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50過ぎ、妻子あり。身を滅ぼす、初恋。
kayoi koi
『逃亡者』の裏サイドストーリー。作中の時系列ではこちらの『迷い恋』が先行しています。
内容としては、高校卒業と同時に家を出て上京し、夜の世界で生き繋いできた若者と、品行方正な銀行管理職の男が出会い、深い関係に堕ちていくお話。
主人公の祐二は、上京するまでどこにも身の置き所がない、孤独な少年時代を送っていました。上京すれば自分を必要としてくれる安寧な居場所が見つかるものと夢見ていたけれど、現実は甘くなかった。
同棲している恋人・健介のDVから逃れられず、祐二ががんじがらめになっていたところ、銀行勤めで50歳前後の男、晃一と知り合います。社会的な地位と理想的な家庭に恵まれた彼は、祐二の住む世界から遠くかけ離れたところで生きているように見えました。
健介との関係に悩み、困って自暴自棄になっていた祐二を晃一は何度も助けてくれます。その際に晃一が支払ってくれた食事代や医療費を分割してきちんと返していく祐二の誠実さがいじらしい。次第に晃一の方も素直で無邪気な祐二に心癒されていきます。
祐二は、学もないし利口でもない。顔が可愛らしいくらいなのが取り柄だと卑下するけれど、人の気持ちを汲むことができる優しい思いやりがあります。だからこそ、そこにつけこまれたり動けなくなったりしてしまう…。祐二が可愛く思えてしかたなかった。
二人が惹かれ合っていくシチュは「現実逃避」が後押ししているので、バッドかメリバ案件しか見えてきません。祐二の方はわかるけれど、晃一の本当の動機は謎です。
色々と妄想させられる点ではあるのですが、晃一にとって祐二との出会いは、全てを捨てさせるほど心の奥を揺さぶるものだったのかもしれないし、あるいは中高年の危機にあった彼にとって、タイミング的に渡りに船だっただけなのかもしれない。真相はわかりません。
『逃亡者』のエンディングで晃一が当時の精神状態について少し告白しているので、それで納得する人もいると思います。納得できるような、できないような、、なわたしは、謎だからこそ物語として魅力的なのでは…ということにしていますけど、、笑
祐二がどこまでも純朴そのもので、生きるだけで必死な彼がどのような行動をとるのか、見守るように読み進めました。ともするとメロドラマ臭が漂いそうなところを、彼の清廉なキャラクターが吹き飛ばしてくれたような気がします。
ときどき水原先生が描く受けがたまらなく刺さってくるんですよね…。
表サイド『逃亡者』の内容を忘れた頃に本作を読み、その後にまた『逃亡者』をサラの状態で読むと、これは両方を読んでこそ神作品だ…、と思いました。
個人的にはこちらを先に読まれることをオススメしたいです。
「逃亡者」を読み、そのカップルの一人が出奔した父を尋ね、好意的に話をして終わるというシーンで終わりました。読み終えて、なぜか父の駆け落ちの相手である30代の男性がいじらしくて、思い出しては涙してしまいました。
そんなカップルのスピンオフときては読まずにおれません!
とにかく、性格の穏やかさ優しさ、思いやり具合でこの二人はお似合いなのでしょう。
もうずっとずっと一緒に暮らしていてほしいと願わずにはおれません。
逃亡者カップルについては特に思い入れは感じませんが、私は荻野祐二くんが健気で可哀そうで愛しくてたまりません。そんな彼が、関晃一と出逢い人生を送ることになってくれてどんなにほっとしたことか。
弱々しい2人を主軸にメロドラマで終わっているために、名作!とは思いません。
しかし、祐二くん好きだわ~。ホント好き。こんなに作品評価以上に萌えた登場人物っていなかった。
挿絵のいさきさん、キレイなおふたりを描かれています。個人的にもっと刹那的で儚いイメージをもっておりますので、小椋ムクさんあたりでの表現も見てみたいです。
願わくばこの後、関さんがもっと老いて二人の別れのお話も読みたいものです。
「逃亡者」からの続編。
男と逃避行してしまった父のお話ですね~。
どっちかっていうと、逃亡者を読む前からこっちのほうが気になって
ワックワクしてたんだけど、それだけに妙に期待はずれでした。
なんだろこの焦燥感(´A`★ゝ)
受は田舎から上京してきて孤独な祐二くん。
恋人と同棲はしているものの、カメラマンをしている恋人は最近変わってしまった。
恋しいと思っていた感情もいまは惰性になり、暴力にも耐える日々。
そんな中であったのは、50歳をすぎた一人の男。
見返りを求めず、親切にしてくれるその男に、次第に惹かれていく。
しかし、彼には妻も子供もいて・・・!?
