女中がバタバタしているところに桂木がやって来ます。
この騒ぎは何かと尋ねると、きくが「旦那様のお姿が見当たらず……」と答えて――と進んでいくお話。
こちら、ドラマCDのボーナストラックとして収録されているお話ですね!
実はドラマCDを聴いた時、全然内容が掴めなくて「描き下ろした脚本なのかな」なんて思って居たのですが……こちらが原作なんですね♪
幼い彼が逃げ出す気持ちを分かると少しだけ理解を示す桂木。
怒っていながら、「本日だけは大目に見ることに」と伝え、髪につく木の葉をはらりと取ってくれる。
そして、条件付きで、自室の鍵を渡す。
この頃の桂木は、幼子が久世家と爵位を継ぐなんてハラワタ煮えくりかえる思いで家令として仕えていた筈だと思うのですが……きっと時折、自分を認めて貰おうと一生懸命だった幼かった頃と、今の暁人を照らし合わせていたこともあったのかな、なんて。
彼の腹の中は分かりませんが、自分が小さい頃は、こうして手を差し伸べてくれる大人がいなかったでしょうから。
……そーしーて、そこからの翌日4コマ漫画。
きく超機敏(笑)シュタタタって(笑)
「やーだー」なんて言う暁人もすっごく可愛いっ♡ 桂木別人かと思う位鬼の形相でした(笑)
◆『dance』
暁人、14歳。
つまらないものはつまらない。そんな態度を隠しもしない御当主様。
そんな彼に怒りの疑問符を投げつける桂木。
「お相手のためにお笑い下さい」、そう厳しく暁人に諭し――と続きます。
いくらつまらなくても取り繕え……要は、波風を立てない術を身に付けろと言うこと。
ダンスの練習をする為手を取り合い、諭した最後に放った桂木の言葉に、暁人は笑います。
この時はきっと、桂木自身は気付いて居ないのでしょう。
だからこそ、暁人は笑った。
それはきっと、今後彼への思いを自覚する、小さな小さな種になったのかな、と思ったりもして。
「何でもないよ」、とっておきのことは、本人には秘密です。
そして5秒後ショート漫画。
だーかーら!日高さんお得意のオトシ漫画は面白いんですって!(笑)
足払いだけじゃなく首も〆てません?桂木、相手は貴方が仕える子爵ですよどうぞ加減を(笑)
◆『distance』
暁人、16歳ごろ。
帰宅すると、西園寺が桂木のもとへやってきていた。
「僕も同席する」と言うと食い気味に断る桂木。
どうかご理解をと言われ、その場をあとにしようとする桂木に暁人は――と進んでいきます。
久世暁人、心の変化に苛つきを覚えています。
桂木が自分に冷たいこと、周りとは違うこと、知りたいと思う度にどうしようもなく不安になる。
多分、桂木への思いが恋愛感情になっていく、数歩前の時。
腹が立つのはきっと……。
幼い頃、桂木に感じていた感情が少しずつ変化し、恋心数歩手前のところまで描かれているのがとても楽しかったです!
それと同時に、少しだけきゅうと切なくなる。
本当に素敵な小冊子に、クラクラします。
暁人が10、14、16歳のときのエピソード短編三本。
シリアスな本編の隙間にあるような、些細な日常の話。
本編のストーリーに影響があるような話は描けないのが、
こういう冊子やペーパーのお約束なので
基本これを読んでいなくても何ら差し障りはない。
4巻のペーパーなんかは、全くギャグテイストでのお遊びだったし。
差し障りはないけれど、この冊子に関しては、
読むと二人の関係に対する理解と想いが膨らむ。
曉人がどんな風に桂木を見ているか、それがどう変わっていくか、
何故桂木に惹かれていくのか、そういう心の断片が見える掌編が並んでいる。
そして、本編と同じように華麗で文学的な雰囲気の、
五秒後あるいは翌朝の落とし(笑)!
賢いのかおバカなのか分からないような、曉人の繊細さと逞しさがいいなぁ!
素敵な一冊です♥
暁人、10歳、14歳、16歳の日常の一コマを描いたショートストーリーです。
柏木は、目線以外一切変わらないのに対し、
暁人の成長ぶりが、表情、顔立ち、体つきと、非常に繊細に、しっかりと描き分けられていて、日高さんの画力って、さすが!