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22歳と14歳の破滅的な匂いのする純愛。
おままごとのような同棲生活の背後から、いつ現実の陰が迫ってくるのかが怖かったです。
元戦隊ヒーロー主役で売れない俳優・日向晃(22)普通のいい人攻め×中学生・雨宮雫(14)素直受け
子供向け戦隊ヒーローのバーチャリオンで主役になったが、その後は鳴かず飛ばずで、売れない俳優稼業を続けている。
そんな晃の前に、ヒーローを見る子供のようにきらきらした目を向けて、助けてと訴える雫が現れる。
純粋に自分を応援する雫を見ていると頑張る気力が湧いてきて、二人だけの暮らしが始まるのだが……。
昔は、子供のヒーローで一時は人気だったけれど、売れていない現在ではそんな目を向けてくれるものはいなくて。
まるで、本当のヒーローになったみたいに、自分が守ってあげられる小さくて温かなモノを手に入れます。
守ってあげたい、ただそれだけの思いから、純粋な欲のない恋が始まります。
一度表舞台に立ったものの、簡単に売れなくて現実では売れない俳優をやっている晃を、可能性のある凄い人として雫は全てを肯定します。
そこでダメにならず、雫の応援をプラスに出来る人だったことが、二人の関係を正常化させていた。
孤独だった二人が出会えたことが、単純によかったと思いました。
中学生の雫の置かれた環境が四面楚歌過ぎて、やりきれなかったです。
学校が荒れていて、暴力団とも関わりがある不良に顔が可愛い事から目をつけられて、裸の写真を撮られて、ホモポルノまで撮られそうな危険な目に。
雫のことを両親は無関心な上に、教師は名ばかりの存在で頼れないし、学校は不良各の男達に支配されていて、逆らえない。
どこに逃げれば、誰に頼ればいいのかもわからない状況で、子供の頃のヒーローの日向晃に最後の救いを求める。
こんなに微かな糸のような希望に頼るしかなかったなんてと、この状況が切ない。
雫の事情がわかると、ようやく会えた日向晃がいい人であった事が、それだけで嬉しかったです。
売れていないからお金もないし、二人で暮らすとなるとお金もかかるし、14歳の雫といつまでも一緒にいられるわけではない。
いつかは終わりを迎えるかもしれない関係を傍から見ているのは怖かったし、切迫感がありました。
終わりではなくて、ここから始まると言う結末から、希望を感じました。
この人しか見えないというひた向きな純愛に、はらはらしながらも浸れました。
作中の普通と変わったヒーロー物のバーチャリオンも興味を惹かれる話で、サイドも設定詳細が詰まっている所も好きです。
エロ:★3 普通で、描写は控えめ
総合:★5 純粋に人を愛するのに年齢は関係なくて、この本の結末からのスタートが気になります。