なんにしても、あんまり生きた部分がなかったというか。
妻と子がいるんだ・・と言ってるのにゴタゴタしたその部分のものも無く。
恋という部分、受からの視点が中心というのもあるのだが
それでどーしてそんなにすきなのよとか。
息子たちが熱かっただけに、続けて読むと妙に薄っぺらいものに感じてしまったのです。
なんだろうな~・・・・長い時間かけて読んだけど・・と思ってしまった。
最初に思ってた父親と画がけっこうイメージと違ってたせいもあるのかも。
設定的にはすごく面白いとおもうんだけど・・。
後半ラストは、前回と同じくですね。
二つのカップルの時間を交差させるという感じなのでしょうが
いっぺんに読むと「あ~・・・」という気持ちになってしまう。
ひとまず気持ちてきにあんまり乗れない作品でした。
エロも薄め。
正味期待値が高すぎた故
ひとつ気になるのは、60すぎてからの性活ry・・(殴
既刊「逃亡者」のスピンオフといってもいいのでしょうか?
こちらの主人公、大手銀行の支店長を棒に振り、息子と同年代の若い恋人・祐二と逃避行する50過ぎの男・関晃一は、「逃亡者」の主人公・関朋彦の父親です。
大きな街に行けば新しい人生が開けると思い田舎から出てきた祐二は、4年以上経っても思うような仕事にもつけず、初めは優しかった恋人も今はDV男で、自分名義のアパートにも帰れない日があるような生活を送っています。
ある日、空腹の祐二が書道展のギャラリーで、ふるまいをむさぼっていたところに声をかけてきたのが晃一です。
祐二は、恐る恐る食事に付き合い、時々顔を合わせ、身の上話をしあううちに、年の離れた友人という立場になっていくのですが・・・
おおよそ不倫などしそうもないような、真面目人間の晃一だからこそ己の人生に行き詰まり、祐二という存在に救いを求め、
体を慰めあう恋人はいても心を開ける友人はおらず、常に孤独だった祐二は初めて出来た友達に安らぎを求めるのです。
片方は妻子持ち、片方にも恋人がいて、二人が取った行動は“駆け落ち”でした。
心の中の隙間を埋めあえる存在としてお互いが求め合い、純粋な愛情で結ばれていく。
他への迷惑を考えなければ純愛を貫く物語だし、お互いを優しさで包みあう二人に、ぜひ幸せになって欲しいと思えるお話です。
ただ、祐二がそれ以上堕ちずに済んでいたのは皮肉にも元カレ・健介のおかげだし、財産を全て妻子に残してはきても、家庭崩壊のもとを作ったのは晃一なのです。
最終的に健介を振り切り、「逃亡者」にも出てきたシーン・晃一と朋彦の再会もあり、和解するわけですが、彼らの悲しみの上に二人の幸せは築かれているということを忘れてはいけないよって思いました。
願わくば、弱くて寂しがりの健介さんが更生してくれますように。
ちなみに、繁華街のはずれの雑居ビルの3階で開業している医者が「夜間診療所」の上嶋かと思ったのですが、佐々木さんだそうです。
そうですよね、上嶋は難民支援の医療チーム出身ではないし、診療所の場所も2階でした。
『逃亡者』のスピンオフです。
攻めは50代妻子持ち、受けは20代でDV彼氏持ち。
全体的におセンチすぎるかなと思いました。
都会で、満たされない想いと孤独を抱える境遇の違う男ふたりが出会って恋をするわけですが、どうにも納得いかない。
「いいひと」である攻めが家族や仕事を捨てるに至る動機づけの面で、説得力に欠けてるような気がしました。重大な決断のはずなのに、なんか安易でメルヘンな感じ。
退路のすべてを断たれた!もう駆け落ちしかない!みたくギリギリの状況に追い込まれてくようなエピソードの積み重ねが欲しかったな、と。
あと攻めの性格もちょっと不満。年齢的なものはあまり気にならなかったんだけど、「いい人の魅力」みたいなものをいまいち感じなかった。水原とほるさんは「極悪人の魅力」を描くのはめちゃくちゃ上手いんだけどな。
初エッチのシーンは好きでした。
受けが主導権を握って頑張ってるの、エロさは欠けるけど微笑ましくって。
最後のシーンも良かった。
『逃亡者』のシーンと丸かぶりなんだけど、視点を変えて読むと、不思議な気持ちになる。
東京に憧れ上京しフリーターとしてその日暮らしを送る祐二(受)は恋人の健介から暴力を受ける毎日。酔いが冷めた後は祐二に謝り、優しく抱いてくれる恋人。健介に対する恋心などとうの昔になくなっているが、慣れない都会で一人で過ごす寂しさを埋める為、惰性で関係を続ける冷めた若者が主役のお話。
ある日恋人の暴力から逃げる様に家を飛び出した祐二ですが、財布も携帯も忘れた事に気付く。恋人の酔いが覚めるまで家には戻れない。朝まで散歩して時間は潰れたけど、お腹が空いてしかたなかった祐二は、来場者に準備された軽食目当てにふらりと立ち寄った書道展で関晃一(攻)と出会います。
関は50過ぎで妻子の有るエリート銀行マン。穏やかで落ち着いた大人の男性です。親子ほどの年の差がある二人ですが、関は息子と年齢の近い祐二を色々と気にかける様になります。暴力をふるう健介と祐二の関係をそれとなく咎め、将来の事も相談に乗ってくれる関に次第に心を開いていく祐二。一方関もギクシャクしている息子との関係を相談したり、年の離れた良い友人に。
接点がなく初めから出会うはずもない二人だったからこそ、お互い人には言えない悩みも相談出来る間柄になれたのだと思います。母親の再婚で養父と折り合いが悪く、父親の愛情を知らない祐二は年上の男性に対する憧れが人一倍強く、穏やかで優しい関を好きになってしまいます。しかし妻子ある関ですから・・・ 想いを内に秘め友人として接する祐二が切ない。しかし、その間も健介との関係を続ける祐二は自堕落で排他的だな、と思わずにはいられません。
そんな祐二ですが、関のアドバイスのおかげかな?? 恋人と別れて街を出る決心をします。関にお別れの挨拶をする祐二に「僕も行く」と驚き発言をする関(笑)密かに思っていた関が一緒に行くと言いだし、どうしても期待してしまうのは仕方ない。年の差30歳の二人の恋の行く末は!?
