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nekobito yakeitai
『猫人夜警隊』シリーズ第2巻。
前作に引き続き、猫人の世界を舞台にして縞瑪瑙城夜警隊の活躍を描いた作品。第2巻では中編「銀のホタル 金のホタル」「夜がもうすぐ終わるなら」の2本を収録しています。
「銀のホタル 金のホタル」
いつもケンカっぱやい夜警隊士・トロワに元気がない。ベッドで寝込んでいるトロワのことが心配でならない相棒のユキネ。トロワの不調には幼い頃の事件が影響しているようで…。
「夜がもうすぐ終わるなら」
煙草屋の仔猫たち、ニャンとポウの兄弟は夜警隊隊長のR.B.に憧れています。自分たちを夜警隊の見習い隊士にしてくれとせがむ日々。同じ頃、城下では血みどろ幽霊の噂が流れていました。幽霊を見た者は10日以内に死んでしまうという。夏恒例の幽霊目撃談。あくまで事実無根の怪談話にすぎない噂だと思っていたアビシニアンとR.Bですが、実際に幽霊を目撃した金貸しが死ぬという事件が起きます。犯人は幽霊なのか。アビシニアンたちは仔猫を連れて真相を追いかけますが…。
前作ではR.B.とアビシニアンのコンビが物語の中心にいて、他の夜警隊のメンバーは目立った活躍をしませんでしたが、今作ではトロワとユキネのコンビが登場します。ケンカっぱやく情にもろいトロワと、つねに物腰穏やか(でも中身は冷ややかで辛辣)で読書家のユキネ。熱血単細胞×知能派という組み合わせで、主役コンビに負けないくらい相性が合う二人でした。相棒を溺愛するR.B.となんだかんだ言いつつも過度なスキンシップを受け入れているアビシニアンたちに比べラブラブ度が低い二人ですが、一定の距離感が心地よいものとなっています。
夜警隊士たちの絆だけではなく、「銀のホタル 金のホタル」では幼馴染みの友情、「夜がもうすぐ終わるなら」では兄弟愛も描かれていました。
物語はシリアスで人生の悲哀も盛り込んでおり、甘いハッピーエンドには至りません。各編のゲストキャラクターたちも、メインの登場人物たちも辛い過去と現実を背負っています。どのように彼らが過去を受けいれ今と向き合うのか、著者はミステリ調の物語をベースに軽いタッチで彼らの生き方を紡いでいます。重くなりがちな作品ですが、登場人物たちの純粋な愛と絆が作品を面白く楽しい読み心地へと和らげていました。