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シリアスなDKもの。鬱エンドです。
舞台は中高一貫教育の男子校。攻め視点ではありますが、悲しいかな、語り手(恭一)は当て馬です。
恭一は、高校3年の新学期に同じクラスになった七海に一瞬で魅了されます。しかし、七海には幼馴染みの最上がいるから深入りするなと、彼らと同じ中学校だった親友・天音に忠告されてしまいます。
バスケ部の最上はプロはだしの才能で、中学時代から有名人。スポーツはそれほど奨励されていない進学校に外部入学してきた彼は、弱小バスケ部のレベルを一気に引きあげてしまうような学園スターとなります。とはいえ、その傲慢な態度のせいで悪い評判も…。
最上は七海と親しげにしている恭一のことが気に入らないらしく、えげつないやり方で牽制してきます(やり方が酷い)。
読み進めていくと最上にも苦悩があり、その理解者として七海しか受け付けないかわりに、七海に囚われて嫉妬に狂う自分に苛立っているようにも見えるのです。
そうこうしているうちに3年生最後の県予選が始まり、最上が突然試合を放棄してその後行方をくらます事件が発生。なんの知らせもなくとり残されて動揺する七海を恭一は慰めますが…
本作は完璧に受け優位。七海の小悪魔ぶりに悩殺されてしまいましたね、、。七海には最上しか見えていないはずなのに、恭一が七海と寝たいと告げるとあっさり許します。天真爛漫さしか見受けられなかった彼の狡さを見てゾワっとしました…。恭一に少しはなびいていたからこそ受け入れて助けを求めたのだろうけれど、七海も相当したたかで食えないやつです。
クライマックスからエンディングにかけてがめちゃくちゃ濃いです。恋愛のネガティブな部分を思いっきり凝縮したシーンにキリキリさせられました。これもまた心理的肉体的に表現できる、難儀な恋の姿なのだと…。
最上と七海の関係には深い業のような、薄ら寒い怖さがあります。半分その当事者でもあり、ギャラリーの一人でもある恭一に思わず肩入れしたくなるような、ズンとくるお話でした。
当て馬くんを主役にすえてストーリーを構築すると、こんなに切ない物語になるんだな…と思いました。
一応「三角関係」のところにチェックはしましたが、主人公は完全に当て馬です。それは冒頭ですぐに分かる。かつて好きだった男とその恋人だった男が寄り添うのを目撃して、過去(高校時代)を回想する。
これが効果的でした。
本来なら冒頭でネタバレすると興が削がれるものだけど、このお話の場合は、結末が解ってるからこそ余計に読みながら切ないんですよ。榊さん上手い。
三者三様の性格づけも良かったです。
とくに受け。天真爛漫で明るいヤンチャ受けなんだけど、“かすかに”小悪魔なのだ。
意識してなのか、無意識のうちになのか、七海には悪意が、きっとある。自分にある種の関心を寄せる男に対する。
↑こういうことを、過剰な説明抜きでサラッと書けてしまうところが、榊花月さんのスゴいところであり怖いところでもあると思います。
ぞくぞくしたのは、主人公が寝てる横で、二人がセックスをはじめるシーン。
寝た振りしながら嫉妬でグチャグチャになり、なのに勃起してしまう…ここの主人公の気持ち、切なすぎる。ぞくぞくしました。
とても面白かったです。
読後感の悪さ、なんとも言えないやりきれなさが、たまらなく快感でした。
矛盾してるようですが、もともと悲劇オチは大好物なもんで。