関の行動は責任ある大人が取るものではないと思います。しかし、高い役職に就く彼だからこその悩みが有った事、何より心がもう限界だった事。人生は自分自身で決める事ですから、結局誰にも文句なんて言えないんですよね。心が限界になっていた関が祐二と出会えて本当に良かったと思います。
物語は10年後まで描かれ、幸せで穏やかな日々を過ごす彼らがいた事に一安心。その時すでに関は60歳。。。今までにこんな最高齢の攻めがいたでしょうか?なのに違和感なく読めて、あっさり受け入れた自分の許容範囲の広さにビックリ(笑)思わぬ萌えドコロも発見し、私を新境地へと連れて行ってくれた作品。少し甘さ控えめですが、関と祐二の関係が丁寧に描かれ、最後に良かったね、と暖かな気持ちになれるお話です。最近の口癖ですが、帯に偽りなし! 「50過ぎ、妻子あり。身を滅ぼす、初恋」 なんて素敵な煽り文句でしょうか!! オススメです。
1月に出た『逃亡者』の主人公・朋彦の、男と駆け落ちしたという父親サイドの物語。
いや、まさかそれが読めるとは思ってもいませんでした!
しかも最初の出会いが50歳代、ラストは『逃亡者』のラストとリンクしてその10年後ということになりますから60歳代なんですね。
木原作品の『箱の外』もラストは高齢でしたから、究極のMLの仲間入りといったところでしょうか。
その朋彦の父、晃一が実に穏やかで優しい性格、相手の裕二も控えめで大人し目なので、全体的にゆったりまったりな感じです。
色々波瀾に富んだという若さ全面出しという恋愛モノというより、気持ちの寄り添いといった魂の根底の触れ合いといった部分のお話でした。
裕二は東京に出てきて5年。
これといった目的もなく、ただ流されて、そんな時に出会った健介というカメラマンと恋人になって同居を始めるのですが、彼が挫折して海外から帰ってきた時から裕二に対するDVが始まり、それでも、彼の気持ちを考えるに、寂しい者同士ということで離れることができない。
一方晃一は、銀行の支店長を務める誠実で真面目な人柄。
書道展で偶然出会った裕二に御馳走したのが始まりで、更に重なる偶然の出会いで、だんだんと裕二を放っておけなくなる。
所詮は、自分の居場所を求める淋しいもの同士だったのです。
晃一は、子供たちも自立し、妻は妻でそれなりに、仕事では責務のある重圧で、若干神経がまいっており薬を服用していたという記述があるので、
まるで、定年後の無気力症候群ではないですが、そんなお父さんの悲哀を一人で抱え込んだ人だったんだというのがわかります。
そこへ、よるべのない裕二に手を差し伸べることで、彼といることでほっとして落ちつけて、人間としての本来の居心地の良さを見つけたんだと思うのです。
そうでなかったら、わざわざ駆け落ちまで行くはずがないですもんね。
家庭ではもう自分は用なし、仕事も自分がいなくてもいくらでも変わりはいる、でも裕二には自分だけ。
接し方とか態度は違えど、DVで裕二から離れられない健介と、表裏一体の人じゃないか?とも思えるのですが・・
駆け落ち後も二人は、晃一の誠実さでうまくいったようです。
詳しい出来事は載っていませんが、田舎だけど周囲の人々は男同士の同居に寛容でいてくれるのも、晃一の人柄ありきだったようです。
都合よく進む話ですが、ちょっと甘っちょろい気もしないでもないですが、家族から邪険にされるお父さん・・・というものを想像したときに、こんな妄想話というのも萌えなんだと考えると、アリな話なんですよね♪
イラストの晃一が、60歳代にしてやけに若くてアセりました(苦笑)
歳の差が大きいだけに、その近い将来というのは・・・考えないようにしましょう。悲しくて切ないです。