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aitsu wa tsumibukaki yoru no maboroshi
いつも、何だかな~と物足りなさを思いながらもついつい期待して手を出してしまう作家の、高岡ミズミさん。
そうなってしまうには、物足りなさもありながらその文章や人物がしっかりしているきちんとした根っこを持った作家さんなんだからとは思います。
ということで、今回はぎりぎり萌え評価です。
お話は、父親が不明の家で祖父母と共に暮らし、部活もせずに余り友人付き合いもない冴えない学生生活を送る主人公間宮が、古書店で手に取った小説に共感を覚え、その古書店でその本を書いた作家の殿山と偶然に出会うことから始まる。
親子ほどの歳の差なのに、感覚が似ていると、自分の知らない父親の姿を重ね毎日会っているうち、殿山が同じ学校の人気者の嘉島の父親だということがわかる。
殿山の家に行った時、彼の奥さんと嘉島に出会い、その数日後、嘉島は転校していってそれきりだったのに、10年経って、殿山が亡くなったと嘉島から手紙が届くのだ。
形見として分けたいものがあるからと嘉島に呼ばれて家に行くと、彼に監禁され凌辱されるはめに。
最後のまとまりを除けば、この展開はとても面白い。
嘉島の父・殿山が間宮と出会った時、すでに作家としての筆は折っており、翻訳家としての仕事しかしていなかったのだが、間宮と出会うことで再び創作をしだしたのだ。
その内容が実は”YM”という少年との出会いから愛欲の日々を過ごすことを描いたものだったのです。
日記ではなく、創作なのに、そのノートのように嘉島に犯される間宮。
どんな言い訳も聞いてもらえず、貪られる3日間。
しかし、三日目に同僚の森山が踏み込み救出されるのだが、それから間宮は考えるのだ。
高校時代、密かにあこがれていたのだが、それは恋情ではなかったはず。
しかし嘉島は実は間宮を好意をもって見ていたという事実。
間宮のとったその後の行動は、恋愛とは言えないもので、過去の清算と決別、そして何より殿山の想いの浄化であると思う。
嘉島はそのノートにより父親に嫉妬していたということ。
多分ハッピーエンドという終わり方をしたのはよかったのだろうと思う。
この淡々とした作りが病みつきにしてしまう文章なのかもしれないと思った。