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ヴァンパイアものも幾つか読んでいると、似ていたりとか甘いものが多かったり、飽きとか出てくるのです。
今回はゴスエロのタナトスからなので、しかも前回も吸血鬼モノでちょっとスベったこともあり、はっきり言って余り期待はしてなかったのですが、けっこうよかった。
というのも、エロに走り過ぎず、甘すぎず、結構男っぽさを残した硬派な仕上がりになっていたのが要因だと思いますね。
ぶっちゃけちゃうと、読んでいてこの話エロとかラブは必要ないんでは?と思わせるくらい男同士の信頼とか、肩を預けるとか、安心する存在とか、そういった要素が重視されたカプの作りになっていたので、骨太な感じが。
なので、エロ少なくてもそれだけで満足してしまうんですよね。
とはいっても、お約束のように多少はありますが・・・
個人的に冒頭にやられました。
いきなり首を切り落とすと、首から血柱が吹き出て転がる首、首を求めてヨロヨロと歩く胴体、返り血で血まみれの剣士。
時代劇風だなと思いながらも、この描写好きなんです♪
この本のヴァンパイアは、心臓を銀の剣で突き刺すとかではなくて首を切り落として退治するという方法。なので何か所かそんなグロい表現が飛び出すので、グロが苦手な方は要注意かも。
お話は母が亡くなる前からの記憶が亡くなり、母を殺したヴァンパイアを狩ることに執念をかけた剣士アノーが、母国のヴァンパイア退治の騎士団に入り、そこで相棒としてあてがわれた黒髪の男ヒューと共に、退治をする中で自分の身元、秘密、謎を解き、ヒューと結ばれるというストーリー。
この相棒のヒューがまた、得体のしれない飄々とした女に鼻の下を伸ばす、チョイ悪おやじ風のキャラでいい味出してるんですよ。
アノーは愛する人を失くしたくない気持ちから誰をも寄せ付けないようにして、近づこうとするヒューさえも遠ざけようとするのですが、そのめげない呑気さぶりに癒されていることに気が付いて、求めるようになりと・・・
結構、気持ちとしては理解できる動きをしています。
ただ、それがラブや肉体関係でなくてもいいな、っていう作品の作りであるので、逆にエチが余分に思えるような作品かもしれません。
それでも、その信頼関係は読み手にとっても心地よいものなので、許せてしまいますね。
アノーの正体、ヒューの正体にちょっと後半びっくりさせられますが、それもサプライズで面白いかも。
ダークな作品・テーマなので、このイラストは結構ぴったりきます。
作中に出てくるアノーの兄アンリなんてすごい気持ち悪くて怖いですよ。
本作のエロが少なかった文、webでこの後日談のラブエロが読めます。
また、途中で出てきた黒服の男の話が続編になるそうですので、ちょっと楽しみです。
突っ込みどころ満載。
いろんな設定は、もうオチは読めちゃうし、途中、ご都合主義だし、設定を後出しするし、ファンタジー、ゴシックロマンな話なのに、普通のカタカナ言葉が当たり前のように出てきて興ざめ。
文章そのものに重み、世界観もないし、展開も盛り上がっているシーンのわりには淡々とした同じペースで、読み手を乗せてくれないのがもどかしかった。
あとエッチも、とってつけたようで、これだったらニアBLにして、友情以上恋人未満に治めてしまったほうがましだったかも。
イラストも微妙。
主人公はよかったけど、攻めが好きになれない。
女装シーンも、これは萌えづらい。普通なら萌えるシーンのはずが、がっかりしてしまった。エッチも、まるでいやらしくない。
こういうファンタジー設定の「おもしろい」BLはすごく読みたいんだけど、期待に応えてくれる書き手は少ない。残念。
私は基本、
『BLはファンタジーだから!』
と思い、突っ込みどころはあえてスルーするのですが・・・
これはちょっと、つっこみたくなってしまいましたね。。。
ご都合主義なのはBLにはよくあることですが、オチが見えてしまうのはちょっと・・・;;
だんだん二人が惹かれあっていく過程はいいとおもいましたし、設定もとても好みだったので、なおさらもったいないな、と感じました。
イラストも、私の好みとはあわなかったためか、残念なことに、私はこの作品にのめりこめませんでした。。