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フリーター×お笑い芸人の夢に懸ける恋!
yume de aetara
電子書籍版を購入。
挿し絵あり、あとがきあり。
「神」評価です。
久しぶりにガツーンとくるものを読ませてもらいました。
いやー、何度も泣きました。
受けの律の想いに泣き、
攻めの白瀬の想いに泣き、
コンビの相方の賢介の想いに泣き。
そして、コンビに対する想い、お笑いへの想い。
想いって、重い。
前半はひたすら重い。
八方塞がりで閉塞感漂う前半。
登場人物だけではなく、読者の私達も、この重さにつぶれそうになります。
それが、後半にガラリと変化します。
前半の重さが嘘のように、動きます。
目標にむけて、ひたすら疾走します。
それが、よかった。
賢介サイドの話も読みたい気がするけど……やっぱり、いらない。
これはこのさじ加減が神だと思うのです。
報われないとわかっていて、それでも諦めることのできない長い長い片想い。
相手にもこちらの気持ちが届いているのに答えてもらえない。
かといって離れることも出来ない。
こんな話、そういえばありました。
樋口美沙緒「愛はね、」
この作品にも神評価をつけたんだった。
こんなシチュエーションに萌えるあなたには、こちらも、オススメです。
谷崎さんの描くお笑いもの。
今まで読んできた筆者の作品とは世界が違うのだが
安定感のある筆力は健在で、気持ちよく読める。
舞台は芸能界。
高校の同級生で、お笑いコンビを組んで8年になる賢介と律。
ツッコミの律は、高校時代から賢介に片思いをしているが
ブレイクした時期を過ぎ、二人はコンビとしても微妙な時期に来ている。
ボケの賢介は、お笑いではなく俳優として売れっ子で、解散の危機。
そんな中出会った白瀬くん。
財産は大鍋、何か夢を抱いての貧乏暮らしの模様。
丁度住処を失くした彼を、ひょんな経緯から居候させるのだが……。
彼の新しい恋と、コンビの再生とその後が
絡まり合いながら同時並行に進んでいく。
お笑いコンビとしては風前の灯火だった彼らが
息を吹き返してコンテストに挑んでいくさまとその後は
都合がいいと思わなくはないが、なんともテンポも小気味もよく
ワクワクと気持ちよく読める。
相方とか、同級生とか、長年の思い、とかがツボなのだけれど、
そこで相方が振り向いてくれて、とならない所が
この話のいいところだろう。
苦しい片思いの果てに古い恋を諦める様も、新しい相手と近づく様も
丁寧に描かれていて、彼の気持ちに寄り添いながら
納得して読む事ができる。
お笑いの世界の雰囲気はあるんだけれど、
実はネタはなんにも出てこないのも面白い。
最後に一言、ラーメン食べたい!(笑)
いつもの書店で特典つきフェアがあり、その時に初めて知り、
その機会に購入しました。
この作品は280ページほどあるのですが、そのうち約半分、
160ページくらいまで受けの律くんの辛く苦しい思いばかりが
書かれていて、もう律くんの辛さや苦しさがヒシヒシと
ずっと伝わってきて、もう痛々しくて見ていられなくて、
こちらの読み手が耐えきれないくらいでした。
律くんの長年の想い人で相方の賢介くんについて、
やはり攻めの大河くんの言うように残酷だと思いました。
賢介くんの本心が全く書かれていなくて、律くんの解釈でしか
賢介くんを知ることが出来ないため、賢介くんの本性が分からないので、
律くんの解釈だけで捉えると、賢介くんは悪い人ではなく
無自覚の罪作りな人だと思いました。
しかし、それでもやはり最初から律くんの想いを知っていて、
律くんに対して今まで行ってきた行動や言動は、
やはり酷い人だと思いました。
賢介くんが良い人であれば良い人であるほど、
その残酷さがより際立つように思いました。
後半は「マンパチ」と呼ばれる漫才コンテストが中心の内容で、
実在したM-1グランプリがモデルになっています。
そのため、律くんや周りの人たちとコンテストの関わりや方向性が
とても分かりやすくなり、読みやすかったです。
M-1グランプリを観ていた記憶が鮮明に蘇り、懐かしみながら読みました。
前半の苦痛の反動からか、律くんと大河くんの遣り取りが
とても仄々としていて、安心できました。
三池先生の挿絵の温かさがとても心に沁みました。
最後に律くんが大河くんに「○○杯、先払いさせて」と言った台詞が
一番、印象に残っています。
毎日、一日一杯ラーメンを食べたとしても約20年は掛かるということで、
本人はプロポーズのつもりは全くなく言ったと思いますが、
これは究極のプロポーズの言葉だと、名台詞だと思いました。
今回の評価は、あまり迷うことなく「萌」です。
やはり律くんの苦しい思いが作品の半分以上を占めているのが
一番の要因です。
50ページくらいまでならまだしも、100ページ、150ページ以上も続くと
精神的だけでなく体力を非常に消耗してしまいます。
また、律くんがようやく幸せになれたところで終わっているので、
二人の幸せな様子をもっと見てみたいと、物足りなさで一杯です。
その二点 以外は、物語の内容や展開、人物設定や挿絵など、
基本的には良かったので、この二点のバランスが良ければ
「萌×2」評価にしていたと思える作品です。
snowblack 様
コメントありがとうございます (^^)
私のレビューで共感して頂けた箇所があったようで、
とても嬉しいです。
同人誌については思い浮かびませんでした。
私も気になったので、谷崎先生のブログや某書店などを
大まかに探してみましたが無いようでした。
もし同人誌が出たら(出ていたら)ぜひ読んでみたいです。
霧島伊都さま
こんにちは、snowblackと申します。
今までレビューの入っていなかったこの作品、
たまたま丁度私も読んだところでして
近いうちにレビューを書こうかしら?と思っておりましたら、
霧島さまのレビューが……
奇遇と思いましてコメントしたくなりました。
私はもともと谷崎作品が好きですし、片思いも大好物ですので、
期待以上に楽しんで読みました。
確かに、幸せになったその後の様子は読みたいですね。
同人誌で出ているのかしら……
そして。
「○○杯、先払いさせて」は究極のプロポーズ!
本当にそうですね。
霧島さまの一文に言い得て妙と深く頷いたのでした。